小説「遊のガサガサ冒険記」その20
その20、
大海原を背景に、霊峰・富士山が優美で均整の取れた姿を見せている。山麓は樹海に覆われ、その樹海の一角が切り開かれ、参道のまっすぐ伸びた先に社殿の数々が厳かに立ち並ぶ。
磨墨は翼を広げたまま大きく旋回し、一之鳥居の前に降り立った。参道の両脇はスギとヒノキの巨樹に石灯籠が立ち並び、遠方に朱色の大鳥居、随神門が垣間見える。緑濃い樹間に白い靄がかかり、神々しい雰囲気を醸し出している。ようやく北口本宮冨士浅間神社に辿り着いた。
遊は磨墨の背から降り、頭を垂れた。自制の