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ハーバード・ビジネス・スクール課外授業サポート体験談 vol.2 (東京大学 小林直貴)

HBS の 2 年生向け選択科目である Japan Immersive Field Course(以下、IFC)は、2011 年の東日本大震災を受けて行われた第 1 回以降、竹内弘高 ハーバード・ビジネス・スクール(以下、HBS)教授(HLAB 理事)の授業として非常に人気のあるコースに発展し、数ある IFC の開催地の中で、日本は唯一の 9回連続の開催国となっています。

HLABは例年、学生・社会人10名程度を通訳として派遣しており、Local Team Member(以下、LTM)として、HBS生のコミュニケーションサポートを行い、HBS生によりよく日本を理解してもらう一助を担っています。

今回は3回にわたって、2020年のIFCのサポート体験談を、LTMのみなさんに寄稿してもらいました。(vol.1はこちら

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今回、寄稿してくれたのは、小林直貴さん。(写真中央)

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小林直貴 |  Naoki Kobayashi
HLABでは、HLAB TOKYO 2016の実行委員を経て、2017年には学生代表を務め、 HLAB TOKUSHIMA-MUGI 2019に副委員長を務める。HBSのIFCには、2020年にLocal Team Memberとして参加。2019年9月に東京大学を卒業。2019年から一年間、HLABインターンとしても活躍。2020年4月からは外資系投資銀行に就職。

こんにちは、小林直貴と申します!

玉井さんに続き、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の
Japan Immersive Field Course (IFC)の様子についてご紹介したいと思います。

私からは主に、IFCの活動の中で、日本側から参加するLTMの具体的な役割や、LTMとしてHBSの学生との関わりを通して学んだことを共有します。

Local Team Members(LTM)の役割


毎年1月に2週間ほど日本に滞在する約40名のHBSの学生は、3〜5人のグループに分かれます。そこで、日英バイリンガルの社会人または学生から成るLTMが、各チームに1名ずつプログラム期間中帯同し、HBSの学生をサポートする役割を担っています。

その中で私たちが主にやることは、以下の4つが挙げられます。
①日英、英日の通訳等
②プログラム間の移動の際の引率、誘導
③日本文化や社会の様子を、日本に住む人として等身大で伝える
④交流の機会で、おもてなしをしたり、チームとしての一体感を出す

一見すると、①から順に難しそうに見えるのですが、実際にやってみると、④から順に難しいということに気が付きました。

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LTMである自分を通じて、日本を好きになってもらう機会

例えば、お寿司を握る体験では、自分自身も寿司を握る経験があまりないなかで、隣に座るHBSの学生に寿司の握り体験をサポートし、最終日の屋形船では、日本の歌をローカルチームで合唱するなど、LTMを通じて、このIFCの一体感や日本流のおもてなしを感じてもらうように心がけました。

最終日のCapstone(学びのまとめ)では、一人一人の学生が一番心に残ったシーンを写真と共に説明するのですが、ある学生が「このIFCをサポートしてくれたローカルチームメンバーのおもてなしの精神、交流が心に残っています」と発表してくれたことが、非常に強く印象に残っています。

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質問されて気づく、日本について知ることの大切さ

盛り上げたりおもてなしをする以外にも、学生が日本に対して抱く質問に答えるのも、LTMの重要な役割です。さすが、HBSの学生といったところでしょうか、知的好奇心がとても旺盛で、色々な質問が飛んでくるため、LTMとして、きちんとした回答をするのがとても大変でした。「どうして日本では電車内で話してはいけないのか」「どうして日本人はあまり愛情表現をしないのか」「日本人は親切といえるか」等々、日本語でも答えに困るような質問が寄せられるので、油断は禁物です(笑)。

LTMの経験を通じて、私は日本について知るということの大切さを改めて感じました。今までも、海外から日本へ来る方々に対して日本について説明する、という機会はこれまで何度かありましたが、HBSの学生と交流する中で、いかに自分が自分の育った社会の文化や現状、その背景について理解が浅いのか、ということを改めて痛感しました。

そのように痛感したのは、各チームのグループワークの中でHBSの学生と協力企業の方々とで、日本のスポーツ業界やスポーツ文化について議論をする時であったり、東北の地で薪を割りながら、東日本大震災当時の様子や政府の対応などに関して会話する時間であったり、場面を問わず、「日本人」を主語として会話をすることがとても多かったからかもしれません。

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自分自身の日本理解が試される、現地ならではの深い学び

様々な質問に答えるなかで、自分の発言がきちんと日本の現状を説明しきれているのだろうか、どこかで見聞きしたような、ありがちな耳馴染みの良い「日本像」を複製しているだけになっていないだろうか、考えれば考えるほど、自分自身がまだまだ理解が及んでいないことがたくさんあるなと気付きました。

また、このような質問が飛んでくるのも、IFCの授業設計自体が、「様々なところに実際に行って見て聞いてみること」を主眼に置いているからだということに気づきました。

COVID-19によって東京五輪は延期が決定しましたが、今後海外に日本を伝えていく機会がますます増えていく中で、自分自身が自分の育った場所についての見識を深めながら、外部にきちんと発信していけるように、これからも注意していきたいなと強く感じました。

思い返すと少ししんみりしてしまいますが、HBSの学生と約二週間つきっきりで、キャリアのことからプライベートのことまで色々と相談できるとても良い機会ですので、現在学生や社会人で1月に時間に余裕のある方はぜひ挑戦してみてください!!きっと良い経験になると思います!興味のある方はHLAB(info@h-lab.co)まで連絡をしてみてくださいね。

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(最終日には記念品とお手紙をくれるHBSの学生たち。LTMも準備していたお土産とお手紙を交換して集合写真)

(Vol.2 おわり。Vol.3に続く)

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執筆:小林直貴
編集:水上友理恵

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