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気遣い上手は“推論のはしご“を上り下りしている【Ep22】

こんにちは、ひとかどさんです。

MAPの【他人に気付く】2つ目のアイディア、「未知のことを既知の情報から推し量る」という意味の「推論」
推論は、前回紹介した「コミュニケーション」に並び、他者を理解する手段の一つです。

我が家は、割とOttoが気遣い上手ということもあり、円満な家庭になっていると日々感じています。

今回の内容を理解したとき、「気遣い上手」とは「推論の構築と修正が上手い人」であることがわかるかもしれません。
ではいってみましょう。

“推論のはしご“とは?

1990年代、元ハーバード大学教授のクリス・アージリスによって1970年代に提唱された概念が『フィールドブック学習する組織「5つの能力」』(ピーター・センゲ著)の中で紹介されたました。
それが、“推論のはしご“です。

人は、「こうしたらこうなるのではないか?」と考え、ある行動によって起きる結果のイメージを推測することができる生き物です。
人が、どのような出来事・データなどの情報から、どのように推測を立て、最終的な結論に行き着いたかを導くプロセスーそれが“推論のはしご“です。
これは、具体的には以下の8つのステップで構成されます。

  1. データ収集・経験 

  2. 観察 

  3.  フィルター(データ選別)

  4.  意味付け

  5.  仮定

  6.  結論

  7.  行動基準に採用

  8.  行動

“推論のはしご“の身近な事例

こう聞くとなんだか小難しいですが、人は普段このプロセスを無意識に行っています。具体例を挙げてみましょう。

唐突ですが、Ottoは、たまに花を買ってきてくれます。
これは、Ottoが、「何気ない日常のプレゼントに花を買って帰ったら、わたし(ひとかどさん)が喜ぶ」という推論を組み立てているからだと考えられます。
どういうことでしょうか?

“推論のはしご“のステップに当てはめて説明してみます。

1. データ収集・経験 

ある日、わたしはOttoと出掛け、わたしは花を買いたいとOttoに言いました
また別の日は、お菓子を買いたいと言ったかもしれません。
Ottoはこのような出来事をその後も何度か経験します。
この段階は、ある意味受動的なステップです。
しかし、着実にOttoの中で「わたしが喜ぶもの」についてデータが収集されていきます。

2.観察 

そうして、Ottoは受動的なデータ収集・経験から、「ひとかどさんがプレゼントされて喜ぶものは何か」という視点で、積極的に観察していきます。
花以外にも、お菓子はどうか、飲み物はどうか、はどうか…etc.

3.フィルター(データ選別)

観察を通して蓄積されたデータは、その後、「Ottoのフィルター」によって、データ選別されます。これは例外を除外するようなイメージです。
例えば、ある時は、たまたま本を買って喜んでいたことがあったけど、それは「ひとかどさんが買ってもらって喜ぶもの」の例外としてフィルターにかけて除外するというような感じです。

4.意味付け

ここが、推論の肝のステップとなります。
これまでのデータ収集、観察、データ選別を通して、Ottoは「推論の卵」ともいえる「意味付け(解釈)」を行います。
ここでの例としては、については、自分が読みたい小説は自分で買いたいはずだからから、ひとかどさんがOttoからプレゼントされて喜ぶものではないな…等々。
このステップでの意味付け(解釈)推論の質を決定すると言えるでしょう。

5.仮定

次は、仮説を立てるという段階です。
ここまでくるとわかりやすいでしょう。
「ひとかどさんは花をプレゼントされたら喜ぶだろう」というのが仮説ですね。
これを仮定するのがこの段階です。

6.結論

そして、結論を導きます。
「ひとかどさんは花をプレゼントされたら喜ぶ」というのがOttoの結論ですね。

7.行動基準に採用

こうして、Ottoは自分が導いた結論に基づき行動することにします。

8.行動

ついに決行の時。ある日の仕事終わり、Ottoは、ひとかどさんに花を買ってきます。ひとかどさん、大喜び!というわけです。

図1:推論のはしごのイメージ

推論を補正する2種類のループ

さて、ここまでは「推論の構築」の話でした。
そして、ここから説明するのは、「気遣いが上手い人」の特徴とも言えるもので、一度組み立てた「推論」を補正する2種類のループがある、というものです。

一つは、「アクション・ループ」と呼ばれるものです。
これは、「8.行動」をしてみて、相手の反応を受け取ります。
そして、相手の反応が想像と違っていた場合、必然的に「1.データ収集」の段階に戻ることになり、推論を最初から組み立て直すのです。

そしてもう一つのループ。
それが「リフレクション・ループ」と呼ばれるものです。
これは行動を取る前の「7.行動基準に採用する」の段階で、本当に合っているかを今一度疑い、「2.観察」の段階に戻って、推論の組み立てをやり直すというものです。

気遣い上手とは…その秘訣は「リフレクション・ループ」?

注目すべきは、2つのループでは戻る深さが異なる、ということです。

上記の例で言えば、「アクション・ループ」の場合、Ottoは「お菓子か花かを買っていけばひとかどさんが喜ぶ」という結論を導いていたとして、ひとかどさんに「お菓子」の方を買ってきたら、ひとかどさんが思ったより喜ばなかったという経験をして初めて、Ottoが自分の推論を組み直すイメージです。

したがって、「プレゼントとしてお菓子では喜ばない」という出来事を直接的に経験するので、推論の修正はやりやすいのです。

一方で、「リフレクション・ループ」では、同様に「お菓子か花かを買っていけばひとかどさんが喜ぶ」という結論を導いていたとしても、「本当にお菓子でも喜ぶのか」を今一度観察し直し、プレゼントなら「お菓子か花」ではなく、「花」の方にひとかどさんは喜ぶ、という推論に修正するような感じです。

この場合、「お菓子をプレゼントした現実世界」を経験できないので、観察により想像するしかないのです。
しかしながら、行動を起こすことなく、正確な推論に修正することができたならば、その場合、相手には「気遣いが上手い」と映ることでしょう。

どちらのループを取るかによって、推論の組み直し方は異なりますが、思うに、Ottoは、「リフレクション・ループ」による推論の補正が上手いから、「気遣い上手」なのかもしれません。

図2:リフレクション・ループのイメージ(行動する前に観察に戻る)

おわりに

今回は、推論を組み立てるプロセスと、推論を修正する2種類のループを紹介しました。

推論を修正するために、直接的に軌道修正のチャンスが得られる「アクション・ループ」は有益なアイディアです。

加えて、「気遣い上手」は、「リフレクション・ループ(行動を起こす前に、今一度自身の結論を疑い、観察からやり直すことで、推論を修正する)」ができているのではないか、というのも、今回のMAPのアイディアから得た気づきだったので紹介させていただきました。

わたしも、「気遣い上手」になりたいものです。
それではまた来週お会いしましょう。


#気遣い
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#メンタルモデル
#学習する組織







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