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アプリやZOOMでバーチャルメイク!?デジタルを通じた「新しい美容体験」を届けたい!〜DX事例33_株式会社資生堂〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は化粧品メーカーからです。化粧品の国内シェアTOPを占める、株式会社資生堂の化粧品に関するDXです。


コロナ禍における顧客の行動変容により、オンラインでのサービス展開を加速

外出自粛やインバウンド需要の消失、マスク着用による口紅等の化粧品需要低減など、コロナが化粧品業界に与えたインパクトはとても大きいです。資生堂も店舗でのカウンセリング数が激減するなどリアル店舗での販売促進に陰りが見えている状態で、オンラインでのメイク体験を提供するために以下の取組みを行っています。

①スマホカメラで肌測定ができる「肌パシャ」
専用の測定機器不要で、スマートフォンのカメラで本格的な肌判定ができるアプリとなります。基本のうるおい測定だけでなく「ハリ・透明度・シミ・シワ・肌色分析」や総合結果となる「美肌チャート」などの機能があります。

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資生堂WATASHI+「肌パシャ」より抜粋

肌パシャ利用者は、自分の肌質にあった商品やスキンケア情報を確認できたり、継続的に肌の分析をチェックすることで、スキンケアの客観的な成果を確認することができます。


②ZOOM会議でメイク不要のバーチャルメイク「TeleBeauty」
リモートワークで機会が増加したWeb会議において、素顔のままで参加してもメイクしているようにフィルターをかけてくれます。「Snap Camera」という外部ソフトも合わせて利用するため、使い始めるのに一手間かかりますがZOOM会議のためだけにメイクをする手間がなくなります。

フィルターは「メイクパターン」という名称で複数のラインナップを用意しており、資生堂の最新の化粧品を使ったメイクパターンや男性用のメイクパターンなどもあります。メイクパターンに使われている化粧品は、実際に購入することも可能で、「TeleBeauty」で使用感を試してから購入するという流れが可能です。

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資生堂WATASHI+「TeleBeauty」より抜粋

③オンラインカウンセリングの実施
前述したように店舗に来店しての対面でのカウンセリングが激減したため、オンラインでのカウンセリングやオンラインイベントを開始しています。

資生堂はYiZhiBoの中国免税店とのコラボ動画を配信したり、日中ではなく夜間にカウンセリングを行うという「ナイトオンラインカウンセリング」を実施しました。資生堂に所属するビューティーコンサルタントが、仕事や家事が終わった後の夜の時間帯にメイクに関するアドバイスを行うことができます。



DXと経営戦略の関連性について

資生堂は2021年2月に中期経営戦略として「WIN 2023 and Beyond」を策定しました。売上の落ち込んだ事業構造を改革し、2023年までの3年間で「世界で勝てる日本初のグローバルビューティカンパニー」の下地を作っていくことを目指します。

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資生堂「2020年実績(1-12月) および2021年見通し」より抜粋

資生堂はその計画を達成するための施策として、DXをキーワードとして挙げています。前章でも説明したオンラインでの施策だけでなく、資生堂はaccenture社と戦略パートナーシップを締結しました。DXを実現するためのICT基盤の構築を行い、「オンラインとオフラインを融合したビジネスモデル」への事業転換を目指します。主に顧客情報CRMや顧客の肌情報などのデジタルから得られる情報を最大限活用する「データドリブン」を重要視しており、ビジョンとして「No.1 Data Driven Skin Beauty Company」を掲げています。

資生堂は「生涯美容提案」という言葉のもと、お客様の今だけでなく10年先、20年先の「美」を作り出すこと。「美」を通じて、人々が幸せになる社会の実現を目指して活動を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?資生堂は2020年12月期(20年1~12月)通期の連結業績は、最終損益116億円の赤字となりました。併せて「TSUBAKI」や「uno(ウーノ)」といったブランドを擁する事業である「パーソルケア事業」を1600億円で売却しています。

中期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」にもあるように、資生堂は非中核事業からは撤退し中核事業への集中を図ろうとしており、そのための施策としてDX推進を強く打ち出しました。

激化する外部要因の変化に対応し、ユーザニーズに合ったサービスを作りだすための「事業変革」としてDXがあります。もちろん戦略的な投資となりますので膨大な投資コストがかかる場合もあり、経営者の強い決断がDXには不可欠です。

今回の事例は、コロナでの売上落ち込みや化粧品のニーズ減少に対して、起死回生の一手としてDXが使われている事例だったかと思います。
みなさんの会社は事業方針を変更してでも解決したい課題や、乗り越えるべき障害がありますでしょうか?「今までのやり方では通用しない」事態や、「モノからコトへ方針を転換したい」場合にDXが使える場合があります。

DXはコストがかかったり、何をすればいいのか分からない方も多いと思いますので、引き続き「DX事例」という形で皆さんに有益な情報をお伝えしていきます!次回もお楽しみにしていただければと思います。
タナショー


参考にさせていただいた情報
資生堂HP
https://corp.shiseido.com/jp/
資生堂「2020年実績(1-12月) および2021年見通し」
https://corp.shiseido.com/jp/ir/pdf/ir20210209_766.pdf
資生堂WATASHI+「肌パシャ」
https://www.shiseido.co.jp/sw/hadapasha/pc.html
資生堂WATASHI+「TeleBeauty」
https://www.shiseido.co.jp/sw/beautyinfo/telebeauty/
ONECAREER「「テーラーメイドエクスペリエンス」への挑戦。資生堂のデジタル戦略に迫る」
https://www.onecareer.jp/articles/2461
BUSINESS INSIDER「7年ぶり赤字転落の資生堂、「化粧品事業のDX」で起死回生なるか。アフターデジタル見据えた戦略を分析」
https://www.businessinsider.jp/post-231753

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