大丈夫になれる人
大好きな職場の方たちとの飲み会は、ついつい飲みすぎてしまう。
気がつけば5人中3人が終電を逃しているという始末。
そしてなぜか、同じ方面に向かうはずの2人とはぐれ、わたしは反対方向の2人についてホームまで向かっていた(本当になんで??)
店長と、好きな人。
2人は同じ電車で帰るはずだったのだけど、きっとわたしがまた面倒な事を言っていたのだろう、、
店長は、わたしたちが目を離した隙に、1人電車に飛び乗って帰宅。
店長の逃げ足の速さがとても好き。
取り残されたわたしたち。
彼が
''とりあえず電車に乗りな!あっちまで行ってあげるから!''
とわたしの手を引いて反対側のホームまで。
一つ目の乗り換え駅までの終電が来るところだった。
酔っ払いのわたしは
''帰っちゃうんですかー?やだー''
と駄々をこねていた。
(良い子は真似をしないでくださいね)
断片的にしか残っていない記憶。
気がつくと、彼の腕の中に包まれていた。
???
''はいはい〜ちゃんと帰ってね''
と彼はわたしの頭を撫でた。
???
こんなことが起きてしまっていいのだろうか、、
心地よい体温、わたしの顔がちょうど肩に乗るくらいの背丈、細すぎずほどよい肉感のある身体。
そしてふわっと香る香水。
すべてが好きだった。
彼に包まれていた時間は、きっと数秒なのだけど、まるで映画のようにゆっくりと景色が動いて見えた。
彼が家に来た時に感じた、この上ない安心感。
あの時と同じ感覚だった。
なぜだか、彼といると大丈夫になれる。
無事(?)解散したタイミングで、店長から電話がかかってきた。
''大丈夫?''
こんなわたしを心配してくれる優しい店長、、ありがたい。
仕事でしっかりと恩返しをしなければ。
店長との電話を終えてLINEを見ると、彼からもメッセージと不在着信が来ていた。
''大丈夫?帰れる?''
わたしが万が一帰れなくなった時のために、少しだけ駅で待っていてくれたらしい。
優しい、、、
その後もわたしが家に着くまで何度も連絡をくれた彼。
また愛を感じてしまったよ。
わたしにとって彼は、''大丈夫になれる存在''だと気付かされた。
そしてそれが如何に尊いことか。
なんとなく人に合わせることはできるし、''潤滑油''と言われるくらい、人との間に入ることも得意な方だと思う。
でも、だからこそ
気づかないうちに自分の心に負担をかけてしまっていたりする。
彼や、心を許せる友人たちと一緒にいると涙が出そうになる瞬間があるのは
ぎゅっと固くなった心を解いてくれるからなんだね。
この気持ちを忘れたくない。
彼への気持ちが実らなかったとしても、今この時間、わたしを大丈夫にしてくれた人だという事実を残しておきたい。
そして、わたしも彼の''大丈夫''になれたらいいな。
''酒は飲んでも飲まれるな''と言うけれど、飲まれて良いことも時々あるよね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?