夜逃げ後に使わなくなったパンチバッグ。
今日の帰り道。
ふと、自分がクローゼットにしまい込んでいるパンチンググローブ&パンチバッグを思い出した。
実家を逃げ出してから一度も使っていない。
懐かしいなぁ…
夜逃げ前の私は、自分へのあまりに理不尽な実家での扱いに怒り心頭…。
しかし、人を殴るなんてできなかった。
私は虐待を受けて育ったから余計に人を殴るなんてできない。
殴ったら痛い。
当たり前だよ。
人を殴っちゃダメ。
だからドン・キ〇ーテのパンチバッグを買ってきてボコボコにしてスッキリしていた…
が、
3日も経てば恐ろしくなった。
逆に、『アレを殴れば済む感覚』が怖かった。
パンチバッグを殴ってスッとしたのも束の間。
こんなセリフが頭をよぎった。
『イライラするなぁ…
家に帰ってアレ殴ってスッキリするか…』
…ゾッ
これは…家に帰ってきて不機嫌を撒き散らす父も同じ気持ちだったんじゃないか(よっぽど手はあげませんでしたが…ひどいアルコール依存でした。大声も出しました。)
八つ当たりをする人は『八つ当たり行為』でしかストレスを掃かせられない。
八つ当たりで解消することが普通になってしまっている。
…ゾッ
……うわ…わぁぁあ…っっ…
嫌だ
嫌だ
嫌だ!!
私は必死にパンチバッグのいらない場所へ引っ越した。
パンチバッグを殴ってストレス解消。
これ自体を非難や否定はしない。
家庭で殴って済ます。
❝家❞で殴るのがダメなの。
『家でなら何したっていいだろ!』
『家でくらいありのままでいさせろよ!』
赤鬼のような顔をした父を思い出す。
甘ったれるな!!
家庭はあなたのサンドバッグではありませんよ。
家は『過ごすところ』です。
家は『暮らすところ』です。
家は『殴るところ』ではありません。
『家=ストレス解消の殴り部屋』
そんな風になれば、
殴る人にとっても悲劇です。
パンチしてストレス解消したいならジムに行きましょう
大声出したいならカラオケ行きましょう
クダを巻きたいなら飲み屋に行きましょう
❝家庭は取り繕わなくていい場所❞
❝家庭はありのままでいていい場所❞
ありのままでいられる人はそれが楽だろう。
だが、家庭はこの世で最小のコミュニティの単位でもある。
人が産まれて初めて接する社会とは大抵は家庭なのだ。
人としての最低限のルールは家庭にも存在しなくては立ち行かなくなる。
同じ屋根の下、暮らしていくのに。
感情をただ顕にすることを無条件に許してしまっては立ち行かなくなる。
家庭は人間社会なのだ。
狂った人間社会から逃げ出した私は間違ってはいなかったさ。
信号が変わった。
私はハンドルをしっかりと握り直した。
自宅まであと10分で着く。
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