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やめられない、とめられないことがある。そんなあなたに捧げるメッセージ

実家から電車で
二駅の距離に競艇場がある。

いまでこそ変わったと思うが、
子供の頃レースが終わった後の電車は
あまりに混沌としていた。

大関のワンカップと専門の
新聞を手に持ったオジサンが
電車内に溢れかえり、
充満していた独特の
その匂い。

それがアルコールだと知ったのは
随分後になってからだ。

かつては電車で飲む人がいたほど、
日本はアルコールが身近な国だ。

海外では公共の場で飲酒すること
自体が規制対象になっていたり、
お酒の販売時間に制限があったり
することも珍しくないようだ。

今でもいわゆる酒屋さんだけでなく、
スーパー、コンビニ、駅の売店でも
気軽に手に入るようになっていて
むしろそのハードルは低くなっている
ように感じる。


また最近ではストロング系酎ハイと呼ばれる、
アルコール濃度の
高いコストパフォーマンスの
いいドリンクも出回っており、
その健康の影響具合から
法規制の必要性を唱える専門家もいるほどだ。

このことから、
ソーバーキュリアスな人が増える一方で、
飲酒習慣のある人には
アルコールに手が出しやすい環境にある。

ソーバーキュリアスについては下記の
以前の記事を参照されたい。

飲む人とそうでない人の境界線は
ますます濃くなっている。

ただ今回自分が変わろうと思って学んでみて、
ひとつはっきり次にやるべきこととして
見えてきたことがある。

お酒(アルコール)のデメリット
をきちんと整理すること。

行動経済学の分野でナッジという言葉がある。
これは望ましい行動を取れるように
人を後押しするアプローチのことを
言う。

ここから今回考えると、
「お酒と距離」を置くという
望ましい行動を取るアプローチを鑑み、
お酒のデメリットを考えていく。

デメリット1 アルコールの害悪


アルコールの摂取は、当然ながら、
がんをはじめとする
生活習慣病の原因となりうるし
老化を加速させるだけでなく、
全身の臓器を傷めてしまう。

そしてそのダメージは不可逆的である。
つまり元には戻らないということだ。

こんなことを考えると、
もうひとりの自分が反論してきた。

「酒は百薬の長」という言葉があるくらいだ。
そうだよ、ほどほどに楽しく
飲めればいいじゃないか。
うん、きっとそうだよ。

また勝手に思い込んで楽になりたかったが、
ちょっと調べたらその期待は裏切られた。

この言葉の本当の意味は
「酒はどんな良薬よりも効果がある」
という意味で紀元前後という2000年
以上昔の中国の皇帝が酒税を
確保するために発信したものであるそうだ。

2000年のときを経てもなお、
酒税の確保という目的は
結果として果たしている。

少なくとも私自身に対しては。本当に驚いた。


確かにお酒を飲んだときは
気分が心地よくなり、
リラックスした気持ちになることはできる。

ただしこれは一時的なものだ。

依存症になったらメンタルヘルス不調にも
容易につながりうることも分かっている。

フィジカルな部分のメリットは
さまざまな本にあたっても
見当たらない。


お酒を飲み始めたころによくある話だが、
翌日の休みを口実に飲み会ではしゃぎすぎて、
二日酔いでせっかくの休日を棒に振ってしまった
経験をした方もいらっしゃるだろう。

