『BLに18禁を求めるべきでない理由』2022-04-29
議論のはじまり
いわゆる表現の自由界隈の中で、また激論が起こっている。
きっかけはこの4月25日、星崎レオという漫画家が、自作品が東京都に不健全図書指定されたことをツイッター上で報告したことだ。
指定された作品は、株式会社メディアソフトより刊行されている『主任のエロさ、コンプラ違反です!』。男性同士の同性愛を描いた、いわゆるBL漫画である。
星崎氏のツイートから抜粋要約すると、次のように不健全図書指定制度への不満をぶちまけている。
内容的には、それほど間違っているわけではない(五輪は関係ないが)。
しかしいわゆる「表現の自由派」の人達は、みなが星崎氏に好意的なわけではなかった。
というのも従来BLファンの一部――とりわけ【腐ェミ】と呼ばれる、BLファンとフェミニストを兼ねた女性達は、男性向けポルノに対する蔑視と敵愾心をむき出しにしてその規制に快哉を叫んできた歴史があるからだ。
散々男性向けのポルノを攻撃しておいて、エロBLが今さら何をぬかす、というわけだ。この「BL無罪批判」そのものはもちろん正論である。
上記のリンクにまとめてあるようにBLには男性向けに劣らず過激であるだけでなく「道徳」(ここでは、規制派が男性向けポルノに唱えてきた理屈の意味)的にも問題のある表現だらけであるにもかかわらず、その多くが18禁として管理されていない。
そのBLが有害図書指定を受けることに対して、自業自得だという意見は一般の男性オタクはもとより、【表現の自由戦士】と呼ばれる人達の間でさえ根強いものがある。
実際に星崎氏の作品も、男性向けポルノとして異性愛を描いていたなら普通に18禁になるレベルのものだと指摘されている。
にもかかわらず【腐ェミ】達は「自分達の性表現はキレイな性表現」と言い張り、男性向けを誹謗中傷しながら自分達の表現の問題点には目を背けてきた。そういう不誠実なBLファンは、割合はともかく絶対数としては決して少なくなかったのである。
とはいえ星崎氏個人に限っていえば、これまで【宇崎ちゃん献血ポスター事件】や【戸定梨香】事件・【温泉むすめ】事件・【『月曜日のたわわ』日本経済新聞全面広告】などへのバッシングに、積極的に加担したり賛同したりといったことが確認されたわけではなかった。
「表現の自由界隈」から決定的に星崎氏の擁護者が減ったのは、翌日になって星崎氏が付け加えた次のツイートによるものと思われる。
星崎氏にしてみれば、自分を無軌道な性表現放任主義者ではないと「バランス感覚」をアピールしたつもりだったのだろうし、そのバランス感覚ももしかしたら本心ではなかったのかもしれない。
が、論理的には矛盾した態度でしかなく、星崎レオ氏は他の「腐ェミ」同様のBL無罪論者の立場に立ってしまった。
結局、それゆえにも多くの表現規制反対派から本格的に批判を浴びることになったのである。
その流れの中でBLそのものが「18禁にしてこなかったのが悪い」という論理が、にわかに盛り上がってきてしまっている。
BLの18禁化に反対する「原理的」理由
しかしそれは間違っている。
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