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「好き」をトリガーに創る

こんにちは。

社会人3年目。普段はWebサイトのLPやSNS運用をしています。

先日、下記の本を拝読しました。クリエイティブに携わる私にとって、この本は「好き」をどう表現するかについてプロの目線から教えて頂いたように思います。

このnoteでは、筆者の私が印象的だった箇所と今まで学んできたことを踏まえた考察を書きます。


「好き」が連鎖するとどうなるか

この本のキーワードの1つになるのが、「好き」ということば。

特にここ数年はSNSの普及によって「いいね!」という「好き」を表すアクションの発明により、自分の「好き」に基づいて情報を得られる時代になりました。

本の著者・原野さんは下記のように書かれています。

「好き」という感情が出発点となり、高い市場性があると広範囲に「共感」が生まれ、その共感が人々を結びつけて「連帯」となり、人々を動かす原動力になる

そして本の中で具体例として挙げられているビートルズ。彼らが流行ったのは、ビートルズ4人が好きな楽曲、ヘアスタイル、ファッションだったというのです。4人が好きなスタイルが、ファンの「共感」を呼び、それがいずれ社会現象に繋がったのです。

別の例で考えると、Appleも同じです。「Apple信者」と呼ばれるほど、Appleの熱烈なファンを作り出したのはなぜか。

ビートルズ、Appleどちらにおいても、彼らは自分のことを売り出したのではなく、自分たちが愛するものを売り出したことで社会現象となったのです。

「偉大なブランドは、自分のことではなく、自分の愛するものについて語る」


人々は、自分が好きである理由を信じたい

「好き」という概念について、1度生物学的側面から見てみます。なぜ心理学ではなく、生物学なのか。

著者の原野さんによれば、「個人的な好きを語るには、自分のことを理解してもらおう」という考え方は性善説に基づいた考え方だと言います。人間の脳みそは、他人のことを理解しようとする仕組みになっていないからです。

というのも、下記のTEDの動画にその理由が隠されています。サイモン・シネック氏の唱える「ゴールデン・サークル」です。この動画ではタイトルの通り、優れたリーダーとは何か、どう行動を促すかをテーマに、生物学の知識を用いて提唱されています。

世の中誰にせよ、どの組織にせよ、自分たちが何をしているのかは知っている。どうやるか分かっている人もいる。それがセールスポイントと呼ばれているかもしれない。でも「なぜやっているか」を分かっている人は少ないかもしれない。(中略)私たちが考え行動し伝えるやり方は、外から中へです。明確なものから曖昧なものへ向かうのです。でも飛び抜けたリーダーや組織は考え行動し伝える時に、中から外へ向かうのです。
私がお話していることは私の意見ではなく、全ては生物学の原理に基づいていることです。心理学ではなく生物学です。ヒトの脳の断面を上から見ると、脳は3つの主要な部位に分かれているのがわかります。それはゴールデンサークルと対応しています。一番新しいホモ サピエンスの脳は大脳新皮質であり、「何を」のレベルに対応します(一番外側)。新皮質は合理的分析的な思考と、言語とを司ります。内側の二つは大脳辺縁系に対応し、これは感情、信頼、忠誠心などを司ります。またヒトの行動を司り全ての意思決定を行いますが、言語能力はありません。
外から中へのコミュニケーションを行っているとき、確かに大量の複雑な情報を理解できます。機能やメリットや事実や数値などです。しかし行動につながりません。 中から外へのコミュニケーションを行っているときには、行動を制御する脳の部分と直接コミュニケーションすることが出来ます。言葉や行為によって、理由付けは後からすることができます。直感的な決定はここから生まれます。

人間の脳みその構造上、情報を処理する手順と行動を制御する手順はどうやら異なるようです。

この生物学的な事実から、サイモン氏はこう問いかけています。

人々は 「なぜやっているのか」に反応するのに なぜやっているのか。自分でわかっていなければ 投票してもらうにせよ、何か買ってもらうにせよ、みんなを引き付けられるわけがない。さらには、あなたがしていることに忠誠心を持って 加わりたいなどと 思わせられるわけがない。自分の商品を必要とする人に売るのではなく、自分が信じるものを信じてくれる人に売ることを目指すべきです。

TEDの動画に具体例として、iPhone新製品発売前にApple Storeに並ぶ人たちの例が挙げられています。彼らは、自分たちが誰よりも早く新型iPhoneの買ったのだという理由で、人に承認してもらいたい欲求があるのです。

それはアパレルやお菓子などのブランド品にも当てはまるでしょう。高い金額を払うことよりも、誰よりも早く購入したんだとか、スーパーで売られているお菓子よりも高級そうだからとか、行動を起こしたその人なりの「理由」があって好きになっているのです。


何かを創りたいなら、好きを貯めていくことから

原野さんは創造の3ステップを挙げ、「好きになる」ことの段階を重要視しています。

1. 好きになる
2. 好きを盗む
3. 好きを返す

好きになるという段階は、何かを作るクリエイターにとって当たり前の段階です。このステップは、原野さんの言葉を借りれば「好きをストックする」と同義です。好きをストックしていくと引き出しが増えていきますし、夢中になるほと、その先に見える世界が変わっていきます。

1度熱中した経験のある子は、何が本当に面白いのか、何が本当においしいのかが分かります。(中略)一度夢中になった経験があると、本当のものを見つける力があると思います。
- クリエイティブディレクター佐藤雅彦さんの話、本書より引用

さて、先ほど挙げた創造の3ステップは、「守破離」の概念と似ているものを感じました。

守破離
フレームワーク等を使って、先人たちの知恵を借りる。型を身につける→守
自分に合ったよりよい型を見つける→破
自分なりの法則を見つけることで、指導者から離れ、新しい流派をつくる→離
- 「ユーザー中心組織論〜あなたからはじめるモノづくり〜」金子剛より引用


この「好きになる」ということは、当たり前すぎて見過ごされがちです。しかし今の時代では、自分が夢中になれることを続けた結果、評価されている人たちも少なくありません。

例えば、先日Youtubeチャンネル登録者数1000万人を超えたヒカキンさんは、Youtubeがまだ無名だった頃からボイスパーカッションで毎日投稿し続け、現在に至ります。

そして私自身も、noteで読んだ本や見た番組についての学びを発信し続けてきた結果、ここまで来れたのは自分の人生としては始めてで、会社にばかり固執していたら見えていなかった世界なのだろうと思っています。

SNSが普及した時代に欠かせない力は、「好きになる」力なのかもしれません。

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ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

下記のnoteも合わせてご覧ください。今回の本に関連するトピックについて書かれた本です。



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