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AI・RPAで生み出す徹底的な工数削減は、お客様に向き合う営業活動を増やすために〜DX事例3_株式会社オープンハウス〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。
このnoteでは経営者にITを身近に感じてもらうための記事や、IT活用のヒント、経営者へのお役に立ちそうな記事をお届けしていきます。

DXの事例第3弾は長瀬智也さん演じる、「戸建て」を夢見る小学生役が印象的な、東京、名古屋、福岡を中心に不動産業を展開する株式会社オープンハウスです。今回はAI/RPAを使用した工数削減のDXについてです。

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不動産業特有の手作業業務を徹底的に自動化

不動産業の業務はアナログが多いと言われます。部屋探しで不動産に行くと不動産のチラシは紙ですし、内覧は現地確認。契約しようとなるとこれまた紙での契約です。もちろん内覧などはアナログ(現地確認)のほうがいいという方も多いと思いますが、利用者側でもこれだけ多いと感じるアナログ作業。社内の営業員側ではもっとアナログな業務が多いのです。
オープンハウスはすでに10以上のテーマにおいて、手作業で行ってきた不動産業務の自動化を実施しています。今回はその中でも公表している3つのテーマを紹介します。

①宅地の自動区割りシステム
オープンハウスは都心の土地を購入した場合、販売価格を抑えるために土地を区割り(分割する)ことがあります。この区割り作業は建築基準法や地方行政の定める条例を準拠する必要があり、その条件下の中から最適な分割案を導き出さなければならないため、ベテランの作業者でも数日かかっていた作業となります。この区割り作業をAIに任せることにより、区割り作業者は必要な諸情報パラメータをインプットするだけで自動で分割案を作成することが可能となりました。パラメータを少しずつ変えることで、最適な分割案をシミュレーションできるようにもなり、このシステムにより従来の工数を8割削減することが可能となりました。

②物件資料自動取得RPA
物件現地を案内する際、営業は物件チラシ、地図や謄本情報などの多くの物件関連資料が必要となります。それらの情報の多くは社内システムにあるのですが、従来は社内のPCからしか取得できず、社外にいるときはオフィスにいる社員に電話してデータを送ってもらう手間が発生していました。この物件資料取得作業をRPAを導入することで自動化。社外からでも必要事項を専用メールアドレスに送ることで、RPAロボットが社内情報を自動取得し社員に返信することが可能になりました。またこのシステムの導入で従来より年間1,920時間の工数削減を実現できています。

③物件資料自動作成/オンラインチラシ作成システム
間取り図や物件写真、金額が書かれた「物件チラシ」は不動産探しの必須アイテムです。この物件チラシは予め作成・審査したデータがありそれを毎回印刷していましたが、このチラシをRPA+AIで自動作成するようにしました。お客様の特性に合わせて「立地」「価格」「間取り」「学区」など強調ポイントを変えて自動作成することもでき、チラシに記載されたQRコードをスマホで読み取ると、利用者のスマホからでもオンラインチラシを閲覧することが可能となりました。これにより年間3,780時間(チラシ作成+審査時間)の工数削減となります。

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オープンハウスの経営戦略とDXの関連性について

前回までは企業のミッション・ビジョンとDX施策の整合性についてみてきましたが、オープンハウスではダイレクトな整合性が見つけられなかったので経営戦略との関連性を見ていきます。

オープンハウスのAI・RPAの関連記事を調べると、とにかく「工数削減」というキーワードが出てきます。では「工数削減」を使って何を実現したいのかというと、それはビジネススピードの向上です。不動産事業における開発(=土地を仕入れて、付加価値を付けて売る業務)は時間も人手もかかる業務ですが、この開発業務をITの力で早め、回転数を上げることで利益を増やすことができます。
また、開発業務には「誰でもできるけど人手のかかる作業」も多くあり、従来は新入社員に行わせることもあったようですが、オープンハウスはITの力でこの「誰でもできる作業」を極力減らしていきたいようです。
代表取締役社長である荒井正昭氏のトップメッセージに、常に「お客さま」に選んでいただける企業でありたい、とあります。そのメッセージからも読み取れるように、オープンハウスは社長自ら自認するほどの「体育会系」企業であり、積極的な営業活動を強みとしています。手間のかかるような余計な業務は極力排除し、お客様と会話する時間を増やすことで顧客体験を深めていきたい。それを実現する手段としてDXを積極的に推進しているようにタナショーは感じました。

03.メリット

オープンハウスは2020年第3四半期として過去最高の売上高、利益を更新しており、8期連続売上高ならびに利益の更新を続けています。



まとめ

04.まとめ

いかがでしたでしょうか。DXは人と組織のあり方をガラリと変えながら会社自体も大きく変革させるので、経営者が主体となって進めないと人がついてきません。
そして経営者が主体となって「なぜDXを行うのか」、「それによって何を実現したいのか」を突き詰めていくと、それは経営戦略に現れたり、またはミッション・ビジョンとの関連性が見えてくるわけですね。
経営はヒト・モノ・カネ(あと情報)が重要な要素ですが、それだけを考えればよいのではなく、それらの資源をより価値あるものにするための手段、変革案としてDXがあるのかと思います。変革という意味を持つDXにはデメリットもありますが、それを踏まえてでも実現したいことがあるか、自社を変えていきたい要素はあるのか。それを見つけ出すヒントとして引き続きDX事例を載せていきますので、参考にしてもらえれば嬉しいです♪

以上、オープンハウスのAI・RPAを使った工数削減のDX事例紹介でした。次回も楽しみにしていただければと思います。
タナショー


参考にさせていただいた情報
株式会社オープンハウス
https://oh.openhouse-group.com
株式会社オープンハウス「2019年9月期決算説明会」
https://openhouse-group.co.jp/ir/upload_file/m005-m005_02/FY2019_2.pdf
Ledge.ai「年間で2万5700時間の工数削減 不動産オープンハウスがAI・RPA導入で手にした「予想外」の成果」
https://ledge.ai/openhouse-ai-case/
PRTIMES 「紙文化が根強い不動産業界でDXによる革新を〜」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000024241.html





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