マガジンのカバー画像

シネマテーブル by maeda penclub

70
前田ペンクラブの映画鑑賞履歴を感想を添えてまとめています。
運営しているクリエイター

2020年12月の記事一覧

『永遠の門 ゴッホの見た未来』(2019\イギリス、フランス、アメリカ合作)

『永遠の門 ゴッホの見た未来』(2019\イギリス、フランス、アメリカ合作)

決して美しいとはいえないおじさんの顔のドアップが多い。激しい手ブレのようなカメラワークと冗長な心情描写が目立つが、それはゴッホの精神世界を表現していると思われる。でも興味ない人が観ると劇中の登場人物がゴッホの絵を評するように不快になるんじゃなかろうか。(興味ない人は観ないかな)

最後の方にゴッホが神父と問答する場面がある。最初はゴッホの狂人ぶりに引き気味の神父だったが、氷が溶けるようにだんだん理

もっとみる

『蜘蛛女』(1993/アリメカ)

若かりしゲイリー・オールドマン扮するクズ刑事はマフィアに警察内部の情報を横流して富を蓄える。既婚者にも関わらず、その汚い金で若い愛人も囲うというクズ中の悪徳クズ刑事が主人公のジャックだ。
そこにレナ・オリン扮する超極悪女マフィアがやってきて大騒動を巻き起こすのが『蜘蛛女』という映画である。

クズ中のクズだが主人公はちょっと応援したくなる魅力があり、女マフィアはキャラクターが強烈で笑い声と佇まいは

もっとみる
『そこのみにて光輝く』(2014/日本)

『そこのみにて光輝く』(2014/日本)

舞台は函館。希望のない底辺労働者の日常を綾野剛がじっとりねっとりした演技で魅せる。池脇千鶴もいい感じの悲壮感を重ねる。

しかしだ。綾野剛と池脇千鶴もいいが、弟役の菅田将輝が一番いい。主演は前者だが、菅田将暉の演技がすべてを凌駕する。もはや彼のための映画である。

綾野剛も池脇千鶴も顔面偏差値が高いため、それっぽい演技をしたところで地方の底辺労働者の顔には見えない、残念ながら見えないんだよ。
でも

もっとみる
『ベイビー・ドライバー』(イギリス、アメリカ/2017)

『ベイビー・ドライバー』(イギリス、アメリカ/2017)

カーチェイス、ロック、やんちゃな青春。この三つのジャンルからなる完全なるエンタメ映画。どれか一つでも好きならきっと気にいると思います。

主人公は寡黙な若者なのですが、好きなロックミュージックを聴くと、凄腕ドライバーに変身します。誰を乗せるかといえば、一仕事終えたギャングを逃すために乗せるのです。つまりヤバい案件に加担してるわけです。

その案件も最初は順調だったんだけど、好きな女の子ができてから

もっとみる
『素敵な歌と舟はゆく』(1999/フランス,スイス,イタリア)

『素敵な歌と舟はゆく』(1999/フランス,スイス,イタリア)

監督はオタール・イオセリアーニで、グルジア出身の鬼才らしいです。グルジアってどこって話ですが、旧ソ連の構成国で1991年に独立したそうです。彼の映画は旧ソ連下で公開禁止だったらしいのでパリに移って監督業を続けたとのこと。(ぼくの好きなWikipedia情報)

さて映画の舞台はパリ郊外。裕福な家庭に住む息子と父の物語、街でナンパばかりしている男の物語です。日常の1コマを切り取ったような映画であり、

もっとみる