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研究指導教員(スーパーバイザー)の変更

日本でも海外の大学でも研究課程を履修すると、研究指導教員(スーパーバイザー)がつきます。日本の大学では、その教員の研究室に入るというのが一般的ですね。オーストラリアの大学では、卒論というものの代わりのようなHonoursという課程があり、Honours, Master, Doctor (PhD) が研究課程となります(Masterは研究課程でないCoursework という課程が一般的で、そのなかに短い修士論文を課せられる場合が多いですし、その論文の指導教員が割り振られます)。

この、指導教員ですが、Honoursだと、1人だけの場合が多いですが、研究内容により、複数必要だと判断された場合は、主任指導員(primary supervisor)に加えて次席の指導員(secondary supervsor)が付く場合があります。指導教員とのミーティングの頻度は学生間との協議によって取り決められますので、ケースバイケースですが、2週間に1回だったり、1週間に1回だったりします。Secondary supervisorは、primary supervisor ほど頻繁には学生とミーティングをすることはない場合が多いですが、secondary supervisorの専門知識が必要な時は、ミーティングの頻度を上げることがあります。

修士課程の場合は、これもその研究によりますが、1人、あるいは2人の指導教員がつく場合が多いです。

博士課程に関しては、規定により3人から、多い場合は4、5人の指導教員をつけることが原則とされています。そして、当大学ではこの指導教員のグループをsupervisory panelと呼び、研究期間に主任指導員が不在になる期間がある場合(例えば在外研究や長期の休暇など)、代替のsupervisory panelを用意することが義務付けられています。

当大学の規定では、primary, secondary supervisor は当該学生と同じ大学に所属する教員であることが求められますが、それ以外のsupervisorは他大学(違う国を含む)のスタッフでも構いません。教員でなくても、他の機関の研究職の方や、実務経験者(例えば自治体)でも専門性が合えば指導員になれます。むしろ、こういった方々が良いアドバイスをしてくれる場合も多いです。さらに、ジェンダーバランスやバックグラウンド(前記事のダイバーシティですね)まで考慮できれば尚良いです(少人数なのでなかなか難しいですが)。

こうしたsupervisory panelは、その学生が課程に入学する前に決めて、学内で承認されます。その際、各指導員に十分な専門性と指導時間があるかが重要な確認事項となります。

こうして、ルールに従って決められたsupervisory panelですが、研究が進むに連れて、変更する場合も出てきます。例えば主任指導員が他の大学に移る、長期の休暇を取る、また研究を進めるに連れて研究の方向が違ってきたなど、その要因はケースバイケースです。学生と指導員の折が合わないといった場合もあります。少し話が逸れますが、当大学では’Respectful relationship’と言って、学生と指導教員間の関係に関して、詳しく「こういうのが望ましい」と記された文書があります。これは守らなけばなりません(教員と学生が恋愛関係になってはいけないとも書かれています)。

そして、「指導教員を変えて欲しい」というリクエストが学生から出された場合もあります。この場合は、その課程の責任者が、学生の希望と専門分野、研究の方向性を考慮して、新しい指導教員を探します。この際、新しい指導教員と前の指導教員の関係も考慮しますし、前の指導教員とどんな問題があったかによってアプローチは変わってきます。要因と同じく、こちらのアプローチもケースバイケースです。ただ、アウトカムは、学生にとってハッピーなものになることが重要ですし、新しい指導教員にとっても、良い指導経験になるものであることが理想です。どちらにとっても貴重な時間ですから、良い研究成果を出しつつ、お互いの経験にプラスになることが何よりです。


今大学は冬休みです。私にとっては論文執筆の時間

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