日記 2022/08/21-27

08/21(日)

ひとにより程度は違っても哲学するまでに運命によって翻弄されるひとは、彼自身にとって解決されない、決してされることのない問題を抱えている。それを抱えたまま死んでいくことが解っているから哲学するに至るのだろう。
ひとが解決しなければいけない問題はつねに社会が目指すのとは逆の方向に進むことを許容してやることで少し軽くなるのではないか。

08/22(月)

僕が気づいたときには部長も次長もいたし、ほかの庶務のひともいた。
たしかに状況は緊迫していたけれど、僕が駆け寄ればちょうど僕からが野次馬になるような気がして、それで居室に入った。
過呼吸になってトイレの前にしゃがみ込む庶務のMさんを介抱する側に加われなかったことが後ろめたいのは、傍観者になってしまったことではなくて、つい反応して駆け寄るほど、彼女に話しかけた記憶がなかったこと。

08/23(火)

チームのメンバーが少しずつ復帰してきて、それに伴ってずるずると下がっていた仕事の納期が何やら副社長のひと声で明確なリミットとなり、休み明けで呆けている僕たちの緩んだネジを巻いた。
慌ただしいのは何もそれだけではなくて、製販業の開発部というのはプロジェクト以外にもさまざまな事を抱えている。副社長だけじゃない。ドライバーにはいろんな種類があるのだ。ネジは明日も日本中でくるくると回るのだ。

08/24(水)

ひとはたくさん集まるとどうしても組織化したくなる生きもので、組織は利益と効率を求めるとどうしてもひとを管理したくなる実態のないもので、ひとは管理され過ぎるとどうしても組織という傘から出ようとするもので、しかしひとは体温計のように使うものを直接的に助けるものではなく管理者に報告し彼らにさらに管理し易くさせるものをたくさん作ろうとしてはまた組織化していくのだ。

08/25(木)

2割の働かないアリをグループから排除すれば、残った8割が働くのかというと、やっぱり2割のアリは働かなくなると、むかし読んだ。実社会ではどのアリが働かなかったかを見える化して報酬を減らす。そうして次に働くようになればまた報酬を増やすし、やっぱりダメなら巣から追い出す。
その管理方法は追い出した後も続くのだから、やっぱり僕たちはアリなんだと思う。つまり、ナシだと思う。
報酬が高いうちは目を瞑り、減らされるようならその前に別の巣に移動する。なんて打算的な!

08/26(金)

定刻前に2時間の事前打合わせ、定刻後から薬事申請用の審査会本番を4時間半・・・。僕は設計検証の報告を済ませ、協議は薬事申請に向けての合意形成に移り、どうやらまた仕事が増える方針だけは決まった。
昨日からこうなることを予想していた僕は午後出勤したのだが、朝から働いている同僚たちに頭が下がる思いとアホちゃうぅという思いを抱えたまま会議を終え、終電近い電車に乗った。

08/27(土)

工業製品はそれを構成する部品が図面通りに決められた寸法などの仕様で作られていれば違わず同じものが作れる。というより違ってはいけない。
僕たちの仕事は自分たちが宣言するスペックを必ず達成したものしか市場に出さないことと言える。一方で、生命は仮に同じタンパク質という部品で構成された個体でも部品間でエネルギー代謝や情報伝達が行われるため同じものは作れない。
これを僕は平日と休日と捉えている。

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