【コラム】資産に対するインフレの影響を軽視する人が多いのはなぜか
みなさん、こんにちは。今回はインフレをテーマにコラムを書いてみたいと思います。
資産に対するインフレの影響を軽視する人は多い
皆さんの中で、資産に対してインフレがどのような影響を与えるか、を考慮している人はどのくらいいるでしょうか。恐らく多くの人がこの観点を軽視しているのではないかと思います。
資産運用をしている人の場合、一つの利回りの目線は、
であるとされています。
一見すれば、資産運用によりリターンが出た、と思ってしまうときでも、同時にインフレがそれ以上に進んでいれば、実質リターンはゼロ以下になってしまうからです。
とはいえ、予想できないインフレ率を上回るといっても何をしているのかよく分かりませんよね。そういう人は、一つの目線として2〜3%を利回り目線として持っておきましょう。なぜなら、各国の中央銀行が目指すインフレ率のターゲットは2%だからです。
収入はある程度インフレに連動する
収入とは多くの人にとっては賃金であり、賃金上昇率はインフレ率との関係においてしばしば登場します。
モノを販売する企業であれば、物価が上昇すれば自然と売り上げが上昇しますが、同じく製造コストが上昇していれば、純利益は変わりません。人件費を上昇させなければ純利益を大きくする要因になりますが、これは労働組合が許しません。したがって、春闘において賃金交渉が行われ、物価に合わせて賃金を上昇させる、という動きになるのです。
ただ、労働組合に積極的に参加する人は多数派ではありませんので、多くの人にとっては
ものでしょう。
賃金が上昇するのであれば、物価が高くなっても生活実感は変わりません。よって、インフレの影響はいい意味で自然とかき消されるのです。
ただし、サービスを提供している企業などは物価の上昇を考慮しながら経営を行わなければ、こうした自然な調整には繋がりません。
昔ながらの定食屋が世の中の物価上昇に関わらず、何十年と値段を変えないことを貫けば、いずれは潰れることになります。原材料費は上昇し、人件費も安く抑えることはできなくなるからです。値段を上げることは悪いことではありません。
資産が少ないとインフレに対処する必要性が少ない
若年層ほどインフレ率を意識していない人が多い、という現実もあるかもしれません。
社会背景としては、バブル崩壊後、日本のインフレ率が低迷したこともありますが、何より、社会人になるまでは常に経済活動は徐々に大きくなっているはずだからです。小学生の支出と大学生の支出は通常は後者の方が大きいので、社会の変化であるインフレに対しては鈍感になりやすいと言えるでしょう。
また、若年層の場合、資産は中高年に比べて少ない傾向があります。収入は前段のとおりインフレに連動をしますが、資産は放っておいてもインフレに連動はしません。
という意識を持っておくと良いと思います。1,000万円の資産で10%のインフレが起こることと、10億円の資産で10%のインフレが起こることは体感が異なるのです。
未曾有の経済対策で日本にもインフレが来るのか
新型コロナウィルス流行を受けて、政府は大規模な緊急経済対策を練り、日本銀行はこれまでの金融緩和策を大幅に強化しました。その対策はリーマン・ショックのときの何倍にもなる規模だと言われています。
これだけの景気刺激を行い、世の中に資金が溢れれば、通貨価値は低下し、インフレが起こる、と予想する人も多いです。そして仮にインフレが起こったとしても経済回復は遅れるので、不況下においてインフレが進行する、いわゆるスタグフレーションが来るかもしれません。
また、以前であれば日本の金融緩和度合いがアメリカやヨーロッパよりも大きかったですから、米ドルやユーロなどの資産へ分散をすることで一種のインフレヘッジができていましたが、今回のことはではアメリカやヨーロッパの方が大規模な対策をしています。したがって、同じロジックで他国でもインフレが起こる可能性はあり、通貨分散によりできる資産保全能力は低下しています。
インフレに対処するコストは高くないが、対処せずインフレを迎えた場合のダメージは大きい
平成の時代はデフレマインドだったわけですが、令和に入ってインフレに転換する可能性があるかどうか、経済学的な見方は様々であるとは言えるでしょう。
理論的なことは話ができても、理論のとおりに社会がそうなるかは分かりません。インフレとは結果でしかないので、なってみないとインフレだったとは言えないのです。ではどうしたらいいのでしょう。
一つのポイントは
ということであろうと思います。
インフレに対処する方法は、不動産のような現物投資を行うことで主に解決ができ、あるいはインフレに連動する金融資産を保有するという方法もあります。
いずれも何か特殊な商品というわけではないですし、インフレであろうとなかろうとリターンはそれなりにあります。
したがって、インフレに対処することは何かを諦める行為にはならない、と言えるでしょう。ただ、現金や預金を離れない限り、あるいはインフレに強くない資産を持つという選択をする限りインフレのリスクはヘッジされないのです。
もう一つのポイントは、
ということです。インフレになった場合、1%などの軽度のインフレであれば正直生活に与えるインパクトはささやかなものでしょう。何かを節約するか、より安い代替品を探せばいいのです。
ただ、どうでしょう、例えば新型コロナウィルスの流行で、普段では考えられない価格でマスクやトイレットペーパーを買った人はいませんか。もし買った人がいればあれがもっと長く、そして様々な商品で起こるというイメージを持ってみてください。とてもとても生活が成り立たなくなる、とは思いませんか。
何も新興国のようにハイパーインフレが起こると仮定する必要はありませんが、仮に食品や生活必需品で高インフレが起きるだけで、十分生活はダメージを受けるのです。
年をとるにつれてインフレのことをよく理解して生きる必要があるのです。
こちらの記事もよくまとまっていますので参考にしてみてください。
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