【新生活と母親と趣味】
田舎に引越ししたことは、私にとって大変嬉しいことでした。なぜなら、趣味の団体は引越し先の田舎にはなかったからでした。
母は趣味のこととなると人が変わります。
初めて野球を知った少年のように楽しそうになったり、少しでも私が力を抜くようなものなら般若のように起こります。
私は、確かに「すごいこと」という感情は持っておりましたが、やりたいかと聞かれると「やりたくない」とういのが正直なところでした。
だからこそ母に趣味について怒られるというのが、なんとも素直になれないのです。このことを母に話すと、母がヒステリーを起こすことが目に見えてわかることなので、まだ一度も話したことはありません。
しかし、この趣味が私をこの先もずっと苦しめ、身体に支障をきたすことになるとは、このころの私には考えも及びませんでした。
後に親戚の方から聞いた話では、その趣味の打ち上げパーティーでは、母は見事に酔っ払い、まだ小学校に上がっていない私と、その2つ上の姉が居酒屋の椅子でスヤスヤと眠っていたようです。
田舎の小学校に進学した私は、その初登校の日に絶望しました。
家に帰ると母は庭で趣味を行なっておりました。そしてその瞬間に私は察知しました。
「ここでもやるんだな」と。
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