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新規ビジネスとコンサルタントの役割



(1)はじめに

私自身、数多くの新規事業創出に関与してきましたが、その中で一つ共通していることがあります。
それは、事業が大きくなればなるほど、成功するためには「橋渡し役」が不可欠であるということです。この橋渡し役は、社内での調整や、社内外の利害関係者との調整を円滑に進めるために必要不可欠な存在です。

(2)成功するビジネスに不可欠な「橋渡し役」

新規事業が成長し、複雑化していく中で、さまざまな関係者を巻き込むことは避けられません。
社内では、各部門の意見や目標が異なることがあり、全体の方向性を揃える調整が求められます。一方で、外部パートナーや顧客、さらには規制当局との調整も重要です。

これらの調整を適切に行うことで、事業全体がスムーズに進行し、成功へと繋がります。

この「橋渡し役」が社内メンバーとして存在することは、特に大規模事業成功に不可欠な要素と言えますが、それを支援する社外コンサルタントの存在も見過ごせません。
「橋渡し」を支援するコンサルタントは、複数の当事者の意見を整理し、共通の目標に向けて全員が一致協力する環境を整えることが主な役割です。
特に、プロジェクトが複数の国や文化を跨ぐ場合、この調整役がプロジェクトの成否を大きく左右します。

(3)事業(収支)計画は新規事業に必要なツール

新規事業を進める際、事業計画は不可欠なツールです。
特に、事業計画の中でも収支計画や数値シミュレーションは、「いくら儲かるか?」といった事業の成否を予測する重要な指標となります。
しかし、社内で作成された事業計画にはしばしば主観が入ることがあり、現実的なリスクや不確実性が過小評価されることがあります。

例えば、業界慣習にとらわれた視点や、特定の役員の意向に影響を受けた計画などの主観が反映されがちです。このような主観の入り込む計画は、将来のビジネスの成功にとって障害となる場合があります。
そのため、外部の第三者やコンサルタントの視点を取り入れることで、客観的な数値シミュレーションや計画を立てることが可能となります。

このように、事業計画は新規事業を進めるための必須ツールであると言えるものの、プロジェクトを実行に移すフェーズで最も重要なのは、社内外の関係者といかに効果的に調整を行うかです。

(4)コンサルタントの価値と役割

「コンサルタントは他人事で無責任だ」という批判は、あながち的外れな指摘ではないでしょう。一方で、コンサルティングという産業が成長し、多くの新事業の下支えを行っている事実があります。

例えば、私が考える新事業創出を支援する際のコンサルタントとしての役割は以下の通りです。

  • 客観観的に物事を俯瞰し意見を言える存在であること

  • 最適解を会社と共に考えられる存在であること

  • ボトルネックを捉え、不要なリスク(特にノックアウトファクター)を避ける手助けを行えること

社内で物事を考える際には、往々にして主観が入り込みやすいものです。
コンサルタントは、こうした主観を排除し、冷静かつ客観的な視点から助言を行うことで、事業の成功をサポートします。
また、社内外の調整役として重要な役割を果たすケースもあります。
多様な利害関係者を調整し、共通の目標に向かわせるための「橋渡し役」として、ビジネス全体の進行を円滑に進めるのがプロジェクト全体をマネジメントするコンサルタントの役割です。

(5)コンサルタントに求められる資質

コンサルタントが調整役として成功するためには、いくつかの重要な資質が求められます。

業界知識
まずは、一定の業界知識が必要です。新規事業の分野に精通し、最新の業界トレンドや規制に関する理解を持つことで、適切な判断やアドバイスが可能となります。

コーディネーション能力
複数の利害関係者を調整し、共通の目標達成へ導くコーディネーション能力が求められます。この能力がなければ、事業は思うように進まず、リスクが大きくなる可能性があります。特に大規模なプロジェクトでは、この調整能力が事業の成否に直結します。

客観性
客観的な視点を持つことは、特に重要です。
特定の利害関係者に偏ることなく、全体の利益を考慮しながら方向性の舵取りを行わなければなりません。
この客観性こそが、プロジェクトの成功を支える基盤となります。

(6)まとめ

新規事業の成功には、社内の橋渡し役(コーディネーター)が不可欠です。そして、その役割を補完するのが外部のコンサルタントです。
事業計画を立てることは必須のプロセスですが、実行段階へ進むために最も重要なのは、社内外の調整です。

コンサルタントが単にリソース不足を補う存在なのか、より当事者として新事業に深く寄り添い、成功を目指すパートナーとして機能するのか、その目的を明確にすることで、両者にとってより良い結果が導かれるでしょう。

そして、コンサルタントを有効活用できていないケースでは、期待する役割が明確でないことが多いです。プロジェクトを始める前に、お互いの期待役割をしっかり目線合わせしておくことが、成功への重要なステップです。

外部のコンサルタントへ仕事を丸投げしているケースで新規事業が上手くいくケースは稀です。
しっかりと社内で新事業のグリップを握る調整役を配置し、必要に応じて外部コンサルタントを活用することを検討しましょう。

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公認会計士・藤田崇紘
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