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トラウマが慢性化すると生存のために人格のサブパーツが発達するという

ご訪問ありがとうございます。


何度読んでも心にしみるこの本

「トラウマ変容ワークブック」ジェニーナ・フィッシャー著 浅井咲子訳

断片化は、トラウマ的な環境のもとでは、非常に複雑かつ洗練された適応を可能にしてくれます。日常を送るパーツが学校に通い、大学進学やトラウマを乗り越えた先の人生を計画する一方で、服従パーツが、話しかけられるまで口を利かないのが適応的で、希望を持つことがリスクとなる家庭環境を生き残れるよう、絶望感や無力感をもたらすことがあります。また、日常を送る事故が将来の計画を立てていながらも、自殺志向の闘争パーツが自体が悪化した場合の抜け道を考え、逃げるパーツが服従パーツの絶望感と凍りつくパーツのフラッシュバックを何とかしようと大量に飲酒をするということが起こります。

「トラウマ変容ワークブック」p86


私はこうやって生きてきたのだと、腑に落ちました。トラウマ的な経験が慢性化すると、人格のサブパーツたちが発達して、様々な防衛策が使えるようになるそうです。

日常を送るパーツの現実的で一貫した「仕事」に感動します。そして本書がその部分を「本当の自己」として扱ってくれたところに、特に感謝します。パーツは厳しい状況で現実的な判断をして、自分に必要な学歴をつけようと、きわめて合理的な努力をしたのですね。

京都大学


いっとき、見えない世界系の講座やワークショップに没頭しましたが、その界隈では日常を送るパーツは、あたかも偽りの自己のように言われることが多かった。「親の顔色を窺って勉強熱心、でも本当の気持ちを抑圧して・・・」のように。あれほど努力した大学進学に価値がないように感じられて悩みました。そんな自信のなさを、自己啓発系パワハラ上司にいいように利用されたこともあります。

論理的で理性的で機能していた個人が、ほんの5分後には感情や衝動に圧倒されるというのでは、非常に混乱してしまい、自分はおかしいのではと思ってもおかしくありません。しかしこのモデルを用いれば、私は狂っているわけでも偽っているのではない、と安堵できるでしょう。

「トラウマ変容ワークブック」p83

非常に安堵いたしました。今も多少そうですが、何のケアも受けたことがない~20代はもっと激しかったので、自分はおかしい、狂っている、これがずっと直らないのならこの世を去った方が楽かも、などと思っていました。

大学名が目立つので、時々、「親がどんなふうに学ぶ意欲を育んでくれたのか」のように質問されます。残念ながら、みなさんが期待するような答えではありません。厳しい環境で生き残るために、自分の一部が壮絶で合理的な努力を積み重ねたからです。

確かに遺伝は有利でした。父も母も有名大学の出身です。読書や勉強が当たり前の環境でした。母は絵本の読み聞かせをしました。何かしら響いたようです。ただ、本の中身は面白くても、母親に甘えた記憶がありません。知的好奇心は旺盛な方だと思います。ですが、好きなものをのびのび追求した、というような美しいものではありません。

就学前の早期教育はなし

小学校と中学校は学校の授業のみ

高校は忙しいのでノー塾

浪人は河合塾

書けばこれだけです。

あれは一種のネグレクトだったのかもしれません。「扱いにくい子だけど勉強ができるからまあいいか」と、距離をおいたような。成人してから母が告白しました。

本書が、トラウマに関連した断片化と乖離を実例と共に解説してくれたおかげで、自分の状況がよく分かりました。いま生活環境に変化があり、トラウマのトリガーが引かれることが多くなっています。「助けて怖い」がよく聞こえます。考えすぎや、思い込みではなく、人格のサブパーツが危険を察知しているのですね。立ち止まってパーツの声に耳を傾け、ケアをします。

特に、まとめてたくさん買い物をするときにパーツが危険を察知するようです。大量の出費は恐怖なのです!だから、面倒でも一度に少量ずつしか買いません。大きな買い物の決断は時間を掛けます。すると、ざわざわが少し収まります。パーツたちにとって危険は相変わらずそこにあるので、危険に満ちた世界で私を守ろうとしています。その不眠不休の働きに感謝しつつ、今日も対話します。これを繰り返すとパーツは安心するようです。セラピストの手を借りつつ、日常はセルフケアを継続する、たぶんそれが回復に役立つでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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普段は数学の家庭教師(オンライン) 自称”風が吹けば飛ぶ先生” 
お仕事ブログ 中3・高1の数学でつまずいても基本をきっちり押さえれば理系の受験に間に合う  

 

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