今でこそないが、
私自身も恥ずかしながら何度も経験している。

お酒の効用感は一時的なもの、
刹那的であると強く肝に命じたい。

デメリット2:お酒(アルコール)にかけているコスト

人は生きていく上でお金がかかる。
この生活費は、固定費と変動費に分かれる。

お酒との付き合い方によって、
お酒代がどちらによって区分されるかは
異なるだろう。

仮に固定費として試算してみると、
1日500円 
週5日もしくは6日(年間300日)
使ったとすると、
年間で、500円
300日=150,000円

これを10年間続けていると、150万円にもなる計算になる。


おそらく軽自動車の新車を買っても
十分お釣りがくるだろう。
確かにこの金額については
うすうす感づいてはいた。

この金額は単純に家で缶ビールを
開けた場合の金額である。

このご時世で少なくなった飲み会や
懇親会の費用を含めれば
さらに膨大なものになるだろう。

漠然としたイメージでその固定費を
捉えていたのか、いざ金額を可視化すると、
急激に自分ごととして、捉えている
ことに
気がついた。

これは私にとって、
十分にナッジとしての役割を果たして
いくことにつながるだろう。

デメリット3:メンタルヘルスとの関連

これは、私自身も企業の現場で
コンサルティング
してきたなかで実感してきた事例である。

アルコールとメンタルヘルスは
密接に結びついていて、
飲酒がうつ病や不安障害といった
メンタルヘルス不調の原因に
十分なりうることが分かっている。

一度でもメンタルヘルス不調になると、
フィジカルの不調と異なり回復までの
長期化や再発のリスクを伴うことになる。

さきほども書いたが、
一時の憂さ晴らしのために、
お酒に逃げてしまってはその後に
何倍ものしっぺ返しが
待っている可能性
があるのだ。

このフィジカルの不調よりも
メンタルヘルスの不調のほうが、本人や
家族への影響も大きいし、
対策が必要だと強く実感している

現場の最前線で従業員の
健康支援をするコンサルタントとして、
一番認識しておかなければいけないと思う。

「わかっちゃいるけどやめられない」わたしとあなたに

わかっちゃいるけど、やめられない。
ずっとそう思ってきた。

お酒は必要悪な部分もあると、
ひたすら自分自身に言い聞かせ続けてきた。
一通り、お酒(アルコール)について
はじめて真剣に学んで気づいた。

なにもわかっちゃいなかったって。
自分にとって良くないことだと分かっていても、
人は楽な方に流れるようにプログラムが組み込まれている。

そしてデメリットには目を背け、
メリットばかりを拡大解釈している。
知らず知らずのうちに。

みなさんの身の回りにも
そんなことがころがっていないだろうか。

お酒とそれなりに距離感を保ち楽しく
過ごしてきたつもりだ。

本やネットで検索したスクリーニングテストも受けてみたが、依存症でも何でもない。

ただこのままのお酒との距離感では、近い将来、大きなしっぺがえしが来るかもしれない。

そして何より、ソーバーキュリアスな
人生を歩んでみたいと思った。
あえて飲まない生活をイメージする。
大げさかもしれないが、人生の景色が一変するのかもしれない。

お酒に今まで使っていた出費を
どんな楽しいことに使えるだろうか。

酔っ払ってだらだら過ごしていた時間を
読書やオンラインセミナーといった
自己投資の時間に使っていたら、
どう変わっただろうか。

うん。
確実に自分の気持ちが
前向いているのが分かる。

「わかっちゃいるけどやめられない」

結局人は、何か知識をインプットしたり
他人から「あなたはこうしたほうがいいよ」
とアドバイスを受けたりといったような
いわゆるインプットをしただけでは
意味がないということ。

その情報を自分で評価し、
その重要性を認識し、行動に起こすことだ。

間違っても「なるほどね」
「そう言っても自分は違うから」といった
かたちで涼しい顔をして
受け流してはいけないのだ。

私の場合は、ずっと健康に携わる
仕事をしてきている。

様々な健康問題を考えていくうえで、
自分の飲酒スタイルを見直すべきだと
きっと心の奥底で
思っていた。

わかっちゃいるけどできない。
これはNLPという心理学の分野では、
意識的無能と言って、
「知っているのにできない」という
状態らしい。

今までの自分はまさにそれだった。
だがいま知識を身に着けたいま、
次のステップにいこうとしている。

次のステップをさきほどと
同じように心理学の言葉を借りると、
意識的有能という。
意識しているときはできる、
いわゆる頑張れる状態ということになる。

いまの自分は特に依存症等に
なっているわけではない。
意識すればできる。

ほとんどの人はこの意識することを
拒絶してしまい、
新しいことに取り組むこと、
チャレンジすることから
逃げてしまう。

自分は変わりたい。
サーバーキュリアスになりたい。

最後に自分を鼓舞するために
芥川賞作家の町田康さんの言葉を引用する。

「不安を宥めるために酒を飲む姿は自分の人生の経営者ではない、
まるで利子を払うために
借金を払うために借金を重ねる多重債務者だ。
飲んでもあまり楽しくならず、飲んでいないときの不安感、不快感だけが増大していく」
                                   しらふで生きる 大酒のみの決断
(幻冬舎)  町田康(著)より


コンサルタントとして、
会社の経営にも密接に関わる仕事を
している身として、自分自身が
立派な人生の経営者でなくてはならない。

そう強くこの言葉が思わせてくれた。
うまくいくはわからない。
時間がかかるかもしれない。

自分の「あるべき姿」を忘れずに、
ひとつひとつの行動を起こしていきたい。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。 みなさんが生き生き健康に働けるためのメッセージを発信していきます。 ぜひサポート、よろしくお願いします。