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「汝、星のごとく」


今日は6冊目の読書記録です。
読むペースに記事の更新が追いついていない…。由々しき事態です。

また、今回は比較的大きなネタバレを含みます。何も知らないで読みたい!という方はお控えください。

読んだのは、凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」。



本屋大賞1位になりましたね。
実はそれを見て、あっ書かなければ!となりました。

読んだのは先月の中頃。コミュニティ内でこの本の読書会が開かれるという投稿を見て手に取りました。当日は仕事で参加できませんでしたが、きっかけに感謝です。

結果。一気読みでした。


あらすじはこんな感じ。

風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。

Amazonの本の紹介より


比較的重たい現代の問題が凝縮されている。
けれど、テンポよく流れるように話が進んでいくため読みやすかったです。

時間軸ごとに主人公ふたりの話が交互に書かれていて、第三者から見たすれ違いやもどかしさも強く感じました。


ただ個人的な感想としては、あまり得意ではない内容だったなあと。


昔から、犬や病気が関係してくる感動系の物語が苦手です。
たまーに観て確実に泣いてしまうのですが、これをエンタメとして享受している自分に嫌気がさしてくる。

かわいそう、でも感動した、と思うのは、周りが仕立て上げてるような、本人たちに対しての侮辱のような居心地の悪さを感じてしまうのです…。
今回出てきた病気が母が亡くなったものと同じだったから、より強く思うのかもしれません。

ただ、この世界にはこういう苦しみを持った人がいる、という事実を知ることができるのは大切だとも思います。物語を通してなので、なお伝わりやすい。

問題に対して働きかけることはできずとも、この知識がどこかで何かのきっかけになるかもしれない。それでなくとも、知ることで自分の世界に厚みを待たせることができるような。読書は世界の幅を広げてくれる、を実感。

自分と同い年くらいの時の主人公たちの葛藤は、読んでいて共感の嵐でした。周りの大人たちもかっこよかった。

少し長くなってしまいますが、今回も心に残った言葉をいくつか書き出して終わります。


話書いてるとな、いやなシーンとかあんねん。書くのがしんどうて、腹が痛なるときもあるけど、そこ書かんと先に進めんし、絶対おもろなるって信じて書くねや。

「いざってときは誰に罵られようが切り捨てる、もしくは誰に恨まれようが手に入れる。そういう覚悟がないと、人生はどんどん複雑になっていくわよ」

それは逃避とは逆に、自分と向き合う行為だ。内側から湧いてくるものを解体して再構築していくことで、俺はいやでも自分という人間を理解させられる。狡さや弱さや卑屈さ、それがどういう経緯で作り上げられていったのかまで。

人は変わっていくのだと今は思える。それは寂しくもあり希望でもある。逆に変わらない、いや、変われないことこそが不幸なのだとも知った。

「自分がかわいそうと思わなければ、誰にそう思われてもいいじゃないですか。」

だったらここで立つしかない。夢なんて甘っちょろいもんじゃない。死に物狂いでしがみつくしかない。人の目など、もうどうでもいい。  わたしはここで生きていく。

永遠に辿り着けない場所を目指して疾走するものが恋ならば、ゆったりと知らないうちに決定的な場所へ流れ着くものが愛のような気もする。

人にはなにがしかの事情があって、その舞台裏になにが転がっていようといいじゃないか。薄皮一枚の下に、弱くて泣きたい自分を隠していてもいいじゃないか。

抗うから波立つ。ただ許して受け入れればいい。受け入れることで自分の中の一部が押し潰されて歪んでいくけれど、歪みなく生きることのほうが難しい。そんなことを誰かと話したい。



ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
それでは、また明日。

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