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【前半】高校生の学びを伴走するバディ体験談 

SHIMOKITA COLLEGEでは、偶発的な学びが生まれる仕組み/多様性豊かなコミュニティ/学びや成長へのサポートの3つの特色に基づいた、様々なプログラムを提供しています。今回は、そんな取り組みの1つ「バディ制度」について詳しくご説明するため、昨年卒業したボーディングプログラム'23春期生(6期) の成長を見届けたバディのみなさんに話を伺いました。

ホームとは…?
ボーディング・プログラムには、異年齢構成の高校生複数人とホームバディによって構成される<ホーム>があります。ホームは仲間と何かをつくったり決めたりすることで、自分たちの手で自分たちの体験をつくっていける、環境に働きかけてよりよく変えていける、という手応えを重ねる場です。
ホームバディ(以下、バディに略称)とは…?

高校生の健やかな生活と活発な交流に伴走し、ボーディング・プログラム期間で高校生を成長へと導く役割です。

■話し手
-   高橋 凜さん
駒澤大学経済学部商学科2年生。ゲーム理論のゼミに所属している。
興味分野:行動経済学、認知バイアスなど
趣味:将棋
-   三戸部 友治さん
 
国際基督教大学2年生。リベラルアーツを中心に学びを深めている。
興味分野:複雑系科学、思想、chatGPTなどのAIなど
趣味:ランニングや考えること
-   渡辺 紗於里さん
Central European University1年生。(東京大学教育学部三年次を休学中)
興味分野: 文化、芸術、戦争、教育など
好きなもの: 油絵、キャンドル、シーシャ
■聞き手
-   原田 遼太郎さん|HLABスタッフ


■ バディをやってみようと思ったきっかけや経緯について

友治さん(以下、敬称略):「やってみたら」と誘われたのがきっかけです。過去に居住していたBP生(ボーディングプログラムの略称)と話す機会が多かったというのも理由の1つです。
紗於里さん(以下、敬称略):私自身、これまで高校生が何かの気付きを得てハッとしている場面に立ち会うことが多かったんです。だから、そうした瞬間に連続的に触れてみたいなと思って。
凜さん(以下、敬称略):ずっとバディとして携わってみたいとは思っていました。私の性格上、高校生と仲良くなりやすかったのもあったと思います。けれど、いざやるとなったときに本当に責任を持って請け負うことが出来るだろうかと悩んでいました。そんなときにはらたろう(インタビュアー)から「良い経験になるだろうし、やってみるのはどうだろう?」と背中を押されたので、思い切って挑戦を決めました。

■ バディに対する印象

凜:高校生にとってのカレッジの親。でも実際そこまで堅くなかったように思います。
紗於里:それでいうと、お母さんとか。過去のBP生はそう例えていましたね。
凜:人によってそれぞれだろうと思います。私自身も、バディに対して固定的なイメージはありませんでした。
友治:僕はバディという肩書きがつく、というくらいの印象でした。バディって高校生と最初に立ち会って、プログラムの3ヶ月間を終える前に実施される発表会で総評として何か話す、くらい想定をしていました。
紗於里:発表会のバディの総評の際に、歴代バディのみんなが「高校生から影響を受けました!」と言っていて「本当かな?」とか内心思っていました(笑)保護者に伝えるための言葉じゃないのかな、と。みんな発言する内容が似通っていたので…。

