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花織草子|かおりのそうし
春は揚げ物。
やうやう黄金色になりゆく衣ぎは、
すこしもろくて、乳白色のチーズの、
細くたなびきたる。
かじるは、熱。
揚げたてはさらなり。
ころもの多く飛びちがひたる。
また、ただ一つ二つなど、
チーズのほのかにうち出でて行くも、をかし。
塩をつけるも、をかし。
仕方は、簡素。
味噌を入れて、楓の蜜といと混ぜたるに、
チーズの寝どころへ注ぎ入れるとて、三つ四つ、
二日三日など、漬けつづけるのさへあはれなり。
まいて、チーズの連ねたるが、いととろけて見ゆるは、
いとをかし。
焼き芋をつぶして、チーズを入れ、包んで揚げるなど、
はた、言ふべきにあらず。
味は、ばつぐん。
ほっぺの落ちたるは、言ふべきにもあらず。
味のいと甘辛きも。
またさらでも、いと熱きに、
麦酒やぶどう酒など急ぎ飲みて、
箸もて笑うも、いとつきづきし。
残り一つになりて、ゆるく探りを入れていけば、
みんなの意も、じゃんけんになりて、
めでたし。
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【うその現代語訳】
春は揚げ物。
だんだんきつね色になっていく衣の端っこが、
少しもろくなって、
白いクリームチーズが、細く伸びている。
かじると熱い。
揚げたてはもちろんである。
(一口かじれば)衣が多くはじけ飛ぶ。
また、コロッケの一つ、二つなどからは、
チーズがほのかに垂れ出ていくのも趣がある。
(味が薄ければ)塩をつけるのも美味である。
作り方は単純。
(保存容器に)味噌を入れてメープルシロップとよく混ぜ、
3,4つくらいのクリームチーズのところへ注ぎ入れ、
2日3日ほど漬け続けるのさえ
(すでに)美味しそうに見える。
まして、(保存容器の中の)チーズが
とてもとろけて見える様は、たいそう趣がある。
焼き芋を潰して、(中に)クリームチーズを入れ、
包んで揚げるのは、また、言うまでもない。
味は、抜群。
ほっぺが落ちるのは言うまでもない。
味がとても甘辛いのもいい。
またそうでなくても、とても熱いので、
ビールやワインなどを超特急で飲んで、
箸を持ったまま笑うのも、
とても(晩酌や楽しい宴に)ふさわしい感じがする。
残りが一つになって、(他に食べたい人がいるかどうか)
なんとなく探りを入れていくと、
みんなの意見も、「ここは一つじゃんけんで決めましょう」ということになり、
めでたしめでたし。
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【焼き芋と味噌漬けクリチーコロッケの作り方】
1.味噌漬けクリームチーズを作る。
味噌とメープルシロップを同量ずつを混ぜたものにクリームチーズを2日間漬ける。
※ここですでに美味。つまみ食いが過ぎてコロッケ用のチーズが無くなるかもしれないがまたそれもをかし。
2.焼き芋、そして大和芋と片栗粉(つなぎ)、1の漬け床(下味)をマッシュしたものに、味噌漬けクリームチーズを入れて成型する。
※柔らかくてちょっと丸めにくいかもしれないけれど頑張りどころです
3.小麦粉、卵白、パン粉をつけて160度の油で揚げる。はふはふしながらどうぞ。お塩などお好みで。
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