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就労定着支援とは

今回は、就労定着支援について記していきます。

就労定着支援の法的根拠

就労定着支援は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下、障害者総合支援法)に定められた障害福祉サービスのひとつです。
障害者総合支援法では、このように定義されています。

第五条15項
 この法律において「就労定着支援」とは、就労に向けた支援として主務省令で定めるものを受けて通常の事業所に新たに雇用された障害者につき、主務省令で定める期間にわたり、当該事業所での就労の継続を図るために必要な当該事業所の事業主、障害福祉サービス事業を行う者、医療機関その他の者との連絡調整その他の主務省令で定める便宜を供与することをいう。

障害者総合支援法第五条15項

ここでの「省令で定めるもの」とは、下記の4種を指します。
・生活介護
・自立訓練
・就労移行支援
・就労継続支援
これら4種の障害福祉サービスを利用した者が一般就労して、
さらに就労定着支援事業所の支援を受けた場合に、
訓練等給付の対象となります。

就労定着支援の目的

就労定着支援は、2018(平成30)年に創設された支援制度です。
それまでは障害者就業・生活支援センターなどが担っていた定着支援を
拡大するものとして、独立した支援制度となっています。

これは、一般就労する障害者の増加に伴い、
就労にかかわるさまざまな問題や課題への支援ニーズが多様化し、
需要が高まったことが背景にあります。

就労定着支援の支援内容

就労定着支援の支援内容は、大きくふたつあります。
ひとつ目は、
障害者を雇用した企業などへの訪問や障害者の来所による
月1回以上の相談を通じて、
生活リズムや体調の管理など、
就労に伴い生じている生活面の課題を把握することです。
ふたつ目は、
就業先の企業担当者や障害福祉サービス事業者、医療機関などと
連絡を取りながら課題解決に向け、
指導・助言などの支援を行うことです。

就労定着支援の利用期間

就労定着支援の利用期間は、就職から6ヶ月経過した時点から3年間です。
1年ごとに更新するかどうかを判断していきます。
3年経過後は、障害者就業・生活支援センターなどへ引き継がれます。

就職してからの直近6ヶ月間は、それまで利用していた事業所が行う
サービスを受けることができます。
実際に就労定着支援を受け始めるタイミングとしては、
就職してから7ヶ月経ってからということになります。

就労定着支援の利用料

利用者負担は、前年度の世帯所得によって変動します。
就労移行支援などと同様で、自己負担1割、自治体負担9割の配分です。
利用者の勤務先企業の負担はありません。

就労定着支援の利用申請について

就労定着支援を利用するには、
お住いの市区町村の障害福祉担当部署に相談し、申請します。
利用申請すると、障害福祉サービス受給者証が発行されます。

就労定着支援の事業所について

就労定着支援の事業所には、
市区町村から指定を受けるための条件がふたつあります。
・過去3年間に平均1人以上の一般事業所に就職した利用者がいること
・開所から3年経過していなくとも過去に3人以上の一般事業所に就職した利用者がいること
上記のどちらかの条件を満たす事業所が指定事業所となります。

就労定着支援の事業所選び

就労定着支援の事業所の選び方としては、
今まで利用していた事業所に引き続き依頼する形式が多いと思われます。
生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援のいずれかを
利用している場合は、その事業所が就労定着支援の指定を受けているか
確認した方が良いでしょう。

もし、指定を受けているならばそのまま引き続き依頼すると、
今までお世話になった支援員のサポートを続けて受けることができるので、
支援の継続性や質が保たれると思われます。

また、その事業所が指定を受けていない場合は、
事業所か市区町村の障害福祉担当部署に相談し、
他の就労定着支援事業所を探していきましょう。

河野羊

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