■ 特に印象に残っていること

友治:正直にいってこんなに仕事しないといけないだ、という印象が強いです。
紗於里:確かに、マンスリーレポート(※1)は大変でした。
友治:本当にマンスリーレポートだったり、保護者の挨拶やチェックイン等の日程調整だったり。諸々、負荷のかかることでした。
凜:逆に私は思っていた通りでした。バディをやらなかったら得られなかった関わりはあったなと強く感じていて。担当した高校生の意外な一面を3ヶ月という期間を通じて間近で見られたことは成長や変化を感じることが出来てすごく良かったと思っています。
友治:それでいうと、ちゃんと人という重みを知ることが出来たのは、大きな体験でした。これほどまでに、高校生1人1人と向きあって、ああだこうだと語り合うことはなかったから。自分の中で人という、特別な概念が実態を帯びた人として認識することが出来た、というのは1つの学びだったかな。
遼太郎:基本的に重みというのが指しているのは、その人の過去、とかそうしたところを指しているのかな。
友治:その人の過去であったり、人生における片棒を担ぐところですかね。
紗於里:伴走していた高校生が会う度に用いる言葉に変化が見られていたことは、印象的な出来事の1つです。「ものすごく大きな変化があったわけではないけれど、今まで起こりえなかったことが今ここで起こっているのだな」そんなことを感じながら、高校生と語らっていました。
一方で、高校生との対話に苦戦していた時期も感慨深い出来事です。2人で向き合って話しているにも関わらず、全く目が合わなくて。何かに思い悩んでいることがあるのか、壁にぶつかっているのか。そこで「本当に自分の好きなことしてみたらいいんじゃない?」とアドバイスをしました。そこから、カレッジで連絡ツールとして用いているSlack内で個人channelを立ち上げて内面を共有してみたり、文芸ハッカソンといったイベントを開くことに挑戦をしている姿を見かけたり。私の言葉を受けてこれまで潜在的に眠っていた何かが目に見えて形になっていったんです。その高校生に巻き込まれたカレッジ生が笑顔になって語らっていて。花開くような瞬間を伴走することによって見届けることが出来たのは感慨深く、良い体験になりました。
凜:ボーディングプログラム期間中に沢山の写真を撮影したのだけど、最初と最後のリフレクション(※2)の写真を見比べると表情が全く違っていて。ホームトリップ(※3)のときもそうだったけど、見たこともないいきいきとした表情を見ることが出来たのは特に印象的でした。表情が豊かになったのは、時間が経過するごとに関係性が深くなったからなのか、カレッジという空間がもたらしたものか、分からないけれど、高校生の顔や性格がどんどん明るくなっていって。最初は「(保護者へのレポートに添付するために)撮らなきゃ」と義務的なものだったけれど「今、この瞬間を写真に収めたいな。」と心から思えるような機会がどんどん増えていって。それは親元を離れて暮らす高校生と伴走するバディだからこそ、一番高校生の変化に気付くことが出来るし、そこからより高校生の学びと成長を後押しするために生活を支えていくことが出来る、そんな喜びに触れることが出来ました。

※1 マンスリーレポート
月に一度、担当ホームの高校生の保護者に対して、1ヶ月間の様子をまとめたレポートを作成し、送付します。チェックイン時に高校生本人が話したこと、1ヶ月間のカレッジでの様子とバディ視点で気づいたことをそれぞれまとめます。
※2 リフレクション
主に以下2点の目的を持って開かれる、対話と内省の場です。
①日々の生活を振り返り、現状を共有する
②多様な視点・考えに触れること
※3 ホームトリップ
1学期に1度、Boarding Programではカレッジを飛び出し、ホーム単位でトリップを企画するプロジェクトに取り組みます。いつも過ごす下北沢から外に出ていくことで、日常を離れて非日常の中でお互いのことをさらに知り、自らを振り返る絶好の機会です。また、その企画を立案する過程で、試行錯誤しながらベストなプロジェクトにするため協働することも深い意味を持ちます。

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現在SHIMOKITA COLLEGEでは大学生・社会人を対象としたプログラムと高校生を対象としたプログラムなる参加者を募集しています。参加者はSHIMOKITA COLLEGEで暮らす高校生・大学生・社会人のカレッジ生とともに過ごすことで進路についての気づきやリーダーシップを養います。募集に伴い、説明会や内覧会も実施しておりますので、詳細は、こちらをご覧ください。


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