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『罪と罰』(ドストエフスキー)

皆さんは外国の古典文学を読みますか?
私は20代まではよく読んでいました。逆にそれまでビジネス本を読んだことがなく、30代からビジネス本が多くなりました。

仕事に役に立つかでいえば、圧倒的にビジネス本の方が即効性があります。
文学は仕事に役立つかと言われれば、自信を持ってYESとは言いにくいところがあります。ビジネス本の即効性がクセになり、30代からは文学から離れる日々が続きました。。

さて、そんな文学リハビリが必要になった昨今、久しぶりにハードな古典文学を読みました!
タイトルだけは聞いたことがあると思いますが、ドストエフスキーの『罪と罰』です。

大学時代、教授にこんなことを言われました。

「日本は幸せだ。各国の文学が翻訳されているのだから」

その時はピンときませんでしたが、なるほど確かに『罪と罰』もかなり翻訳されています。

①罪と罰(光文社古典新訳文庫)2008年
https://honto.jp/netstore/pd-book_29687399.html
②罪と罰 改版 上 (角川文庫)2008年
https://honto.jp/netstore/pd-book_03049523.html
③罪と罰 上 (岩波文庫)1999年
https://honto.jp/netstore/pd-book_01708305.html
④罪と罰 改版 上 (新潮文庫)1987年
https://honto.jp/netstore/pd-book_03294866.html


実は『罪と罰』は20代の時に新潮文庫で一回読んだことがあります。読みにくくて辛くて仕方なかった思い出が今でも忘れられません。

今回は最近翻訳された光文社文庫で読みました。新潮文庫で苦戦したのが嘘みたいにすぐ読めました。光文社文庫は古典文学を現代語訳でかなり分かりやすく翻訳するシリーズを出版しているのでオススメですよ。

・・・

前置きが長くなりましたが『罪と罰』の話です。舞台は1860年代のロシア帝国です。

ロシア帝国?って思う方がいると思います。ロシア史を少し頭に入れないとついていけないかと思います。添付画像に年表を書いておりますので、参考にしてください。もう少しするとロシア革命が起きてソビエト連邦が誕生します。

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|天才は法を超えることができる?

当時の首都はぺテスブルグ、街には貧困層が溢れ、物乞いで溢れるという地獄の様相です。
主人公はラスコーリニノフ。法律を学ぶ優秀な学生でしたが、学費を払えず退学しています。彼もまた貧困層です。

彼には「天才は法律を越えてでもなすべきことがある」という思想がありました。
一人殺したら犯罪者でも、戦争で何千人も殺せば英雄になれます。当時の60年ほど前にフランス革命が起きていますので、彼のなかでナポレオンが神格化されています。

ということで、独自の犯罪論をもつ青年は、悪徳金融業者から金を奪い、それを糧に優秀な自分が学業に励むことに正当性を覚えてしまいます。誰にも好かれていない悪徳業者を抹殺し、その金で自分が何か社会に役立つことを成し遂げればいいじゃないか、そういう思想です。
その思想に従い、犯罪を実行するのですが、そのあとは罪の意識に悩まされ続けます。
法律による罰を受けることは冗談じゃないと思っているのですが、罪の意識により、幻覚が見えたり高熱が出たり、勝手に罰を受けてしまうのです。

精神的におかしくなってしまい、おかしな挙動が目立つようになりますが、自分とは真逆の聖女のような心を持った女性と出会い、彼の思想が少しずつ変化を起こし。。。


|理論は実践してこそ、実運用に耐えうるものになる

というのが『罪と罰』の簡単なあらすじです。
久しぶりに読んだ感想としては、とても多面的が読み方ができる傑作だなと思いました。
肝となる独自の犯罪論もありますが、それよりはもっと抽象的に捉えて、頭でっかちの理論をいざ実行に移すと全然予定通りいかずに理想と現実のギャップに打ちひしがれる青年、というところが私は面白く感じました。

ラスコーリニノフのやったことは犯罪ですが、理論を実践して、現実とのギャップを埋めるという行為に関しては、どんどんやるべきだと思います。理論をたて実践してブラッシュアップしていく。理論だけ膨れ上がっても何も解決しないし、やってみて修正して良いものにしていくというプロセスを大事にしようと思いましたね。

あとは当時のロシア帝国の貧困層の暮らしとか、擬似体験できるのも面白みの一つですね。昔、難しすぎて挫折した古典文学も多々あるので、光文社文庫で探してみたいなと思いました!!


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