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 ネットスラング。「ちちぶくろ」と読む。
 主に漫画・アニメ風のイラストにおいて女性のバストを描く際、服が不自然に乳房に張り付いたように描かれることがある。その不自然さをファンが自虐的に皮肉って生まれた言葉である。
 あくまでスラングであるため明瞭に「ここからが乳袋」という定義はなく、次のような段階的な図で説明されることが多い。

 しかしおおむね「両乳房がくっきりと分かれている」「乳房の下部の曲線にまで布地が入り込んでいる」といった要素がなければ一般には乳袋とみなされない。それら要素がなければただの巨乳の絵であり、「不自然さを自虐的に指摘する」という語の本来の趣旨にそぐわないからである。
 また乳袋に近い「バストなど身体のラインに布がまとわりついた」表現自体は海外のコミックや、ギリシャ彫刻などの古典芸術にも見られる。なにも日本の「オタク文化」だけの特殊なものではない。

 乳袋は女性のバストに対する男性の性的関心に応えるため「だけ」に発生する描写ではない

 そうした場合ももちろん多いのではあるが、実際のところ巨乳の女性を描く場合、胸から垂直に布が垂れ下がっていたのでは腰のくびれなどのスタイルも隠してしまったり、甚だしい場合には肥満して見えてしまう。そういったことを避けるために体のラインに沿った服を描いている場合もある。
 また、作画の手順として下書きとして先に裸体を描き、その上に体のラインに沿って服を描いていくという描き方をする場合には、自然と「乳袋」的な描き方になってしまうこともある。
 さらに近年では、前述のような「太って見える」などの不都合を避けるため、巨乳女性の体型に合わせて「乳袋」に近い造形の衣服なども発売されているため、その意味でも乳袋の「非現実性」は薄れていると言える。

 フェミニストによると乳袋は「性的強調」であり、【公共の場にふさわしくない】から(本心ではこの世から)排除されるべき表現である。
 しかしその認定は例によってガバガバであり、近年「乳袋」として槍玉に挙げられた表現が【「キズナアイ」のノーベル賞まるわかり授業】であることを考えればその滅茶苦茶さが分かるだろう。

ブログ「九段新報」「乳袋は性的強調表現だし、表現には共通の理解の基盤があるよという話

 明らかに、このようなものは通常「乳袋」とは呼ばれないし、多少ぴっちりした服装をするだけで現実にも容易に再現できる程度のものである。
 なお画像のブログの著者はのちにツイートで「私はキズナアイが乳袋だとは言っていない!」と虚偽の否認をしている。

 また【千田有紀】はオタク自認の【社会学】者であるが、乳袋という言葉を知らなかったと口を滑らせてしまい、批判対象に対する無知を晒した。

 その次に槍玉に挙げられた【宇崎ちゃん献血ポスター事件】の宇崎ちゃんはキズナアイよりかなり胸が大きいが、それでも両乳房は袋状に分かれきってはいないし、バスト下の布地も下乳の曲線に入り込むまでには至っていないことが、よく見れば分かる(その代わりに影の形によって下乳の形を表現している)。

 実際のところ、明らかに誰もが認めるような「乳袋」はおおむねアダルトゲームなどのポルノ作品に偏在しているため、多くは「ゾーニング」されている。
 しかしフェミニスト達は実際には「乳袋」と呼びがたい表現にそのレッテルを貼りたがる。
 なぜなら、実際より下品な印象を与える表現だからだ。

 当然である。自虐から生まれた言葉がお上品であるはずはないのだから。

 つまりフェミニスト達は、オタクたちの自虐的な批評的用語である「乳袋」を盗用し、乳袋でもなんでもないイラストにまでレッテルを張るために濫用しているだけなのである。

参考リンク・資料:

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