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今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景・追録』から「住み良しの浜」です。 実りを得た後の暮らし。 不変と安寧の陽を浴びつつ微睡む自分。 これが正しい。正しいはず……。 なのに。 心の中で舞う澱のような、何かが。 なりたい自分と、今の自分とのギャップ。 求めていたはずの姿と、たどり着いた先で佇む自身のありよう。 坂の上にある一朶の白い雲を求めて必死に駆け上がった……その先で、果たして自分は何をして過ごしているのでしょうか。 この情景は、書き手側である
今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「天境線」です。 地平線じゃないんだ? たしか、椎名誠のエッセイで昔、見かけたことがあって……。 とても好きな響き。 「天境線」というフレーズを、実際に小説の書きぶりのなかで使ってみたかったんです。 地面にではなく、天空側に着目したフレーズ。 これはこれで透き通った響きがして好きですね。 この言葉を見かけたのは、確か国語の教科書だったと記憶しています。 調べると、椎名誠さんの「遠く、でっかい世界」で使われて
今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「半透明でおぼろげな」です。 窓ガラスごしに眺める景色。 窓ガラスが反射して映し出すもの。 重なったときに生まれる情景のこと。 ずいぶんと静かな情景です。 雨が降る日にそれを眺めていただけの、それだけの情景を書き出しています。 ただ、個人的にはかなりお気に入りの情景。 この「半透明でおぼろげな」は、雨が街を潤す景色を眺める、というシーンを描いてみたくて書いたものです。 そうして過ごす時間の、静かでゆったりと
今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「送り雪」です。 浅い春のなごり雪。 出立する子を見送るために車を走らせる親。 送る人のそばに舞う、ちりのような。 晴れているのに、粉雪が舞っている。 まれにある不思議な天気です。 おかげで空気はつめたくて、ダウンジャケットのポケットに手を突っ込んだまま、玄関を歩いて駐車場へ。 見送る人に寄り添うように。 そういうふうに舞うから、“送り雪”。 そんな情景をこの掌編にしたためました。 余談ですが作中では、
今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「海に碧を溶かした」です。 せっかくなら、気持ちがいい一日を過ごしていたいものですね。 晴れてゆく様子。それから晴れ模様を目にしたときの情景。 海を見て、山に登りたくなった。 もっと高いところから、見下ろしてみたかったのでしょうか。 見晴らしが広がっていく情景、お楽しみください。 ※※『あなたが見た情景』は、目の前の景色を眺めるように情景を思い描ける、ちょっとしたお話のあつまりです。※※ も大丈夫。 ぜ
今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「飛行船と見張り台」です。 空のうえ。雲のうえ。飛行船のうえでの情景。 透いて晴れた空でも、空気は冷たいでしょうね。 高度はどのくらいなのかな。2000はないかな。 とか、なんとなく思いながら、飛行船の見張り台で眼下の景色を眺める様子を書きました。 少年少女が背中合わせで空に佇む様子。 中空で孤独を感じつつ、互いの存在を確かめあえる距離感を感じ取っていただけたら。 ……なんでクジラ? ほら、ファンタジーだ
今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「朝の感度」です。 朝がきて、 起きる? 起きない? そんな情景。 スマホが手からするりと。 重力にしたがって、 のしかかり。 アレ、意外と痛いですよね。 鼻梁(びりょう:はなすじ)とかに当たったらもうたまりません。 ご用心を。 ※※『あなたが見た情景』は、目の前の景色を眺めるように情景を思い描ける、ちょっとしたお話のあつまりです。※※ どこから読んでも大丈夫。 ぜひ、目次から好きな情景をえらんで読ん
今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『大樹に立ち、青空を天に。』です。 大樹から地べたを見下ろす誰かが、ひとり。 かすれていく記憶を胸に秘めたまま、眼下の在り様をありのままに捉えたショートショートです。 ……なんて、上記のような紹介の仕方だと、正直よくわからないですね! なんか、煙に巻かれてるような、わかるようでわからないような、でも、ホントそういうショートストーリーなんです。 読んでください! 「あとがき」にもこの旨をちょっと(いやかなり)率直に白状したのですが
今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『薄れゆく夏の陽』です。 都会を「向こう」と呼び、故郷(こちら)に戻ってきた青年・染谷修司。 彼はそこで、女子高生の涼香と再会します。 都会を「向こう」と呼び、向こうでがんばってきた青年が、故郷(こちら)でのひとときを過ごすショートストーリーです。冒頭で、夏の夜の情感を味わってください。 実は、ほぼ4000字で〆ることを最初から決めて書いた掌編です。 なので、今こうして振り返ると、もうちょっとじっくり長めのお話にしてもよかったか
今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『言葉が焚きつけてくる』です。 焚きつけてくる、とは。いったい、何が何を? ぜひ、読んでみてください。 これは、創作活動を続けるとあるふたりのショートストーリーです。 創作をつづけていると、自分以外の誰かが手がけたものを、必ずどこかで見ることになりますよね。 時には自分の意思と関係なく、巻き込まれ事故のように、他人の成果や鮮烈な創作物を目にしてしまうこともしばしば。 自分が踏み込んだ分野で。 はたまた自分とは全く違う領域で。 奮
【カクヨム掌編小説】『そばにいる彼は空気のようで』 今回ご紹介する掌編小説は、カクヨムに投稿している『そばにいる彼は空気のようで』です。 いつもふたりでいるときの落ち着いた雰囲気がすき。 ふたりでいる時間が経つほどに、目新しさも新鮮味も薄れていくのかもしれない。 それでも、それは失くしてしまいたくない。 そんな彼と彼女の思いが穏やかに交差する、大人の恋愛掌編です。 なお、こちらの掌編ですが、ありがたいことに大変ご好評いただき、2021年に新潟のキャスdeわらしべ企画様の
【カクヨム掌編小説】『あのひとを追う僕は』 今日もあっづいですね。おはようございます。 今回ご紹介するのは私がカクヨム(※)に投稿している掌編小説『あのひとを追う僕は』です。 (※カクヨム:KADOKAWAさん運営の小説投稿サイトで、私もそちらに色々小説を投稿しています。) あのひとを追っていた「僕」のひと幕。 するっと読める恋愛掌編です。 ぜひ読んでみてください。 小さなころはきっと、こうしてお姉さんに手を引かれていたこともあったのだろう。 こういうことって、たぶん
【Prologue掌編小説】『あの音』 小説1本あたり2,000字までのショートストーリーを楽しめる投稿プラットフォーム『Prologue』にこちらの掌編を置いています。 500字もない、すぐに読める掌編です。 タイトルは『あの音。』 何の音か想像しながら読んでいただけると嬉しいです。