魚は狭い水槽で攻撃し合う 狭い教室で子どもたちが同じことをするのも無理はない 果たして学校で社会性が育まれるのか
「学校に行かないと社会性が育まれない」
不登校や行き渋りの子どもを無理にでも登校させなきゃ、と親が焦る理由の一つです。果たして、教室で社会性が育まれるのでしょうか。
私が小学校や中学校の教室で身につけたのは、社会性というより処世術でした。
・長いものに巻かれる
・自分の意見を持たない
・いじめは見て見ぬふり
・ひたすら我慢と忍耐
・周囲の顔色を見て行動する
・おかしなことに声を上げるのではなく目を瞑る
など、碌でもないものばかりです。
のちのち、自分らしく生きようとするとき足枷になりました。時間とエネルギーをかけて一つ一つ外しました。それなら最初から身につけない方がましです。
教室の閉鎖的で同質性の高い人間関係のなかで社会性がどこまで学べるかは疑問です。先生と児童生徒の組合せによっては、可能なのかもしれませんが。一人の大人と30~40人の子どもで構成され、長時間密に過ごさざるを得ない教室では、同調圧力が生まれやすいと思います。
さかなクンの(いじめられている君へ)「広い海へ出てみよう」という文章があります。
朝日新聞デジタルで全文を読めます。
この文章は有名ですね。私は以下の箇所に注目しました。
たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。せまい水槽に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃し始めたのです。けがしてかわいそうで、そのさかなを別の水槽に入れました。すると残ったメジナは別の1匹をいじめ始めました。助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます。いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子があらわれます。
広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。
教室でのことに読み換えてみると、以下のようになります。
狭い教室に子どもたちを一緒に押し込めば、一人を仲間外れにして攻撃し始めます。その子を別の場所に避難させても、別の一人がいじめのターゲットになります。いじめっ子を教室から出しても、また別のいじめっ子が生まれます。
教室にはいじめが起こりやすい構造があることを意味していると思います。特定の子どもが悪いというより、狭い教室に大人数、つまり30~40人を押し込んで長時間密に過ごすようにすれば、構造としていじめが起こりやすいのではないかな。
さて、さかなクンにケチをつけるつもりはないのですが、子どもは大人が決めたルールに従わざるを得ず、教室から出る自由がありません。だから、教室をもっと風通しの良い場所にするのは大人の責務です。
せめて20人学級にする、複数担任制、またはクラス制をなくす、など色々な方法があります。閉鎖的で逃げ場のない人間関係は大人にとってもストレスです。別名ムラ社会ともいいます。実際、クラスというものがほとんどない大学では、いじめが少ないという話もあります。人間関係が密なサークルや研究室はまた別です。
魚だけでなく人間も、広い海のような環境で過ごす方が、健全な人間関係を育めると思います。今の学校、特に小学校や中学校が全体としてはそうなっていないので、子どもたちが息苦しく感じるのは無理もないことです。
親御さんは子育ての責任を負っているから、「学校に行かないと社会性が身につかない」と不安になり、我が子を無理に登校させようとするかもしれません。父も「学校に行かないとまともな人間にはなれない」と言いました。しかし、学校に無理して行ったから自律神経系などにダメージが蓄積されて、大きな重荷になりました。無理に登校して潰れた人は表に出ません。生存者バイアスに注意する必要があります。
現状では、学校に行っても社会性が育まれるとは限らないし、むしろ小手先の処世術を身につけざるを得ないことがあります。学校といっても千差万別で、先生と児童生徒の組合せによっては良い雰囲気で社会性を育むことができるかもしれません。公立小学校に楽しく登校しているお子様を知っています。ただ、学校「だけ」だと思うと何かあった時に行き詰るので、他にも候補先を探す方がいいと思います。まだまだ場所は限られていますが、徐々に増えています。
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自己紹介
脳の火災報知器が“誤作動”しなくなってきた
https://note.com/homoludens3839/n/nf4b02f181c00
月一セラピーの日でした 恐怖また恐怖 動けないのは訳がある
https://note.com/homoludens3839/n/n20512360fecd
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