見出し画像

保育園の入園に「4月・5月・6月生まれ」が有利なワケとは?

保活を経験した方々の話を聞いていると、4月・5月・6月生まれ(高月齢生まれ)の子どもたちが有利だといった声が多く聞かれます。

その反対に、1月・2月・3月生まれ(早生まれ)の子どもたちはとても不利になるという声が多いのも事実です。

これらの格差は一体どうして生まれるのでしょうか?
0歳児入園と1歳児入園、それぞれの場合で見ていきましょう。


0歳児入園の場合

画像2


女性の社会進出により年々増加傾向にある共働き家庭ですが、今日約6割がそうであると言われています。

そのため、0歳児クラスから子どもを保育園に入れる家庭も多く、非常に人気があります。

0歳児から保育園に預ける場合、高月齢生まれの子どもを持つ保護者にはどんなメリットがあるのでしょうか?


メリット⑴
保育園の選択肢が多い

認可保育園の申し込み時期は10月から12月が多くなっています。
しかし、まだ生まれていない場合は申し込みすることができません。

そのため、認可保育園を希望する場合は遅くても11月ぐらいまでには生まれていないと申し込むのが難しくなってしまいます。

特に早生まれ(1〜3月生まれ)だと認可保育園は2次募集に申し込むしかありません。
そうなると、入園を希望する園に空きが無いことも多く、せっかく行った保育園の見学もムダに終わってしまいます。

ここ数年では認可保育園の0歳にもちらほら空きが見られることもありますが、これらも5月6月を迎える頃には埋まってしまうため、やはり早生まれは待機児童となってしまう可能性が高いのです。

ここまでを見ていると、10月ぐらいまでに生まれていれば何月生まれでもさほど変わらないように感じますよね。

ところが、同じではないのです。
次を見てみましょう。

メリット⑵
保育園を見学したり申し込んだりするのがラク

例えば7〜12月に出産した場合、妊娠後期や産前産後に保育園の見学や申し込みで遠出をしなくては行けなくなります。

その場合、働きながら妊娠生活を送るのと同じで体に負荷がかかってしまい、結果として早産や流産に繋がる可能性がないとは言えません。

仮に子どもが生まれていて新生児ではないにしても、首がすわっていない赤ちゃんを抱いて保育園や区役所を回るのは非常に大変です。

また、少し視点が変わりますが、保育園の見学は子どもを連れてくる方が圧倒的に多くなっています。

保育園側は気にしていなくても同じ見学者の目を気にしてしまって、妊娠初期の方や子どものいない方はやや見学しずらい雰囲気が現にあります。

そのため、早めに保育園を見学しておくことは可能ですが、周りの目が気になり、嫌になってしまうこともあるでしょう。

これらを考慮すると、保護者の身体的な負担の面でも、高月齢生まれの方が保活を有利に進めることができると言えます。

メリット⑶
お金の負担が少ない

現在早生まれの子どもを持つ(早生まれで出産予定の)方の保活では、認証保育園などの認可外保育園を前提にして探すようにアドバイスさせていただいています。

これはメリット⑴でお話した通り、認可保育園の申し込み時期に間に合わないからです。

しかし、認可保育園の保育料が月に35,000~55,000円と言われているのに対して、認可外保育園の保育料は月50,000~70,000円と高額になっています。
一体どうしてでしょうか?

これは認可保育園が収入に対して保育料が決定するのに対し、認可外保育園はそれぞれの園で独自に決められるからです。
(認可保育園でも延長料金に関しては自由に決められるため、延長を利用する可能性のある方はそちらも確認しておいた方が良いです。)

そのため、認可外保育園だと認可保育園に通う場合の倍近く保育料を支払わなくてはならない可能性があります。

他にも、2次募集の狭き枠を求めて一時的に無認可保育園やベビーシッターを利用し、何とかポイントを稼ごうとする方も大勢います。

確かにそうすることで入れる可能性は上がりますが、そのためにはある程度のお金をかけないといけないことになります。

よって、その必要がない高月齢の子どもを持つ保護者は、当然有利と言えるでしょう。


メリット⑷
1歳近くまで家で見られるため、赤ちゃんの時期をより長く一緒に過ごせる

子どもたちは4月に一斉入園するため、それよりも早く生まれていれば、それだけたくさん家で一緒に過ごせるというわけです。

特に共働き家庭の場合、平日は仕事に遅れないようついつい子ども急がせて怒ることが多くなってしまうことや、土日しか子どもと遊びに行く時間がないなど、保育園に入れてしまえば子どもとゆっくり過ごす機会があまりありません。

そんな中、高月齢生まれだと1年間ゆっくりと子どもと過ごす時間を楽しんだ上で、競争率があまり高くない0歳児で入園することができる。
これは紛れもなく、高月齢児を持つ保護者ならではの特権ではないでしょうか。


1歳児入園の場合

画像3

空きが少なく、全国的に見てなかなか入園が難しいのが1歳児です。
この場合は0歳児入園ほど誕生月の違いによって入園のしやすさに大きな差が出るわけではありません。

しかしながら、だからと格差がないわけではないのです。
それが次のメリットになります。


メリット⑸
産休や育休期間で世帯収入が下がった年度の税証明で選考される

保育料が低いということは納税額が低いということであり、結果的に保育園に入りやすくなります。

例えば4月生まれで1歳児入園の場合、その保育料は前々年度の世帯収入で決まります。


画像1


出典:保活まにゅある「保育料はいつの年収で決まる?保育料と年収の関係を確認しよう!」

図から分かるように、高月齢生まれの場合は産休や育休で世帯年収が下がった年度の税証明で選考されるわけです。

反対に、早生まれの場合は産休や育休に入る前の世帯収入で保育料が決まってしまいます。

そのため、同じ世帯収入だと高月齢生まれの方が選ばれることになり、ここでも有利となりました。


まとめ

保活における高月齢生まれのメリットは全部で5つ。
⑴保育園の選択肢が多い
⑵ 保育園見学したり申し込みしたりするのがラク
⑶お金の負担が少ない
⑷ 1歳近くまで家で見られるため、赤ちゃんの時期をより長く一緒に過ごせる
⑸ 産休や育休期間で世帯収入が下がった年度の税証明で選考される

保活のためにバースコントロールが行われたり、早生まれになってしまった子どもたちが残念に思われたりするのは、非常に悲しい話です。

しかしながら、保活は制度上どうしても生まれた月によって不公平になってしまいます。
うちは高月齢生まれだからと安心した方も、周りには真剣に悩んでいる方がたくさんいるかもしれません。
あくまで周囲の方への配慮は忘れないでくださいね。

ライター:中村大我(保育士・保育ライター)
東京都の23区内で働く保育士。子育て支援のための活動を精力的に行っている。最近はnote(うほうほ保育園)に子育てノウハウの記事を書いたり、絵本の制作協力を行ったりしている。
「口だけではない子育て支援」をモットーに日々力を入れて活動中。24歳、2児の父。
note (うほうほ保育園):https://note.com/back_hoikushi

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?