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 2003~06年に週刊少年ジャンプで連載された漫画、およびそのアニメ版・映画版などの様々なメディアミックス作品。
「顔を思い浮かべながら名前を書く」だけで人を殺すことができる「デスノート」を拾い、新世界建設をもくろみ犯罪者を抹殺していく”キラ”こと夜神月と、彼を倒そうとする探偵”L”ら司法関係者との頭脳戦を描く。

 日本では問題作として紹介されることはあっても法的な規制は受けていないが、諸外国では規制が起こっている国もある。
 アメリカでは漫画そのものではなく「手製のデスノートで人の名前を書いた」などで停学や逮捕などが起こっている。

ロシア

 2013年、エカテリングルクで飛び降り自殺した15歳の少女の部屋から『DEATH NOTE』が4冊見つかった。これをきっかけに市民団体「ウラル保護者委員会」がプーチン大統領に送っている。内容は、このような漫画が国内で自由に販売されていることについて調査し、未成年への悪影響が認定された場合には販売・広告を禁止するよう求めるもの。逆にファンは規制反対の署名運動を行っている。
 ちなみに別段遺書などで本作についての言及があったという報道はなく、そもそも「全12巻なのに4冊しか無かったならファンとさえ言えるか怪しく、精神的影響を与えたとするのは無理がある」というもっともなツッコミがなされている。
 Oleg Erlikh氏(サンクトペテルブルク大学院教育学アカデミー)は「作品名自体が、自殺願望がある児童に間接的な動機付けをする可能性」があると発言している。

 また2020年12月中旬、ロシア国内でアニメ配信をする49サイトが本作を含む複数作の配信停止を求める訴訟を起こされており、2021年1月時点で『DEATH NOTE』に関しては2サイトに対しすでに配信停止の判決が下っている。

中国

 2007年5月10日、中央電視台が広西壮族自治区での流行として「嫌いな人の名前をノートに書く遊びが流行っている」と全国的に報じた。
 集英社はデスノートの中国版の許諾をしていないが『死亡筆記』なる海賊版が出回っており、出版した華齢出版社は取締に対し「当社の出版物はデスノート海賊版ではなく、独自の小説であり、内容も青少年に悪影響のないポジティブなもの」と抗弁したという。
 これを受けたか、わいせつ・違法出版物取締当局は5月28日から「青少年の心身に悪影響を与えるホラー系出版物」の集中取り締まりを全国で展開、その代表例として本作が挙げられた。同局の緊急通達は本作について「神秘主義、死亡、報復などの感情要素が含まれ、子どもの人格形成に重大な影響を与える」とし、書店や文具店で関連出版物・DVD・グッズ等もすべて発見しだい没収するよう指示している。ただし香港はこの適用を免れている。

アメリカ

 学生などが「デスノートを所持していた」という理由で停学や「テロ容疑」で逮捕などをされる事態が散発している。
 ただし漫画本を所持していたからではなく、(コスプレ用の)グッズとして売られていたり、手製のデスノートに憎い相手の名前を書いていたというものである。

2008年3月(サウスカロライナ州):中学生が退学処分
2008年5月(ワシントン州)中学生1人が放校、ほか3人が処分
2010年3月(ミシガン州):中学生が無期停学
2014年2月(アリゾナ州):中学生が所持で精神科へ搬送
2014年4月(テネシー州):10歳少年が作り停学2週間
2015年6月(コネチカット州):13歳少年が所持で逮捕・停学
2016年3月(オハイオ州):女子中学生が所持で停学3日

 など。これでも一部である。
 ひるがえって日本では「だんなデス・ノート」などというサイトで女性達が堂々と公開で夫を呪詛しており、書籍化までされているという日本の表現の自由はやはり先進的なものである。

ベルギー

 2007年、首都ブリュッセルの公園で切断された遺体が発見され、近くに「WATASIH WA KIRA DESU」とローマ字で書かれた紙片が発見されたことが話題となった。
 日本のネットではKIRAは本作のキラではなく『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する殺人鬼・吉良吉影説も流れていた。
 2010年に犯人らは逮捕され『DEATH NOTE』ファンであったと報じられたが、殺人そのものの原因は「些細なことから殴り合いになって」というものに過ぎず、紙片は遺体を公園に捨てる際に、好きな漫画の台詞を残したという。
 本作の模倣犯とか「理想に酔っての連続殺人」といった動機ではなく、その後ベルギーで規制運動などが起こったという情報はない。

参考リンク・資料:

https://www.newsweekjapan.jp/mutsuji/2022/03/post-147.php

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