見出し画像

羊の徒然言『THE GREAT TAMER感想』

 ※タイトル写真は美術手帖より引用

『THE GREAT TAMER』概要

あの衝撃を再び。「THE GREAT TAMER」(2019年)も記憶に新しいギリシャの振付家・ディミトリス・パパイオアヌーが最新作で約3年ぶりに来日!
光とともに横断する――肉体が奏でる神話と現代の幻想絵画

2004年アテネ五輪の開閉会式の演出を手がけ、近年ではピナ・バウシュ亡き後のヴッパタール舞踊団から初のゲスト振付家に指名されるなど、世界のアートシーンでその存在感が際立つディミトリス・パパイオアヌー。大好評を得た「THE GREAT TAMER」(2019年7月、ロームシアター京都)から約3年ぶりの来日公演が実現します。
今回の来日では、最新作『TRANSVERSE ORIENTATION』を上演。本作品は、当初2020年のアヴィニョン国際演劇祭のオープニング・プログラム(教皇庁での上演)として予定されていたものですが、コロナ禍で中止を余儀なくされ、翌年のリヨン・ダンス・ビエンナーレで初演にこぎつけた作品です。
点滅する光、影、雄牛(ミノタウロス)、男たち、女神や聖母を思わせる女(元ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団のブレアンナ・オマラが演じる)…。パパイオアヌーのルーツである絵画やギリシャ神話を素材に身体のムーヴメントが描く場面が次々と展開。鮮烈さとユーモアに溢れた視覚的印象が、ヴィヴァルディの音色とともに、私たちを幻想的な劇場体験へと誘います。2021年の初演以来、世界各地で大きな反響を呼んでいる待望の新作にどうぞご期待ください。
*Transverse Orientation :蛾などの昆虫が、月などの遠方の光源に対して一定の角度を保ちながら飛ぶ感覚反応のこと。光源が近距離の人工の光となると、飛翔方向の角度が変化してしまう。

美術手帖より引用

演出家Dimitris Papaioannouとは誰か

美術手帖より引用


ディミトリス・パパイオアヌーDimitris Papaioannou
1964年アテネ生まれ。ギリシャの伝説的美術家ヤニス・ツァロウチスの元で学んだ後に、同国の代表的な美術学校 アテネ美術学校で学ぶ。美術家として活動しており、舞台芸術のアーティストとして知られるようになる前には、画家や漫画製作家として国際的に認められていた。NYでダンスを学んだのち、1986年にエダフォス・ダンス・シアターを設立。以後、フィジカル・シアター、実験的ダンス、パフォーマンス・アートを融合した独自の舞台創作を展開するきっかけとなる。2004年アテネ五輪の開閉会式の演出を手がけ、世界的に注目を集める。その後も、ギリシャ国立劇場の杮落しを飾った『NOWHERE』(09年)やパラス劇場『INSIDE』(11年)、『PRIMAL MATTER』(12年)、初の大規模な世界ツアーを行った『STILL LIFE』(14年)、アゼルバイジャン・ヨーロッパ競技大会の開会式『ORIGINS』(15年)のほか、2019年に日本初上陸となった『THE GREAT TAMER』(17年)などを発表。2018年にはヴッパタール舞踊団の委嘱により『SINCE SHE』を振付・演出。ピナ・バウシュ亡き後、初めて新作を発表した振付家として大きな話題を呼んだ。2020年9月、コロナ禍で自身が出演するデュオ作品『INK』を創作発表。現在は最新作『TRANSVERSE ORIENTATION』を世界ツアー中。
www.dimitrispapaioannou.com/en

彩の国さいたま芸術劇場HPより引用

個人的感想


席について暫くすると、照明が段々に暗くなっていきます。白熱灯が今にも寿命が尽きるときの潔くない「ジジッジジッ」とした電子音。右手には、ひとつの扉。そこから真っ黒な人型の何かがぞくぞくとご登場です。あれあれ、身体は大きいのに顔はあんなに小さい球体で、肘やら足やらの関節はどこか人間とは何かが違う。歪だけれど、たどたどしいその動き、ちょっとかわいくて、クスッとしちゃいます。あなたたちは何がしたいの?今にも消えそうな、蛍光灯を眺めたり、「ジジッ」という音に怯えてみたり。どこからか持ってきた脚立を上り下りしてみたり。可愛いけれど、とかくその動きには意味があるの?あなたたちはなにがしたいのかなあ?と、なぜか母性をくすぐられる一幕。
と思えば、暴れる牛を人間が押さえつけ、しかし、その牛から裸体の人間が産み落とされ?すべてを露わにした人間は矩形の物体の上でバランスを取りながら移動したり、下半身と下半身を合わせて、また違う生物のようなものが舞台を闊歩します。牛は、何かの象徴だったのでしょうか?ミノタウロスとなにか関係が?
とかく美しい肉体美と無音の世界のときもあれば、和やかな音楽をバックに人形は、額縁の中で、赤子を産みきるその生々しさ。そのスケールの広大さ、観客の脳内を征服するその圧倒されました。

まとめ


私には難しく、すーっと入ってくるどころか、うーんうーんと唸りながら、観ておりました。演出は過激なところもあり、面白いと思う人もいれば、自分には受け付けられない!と思う方もいるかもしれません。けれど、美しさを保ったまま、こんな世界観を表現できるんですね。

皆さんも機会があればぜひご鑑賞いただきたいなあと思った次第です☺

 


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?