「サイドを使う」とはどういうこと?:川崎フロンターレ対大分トリニータ戦(4月3日)<1>
今日は久々にフロンターレのレビューを。もう2試合消化してしまっているが、4月3日の大分トリニータ戦。
また10日経ってないのだけれど、それからサッカーとラグビー併せて3試合見ているのでずいぶん前の出来事のような気がする(笑)。
スターティングフォーメーション
スタメンは以下の通り
フロンターレは4-1-2-3。トリニータは4-4-2、ないし長沢が前に出る4-4-1-1。
かみ合わせるとこんな形
サイドのプレイヤーを無視するフロンターレ
トリニータの特徴は、ビルドアップ時に左右いっぱいに広がり、必要があればサイドにボールを逃がすこと。キーパーも高い位置を取り、ビルドアップに積極的に関与する。なので上の図のままのかみ合わせにはならない。
フロンターレは、このサイドの選手をほぼ無視した。
例えばこの場面。ボールはトリニータの最終ライン。この時、サイドハーフは両サイドいっぱいに開いている。
一方、フロンターレのサイドレーンはがら空き。家長が立ち位置でサイドへのパスを出しにくくしているだけだ。
ただ、この日のトリニータはサイドをあまり使わなかった。この時もハーフスペースのレーンでの縦パスを試みる。山根がマークしているサイドハーフの渡邊に向けてのパス。
渡邊ははたくことはできたものの、戻ってきた田中碧がボールを奪取する。
田中碧が奪取したボールはそのままジェジエウへ。この瞬間にトランジションしてフロンターレの攻撃が始まる。
この時、フロンターレはトリニータの左サイドバック福森を全く気にしていない。なので、サイドいっぱいに立ってはいるが、フロンターレのポジショニングに影響を与えることができていなかった。
サイドに食いつかずにハーフスペースを締める
別の局面。左サイドがボールを持って前進しているとき。この時、フロンターレはサイドに食いつかずにハーフスペースを締めている。
この時、サイドに食いついたら逆に中が空く。食いつかずにハーフスペースを締めていたら中にスペースができない。
フロンターレは、このようにして、トリニータのサイドを使ったビルドアップをほぼ「無視」することで、逆にオフェンス側のコマを無力化した形を作っていた。高速ドリブラーが相手だったらこう言う守り方はできなかったのだろうけれど。そのあたりもきちんと織り込んだ上での守り方だろう。
中途半端なシミッチへのマーク
もう一つ、フィールド写真で見ておきたいのはシミッチへのマークの仕方。4-1-2-3のチームと当たるときには、アンカーにどう対処するのかが1つのポイントになる。
マリノスは一枚のマンマークを付け、セレッソは二枚でマークした。この日のトリニータはと言うと、2トップがマークする形になった。
しかし、この2トップは、最終ラインに食いつきがちだった。この局面ではジェジエウに食いつき、ジェジエウは左の谷口にパス。そうなるとシミッチはフリーなので、左に移動して谷口からの縦パスをフリーで受けることができる。
両センターバックを追い回すほどの強度でもなく、なんとなく中途半端にシミッチと両センターバックをマークしている形になってしまった。そうなるとフロンターレとしては安定したビルドアップができる。
もう一つの形は、インサイドハーフの脇坂が降りてきてマークを引きつける形だ。下の写真のケースがそれに当たる。脇坂は後半は左サイドに降りてきて三笘と登里のサポートをする場面が多く見られた。
後半は5バックに
後半になるとトリニータは3バックに切り替え、結果、攻め込まれているときは5バックのような形にもなる。
このように、フィールド写真からも明らかなように、フォーメーション的にはこの試合はフロンターレが優位に試合を展開していく。その結果として2-0で勝利している。
ではボール奪取マップで見るとどうなのか、次回見てみることとする。
(続く)