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[DX事例65]全長12mのディスプレイで50種類のバーチャルメイクを投影。色々なメイクルックで新しい自分を見つける_株式会社コーセー

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は美容業界からです。国内の化粧品大手であり、自社化粧品の製造販売を手掛ける株式会社コーセーのメイクに関するDXです。


バーチャルメイクを体験できる店舗で「あたらしい自分に会いに行く」、コーセーのDX事例

以前、資生堂のDX事例をお伝えしたこともありますが、コロナ禍における外出機会が減ったことから化粧品需要が落ち込む状況が続いています。
コーセーではリアル店舗での非接触・非対面サービスを提供しつつ、お客様に新たなショッピング体験を提供することを目的として、フラグシップストア「Maison KOSÉ表参道」とコンセプトストア「Maison KOSÉ 銀座」をオープンしています。今回はそれぞれの店舗で行っているDX事例を紹介していきます。


①壁一面のディスプレイにバーチャルメイクを投影「NEW ME COLLECTION」
コーセーが運営するコンセプトストアであるMaison KOSÉ 銀座では、2021年11月に店舗をリニューアルしました。リニューアルの目玉となるのが、1階フロアの全面を使ったバーチャルメイクシステム「NEW ME COLLECTION」です。

NEW ME COLLECTIONは、“meet new me”をテーマとしており、専用のブースで写真撮影を行うと、様々なメイクルックのバーチャルメイクを作成してくれます。

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Maison KOSÉ 「NEW ME COLLECTION」より抜粋

圧巻なのが上図にある通り、バーチャルメイクを投影する全長12mのディスプレイです。バーチャルメイクの種類は50種類用意されており、様々な印象を与えるようなメイクパターンを動画にして投影します。作成されたバーチャルメイクは、スマホでも閲覧することが可能であり、メイクに使用されている化粧アイテムの参照やWeb購入することも可能となっています。


②デジタルを活用した非接触なショッピング体験「オートテスター」「オートサンプリングサービス」
コーセーは2020年12月に「Maison KOSÉ 表参道」をオープンしています。このストアはコーセーのデジタルプラットフォーム構想である「コーセービューティプラットフォーム」に基づいており、様々なデジタル体験ができるストアになります。

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株式会社コーセー「~お客さまがコーセーのすべてを体験でき、もっと好きになる場~メゾン コーセーフラッグシップストア「Maison KOSÉ表参道」をオープン」より抜粋

上図の「オートテスター」は手をかざすと、試供品のサンプルを一定量噴射する特徴があり、非接触で様々な化粧品のサンプルを試すことが可能です。また香水に関しても、オートテスターと同様に非接触でサンプルを試すことも可能な「オートサンプリングシステム」を用意しています。

また、店内ではクレジットや電子マネーを始めとする完全キャッシュレス決済に対応しており、接客不要の意思を示すために「接客不要」のバンドを付けることでスタッフも声がけをしないというサービスも用意しています。

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Maison KOSÉ表参道 HPより抜粋

Maison KOSÉ 表参道ではこれらの取り組みを行うことで、「非接触型のショッピング体験」を通してKOSÉブランドの商品を楽しんでもらえるようなサービスを提供しています。


DX事例と経営戦略の関連性について

コーセーは中期経営計画である「VISION2026」の基本戦略で、「デジタルを活用したパーソナルな顧客体験の追求」を挙げています。コーセーは「DECORTE」「雪肌精」などを代表として自社商品ブランドを数多く展開していますが、商品を開発販売するだけでなく、商品やサービスを通した「ビューティ体験」の提供に力を入れようとしています。

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株式会社コーセー「統合報告書2021」より抜粋

2020年度の施策としては、今回ご紹介したような「Maison KOSÉ表参道」と「Maison KOSÉ 銀座」におけるリアル店舗での非接触サービスに力を入れていました。
そして2021年度の施策としてはオンラインカウンセリング体制を強化しようとしています。2021年9月にはスマホやPCからでも化粧品の色や質感を再現した「WEB-BC SYSTEM」を開発しており、対面時と同等のきめ細やかなカウンセリングを提供していきたいとのことです。

コーセーはデジタルと体験を融合することで、リアルとオンラインの両面から一人ひとりに合わせたビューティ体験の提供を目指しています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回はリアル店舗でのビューティ体験を提供するDX事例でした。コーセーの統合報告書には今回の施策を「ビューティアトラクション」と表現していました。
全長12mのディスプレイを使って提供される「NEW ME COLLECTION」はまさにアトラクションと呼べる内容でしたね。

リアル店舗のDX事例は「非接触・非対面」というキーワードが多いですが、商品の購入を通して得られる「ショッピング体験」も大事なキーワードですね。ショッピングが楽しくなるような体験や、この商品を購入するとどんな楽しいことが得られるのか。そんなワクワクを提供していくことがリアル店舗に求められているのかもしれません。
次回の記事も楽しみにしていただければと思います。
タナショー


参考にさせていただいた情報
株式会社コーセー HP
https://www.kose.co.jp/company/ja/
株式会社コーセー「統合報告書2021」
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4922/ir_material_for_fiscal_ym2/103950/00.pdf
株式会社コーセー「ビューティを楽しく体感できるアトラクションを加え、新たな価値を提供コンセプトストア Maison KOSÉ 銀座が進化して、リニューアル」
https://www.kose.co.jp/company/ja/content/uploads/2021/11/202111011.pdf?_ga=2.6922866.1501763449.1637917113-16441401.1637917111
株式会社コーセー「~お客さまがコーセーのすべてを体験でき、もっと好きになる場~メゾン コーセーフラッグシップストア「Maison KOSÉ表参道」をオープン」
https://www.kose.co.jp/company/ja/content/uploads/2020/10/2020103002.pdf
Maison KOSÉ 「NEW ME COLLECTION」
https://maison.kose.co.jp/site/p/meet-new-me.aspx
るるぶ&more「非接触で安心♪ 「Maison KOSÉ表参道」で自分にぴったりのコスメを見つけよう」
https://rurubu.jp/andmore/article/13727


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