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個人情報保護の流れで今後はユーザー属性(性別/年齢)ターゲティングの精度が低下する

■はじめに

こんにちはギャプライズの樋爪です。

ITP(Intelligent Tracking Prevention)によるユーザーのプライバシー保護を目的としたトラッキング防止、ATT(AppTrackingTransparency)によるモバイル識別子(IDFA)の追跡を拒否できる機能etc

ユーザーのプライバシー保護を重視するといった環境の変化によって「コンバージョンといった広告の効果計測や、リマーケティングに影響が出る」といった話題が取り沙汰されています。

今回は焦点を絞って、広告運用者の中でも利用頻度が高いターゲティングの一つである「ユーザー属性ターゲティングにおける性別「不明(未設定)」が今後増えるのか?もし増えるとしたら今後はどう向き合うのか?」について考えたいと思います。

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ユーザー属性ターゲティングについて
Google 広告のユーザー属性ターゲティングを使用すると、特定の年齢層や性別、子供の有無、世帯収入に該当する可能性の高いユーザー層に広告を表示できます。

Google 広告ヘルプ ユーザー属性ターゲティングについて

■【補足】性別ターゲティングの3区分とは

Google 広告とYahoo!広告においてユーザーは広告媒体の管理画面上で「男性」「女性」「不明(未設定)」のいずれか3つの性別区分に分類されます。
男性とも女性とも判別できないユーザーが「不明(未設定)」に含まれる仕組みです。

・Google 広告 ⇒ 男性 / 女性 / 未設定
・Yahoo!広告   ⇒ 男性 / 女性 / 不明

この仕組を利用して「男性向け商品の広告集客を行う際は男性のみに広告を表示させる」といった性別セグメントによる絞り込みが可能です。

※便宜上、以降は「不明」「未設定」を「不明」に記載統一いたします。

■理論上ユーザー属性(性別/年齢)の精度は低下する

Cookie規制や、IDFAやAAIDとった広告識別子の追跡拒否が増加していくと、Google広告、Yahoo!広告を始めとした大手広告媒体であったとしても、これまでのような高い精度での広告ターゲティングを実現するのは難しくなってくるでしょう。このような環境の変化による広告ターゲティングへの影響は、ユーザーの使われ方次第な点も含めて未知数だと言われています。

あくまで広告媒体社からの明確な回答を得られていませんが、理論上の話で言うとユーザー属性ターゲティングで「男性」でも「女性」でもない、ユーザー属性「不明」区分に分類される割合が増加すると予想されます。

2021年時点では私の肌感覚としてはざっくりになりますが、Google 広告(検索広告)の場合は「未設定」に分類される比率は3~4割が多い印象です。Yahoo!広告(ディスプレイ広告)の場合は「不明」と「推定」に分類される比率は7割にもなるケースもあると噂されていたり。(某社担当曰く)

つまり現時点でも広告媒体によってはユーザーの性別を識別することが難しくなっていて、今後はさらに拍車がかかると予想されます。

■現時点のユーザー属性「不明」の比率

2021年1月~6月の弊社自社アカウント(Google 広告)における検索広告の性別データの円グラフを公開します。現時点でも既に青色の区分「不明(未設定)」が40%を超えています。今後は50%を超えるケースも出てくると予想しています。

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■Google 広告ではどう性別を識別しているのか?

以下Google 広告ヘルプの引用になります。Google アカウントに「ログインしているユーザー」と、「ログインしていないユーザー」の2パターンについて記載されています。

Google が属性情報を識別する方法
ユーザーが Google アカウントにログインしている場合は、そのアカウントの状況に応じて、Google サービスでの設定や行動に基づくユーザー属性を使用することがあります。ユーザー属性情報は [広告設定] ページでユーザー自身が編集できます。このほか、一部のソーシャル ネットワーク サイトなどでユーザーが入力した属性情報が Google に提供される場合もあります。

Google アカウントにログインしていないユーザーについては、Google サービスやディスプレイ ネットワークでの行動に基づいて属性を推測することがあります。たとえば、ユーザーが YouTube やディスプレイ ネットワークのサイトを閲覧している場合、Google は「Cookie」を使ってそのユーザーのウェブブラウザに ID を格納し、そこでアクセスされたサイトの情報に基づいて、そのブラウザを特定のユーザー属性カテゴリに関連付けることがあります。

Google 広告ヘルプ ユーザー属性ターゲティングについて

Google 広告においても、Cookie規制や、IDFAやAAIDとった広告識別子の追跡拒否が増加していくと取得できる情報が制限されて性別の識別が困難になっていく(「不明」が増える)と予想されます。

特に精度の低下が危ぶまれるのは「ログインしていないユーザー」ということになります。

■今後はユーザー属性「不明」の活用が一つのカギ

これまでは女性向け商品の集客支援を行う際には「女性」以外からクリックが発生しないように「男性」「不明」を除外設定する形で、広告配信設計を行うのが王道でした。これまでは大胆にユーザー属性を絞り込む手法でも、広告リーチが十分に担保できていたように思います。

しかし、今後は「不明」に割り当てられるユーザー属性の比率が増加すると仮定すると、不明の除外による広告リーチ縮小が無視できないレベルになると予想されます。

そのため「不明」だけど実際には女性であるユーザーに広告リーチできないデメリットも考えていく必要があります。

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■個人情報保護により今後重視すべきはユーザー理解

例えば明日から「子育て世代の女性向けサービス」の広告集客を担当することになったと想像してみましょう。

子育て世代が集まるコミュニティに顔を出したり、子育て世代がよく見る街の風景を体験したり、子育て世代が利用するウェブサービスを利用してみたり、ユーザーを理解することは今後ますます重要になると考えます。きっと成果に繋げるためのヒントが隠されているかもしれません。

実務に直結する部分で言えば、ウェブメディアの特性を理解していることは運用型広告を扱う上での重要なスキルセットの一つだと考えています。

「子育て世代の女性向けサービス」の広告集客であれば、利用者がほぼ100%女性のウェブメディア「ウィメンズパーク」に対するプレースメントターゲティング配信は有効なリーチ拡大手法であると考えます。

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このウェブメディアに対する広告配信であれば、ユーザー属性「不明」を含めた配信を行っても問題はないでしょう。なぜなら

ウィメンズパークを見ているユーザーに限れば、男性の利用者は0%にかなり近いと予想されます。もしくは誤って男性にリーチしたとしてもごく少数で誤差の範囲と呼べるでしょう。

このようにユーザー属性(性別/年齢etc)ターゲティングに依存するのではなく、プレースメントターゲティングと組み合わせるといった工夫をすることで、広告リーチを担保するといった方法も模索して持っておく必要があると考えています。

※近いうちに別記事にて女性向けウェブメディアのチェックリストを別途ご紹介できればと思います。

■おわりに

広告媒体は各社さまざまな対策を講じています。GoogleはCookieに代わるものとして「プライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)」の導入を進めています。ターゲティングの精度が担保できるように日進月歩で新しい技術や仕組みを開発しています。

そのようなテクノロジーの発展によってこれまでの精度を上る可能性も0ではありません。しかし、現時点ではそこまで期待できるのかと言われると、個人的にはやや懐疑的です。

広告ターゲティングに過剰に依存することなく、どのような環境であれ、しっかりと見込み顧客に広告リーチする方法を広告代理店側も模索していく姿勢がより重要になるでしょう。

樋爪(@yasuyuki_ad)のTwitterでも日々業務を行う中で得た気付きをツイートしています。

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