栄養士から売れっ子フォトグラファーへ。「写真を通して気づきを届けたい」| 落合直哉さんインタビュー【後編】
こんにちは!
hitch+(ヒッチプラス)編集部の前田です。
hitch+に登録しているクリエイターさんの仕事内容や
弊社との取り組みを紹介するプロジェクト「Creator Story」!
今回は、フォトグラファー落合直哉さんのインタビュー記事後編です。
仕事をする上で気を付けていることや表情を引き出すための撮影テクニック、ちょっとユニークな今後の目標などを伺いました。
前編はこちらからご覧ください!
落合 直哉
Photographer
神奈川県藤沢市生まれ 東京都目黒区在住。
元管理栄養士で、フリーのフォトグラファーとしての活動は9年目。
東証プライム企業〜個人事業主のWebサイト撮影を中心に活動中。
初めての個人案件は大学時代の先輩から
Facebookの繋がりから仕事を増やしていく――
前田
お仕事を増やしていく過程はどんな感じだったのでしょうか?
落合
業務委託で仕事を受けながら、Facebookに写真の投稿を始めたんです。前の仕事(管理栄養士)から転職したことを知らない人が多かったので、ちょっと報告がてらやろうかなって。そしたら投稿を見た大学時代の先輩から「結婚式の撮影をお願いしたい」って言われたんです。フォトグラファーとしての活動を始めてまだ1カ月程だったので、自分でいいのかなという気持ちもありつつ、頼んでもらえたことが嬉しかったしありがたかったので引き受けました。それが初めての個人案件ですね。
前田
信頼されてるんですね。
落合
結婚式って人物だけじゃなく物や会場もしっかり写さなければならないので、色んな技術が必要になってくるんですよ。僕の場合は結婚式の撮影からフォトグラファーとしての活動がスタートしたので、その技術を活かしながら、プロフィール写真や七五三の家族写真、お子さんの写真撮影など色んな撮影に発展できるようになったんです。それで知り合いからの依頼やそこから紹介されてちょこちょこ仕事が増えていくようになりました。
前田
営業などもされていたんでしょうか?
落合
自分から電話をかけたり、そういう営業は一切していませんでしたね。ただ、繋がりを増やすために異業種交流会に行ったりはしていました。あとは本当にFacebook様様です。自己紹介から案件獲得にもつながるツールだったので、そこでのコミュニケーションを大切にしていました。
どんなに逼迫しても、
一件一件丁寧にこなすことは忘れない――
前田
今の仕事スタイルが確立するまでにあった困難を教えてください。
落合
収入と時間が足りないことですかね。始めたてのころは単価が低いので収入を増やすためにとにかく件数をこなさなければならないんですが、案件をたくさん入れると今度は時間が足りなくなってくるんです。たくさん仕事をしているのにお金もなければ時間もないという状況が辛かったですね。大体の駆け出しフォトグラファーが通る道だと思います。
あとは案件の継続に不安を感じていました。もちろん、どこかに所属していれば継続的に案件をもらえたかもしれないんですが、僕は個人の仕事を大切にしたくて。けど、個人の仕事も継続で続くわけではないから、どんなにギャラが低くてもまずはしっかり時間をかけて編集してましたね……。
前田
フリーランスの人が一度は直面する悩みですね。
落合
僕は専門学校も出ていないしスタジオに勤めたこともなく、アシスタントも経験していないので、実践で学びを得ていくしかなかったんです。だから、一件一件の仕事に対して「どんな学びがあったか」「どういうところが良かったか」「反省点はあったか」などを毎回振り返っていました。そうやって一つひとつを大切にこなしていたら、仕事に対する姿勢を評価して気に入ってくれる人が出てきて、それが企業案件につながったりなんかもしていました。
“最高にイケてる瞬間”をおさめるために――
撮影する上で意識していることとは?
前田
お仕事をする上で特に気をつけていることはありますか?
落合
何百枚も撮影した中でセレクトして編集するんですが、その際表情のめちゃくちゃ細かいところまで見るようにしています。目の開き方、口の開き方、顔の向き、体の角度どういう見え方がその人が一番喜ぶかとか、その人の写真を見た第三者がどう思うかとか……。撮られた人に喜んでもらいたいのでそればっかり考えてやっていますね。
前田
人に喜んでもらいたいという気持ちは、大学生のときと変わらない感じですか?
落合
その延長なんですよね、今やっていることって。被写体に喜んでもらえる写真というのはクライアントにとっても絶対いい写真になるし、メディアに掲載されたら、そのメディアを見た人たちにとってもいい写真になる。色んな人にいい影響しかないんです。喜んでもらうっていうのは、「この自分ちょっとイケてるな」とか「私可愛いかも」、「こういうかっこいいところもあるんだ」みたいな気付きから得られると思っていて。被写体の自信につながるような写真を撮れたらいいなと思いながら撮影しています。そのきっかけになれたら嬉しいですよね。
前田
落合さんは人物撮影に定評がありますよね。撮影する上で意識しているポイントはありますか?
落合
多めに枚数を撮るようにしています。被写体が著名人でも、カメラに撮られ慣れていない一般の方の場合でも、表情を狙って枚数を撮れば”最高にイケてる瞬間”が必ず見つかると思っているので。僕はどちらかというと他のフォトグラファーより人物撮影に時間をかけている方だと思うんです。ぱぱっと撮り終えるフォトグラファーとたまに現場で遭遇するのですが、いい表情撮れてないんじゃないかと思ってしまいます。
あとは、例え半目で写っていても、その写真は見せずに「いいですね!」って伝えています。「だんだん良くなってきましたね」、「ちょっと緩んできましたね」とか。そう言うことによって自然と被写体もリラックスできて、いい表情を引き出せる気がするんです。
前田
この前落合さんの撮影風景を見させていただいて思ったのは、すっごい笑顔なんですよね、落合さんが!(笑)。やっぱり撮影してくれる人が笑顔だと撮られる側も笑顔になるし、いい写真撮ってくれそうな雰囲気が出ていました。
落合
あと、写真に対してはポジティブなことを言って、人に対しては結構いじるかもしれません。いじると結構表情が出るんですよ!大企業の社長さんにも遠慮せずいじっちゃいます(笑)。「今日もしかして硬めですか?」とか、近くにマネージャーさんとかがいたら「ちょっと緊張されてますかね?」みたいに、周りを巻き込んで歓談をはさみますね。
前田
すごい……!勇気ありますね!
落合
言葉の引き出しみたいのは結構考えてきたかな。キメ台詞みたいなのを使いまわしている人もいると思うんですけど、撮られる側としては「これで笑い取ろうとしてるんだろうな」ってしけた気持ちになっちゃうから、あんまりいい印象にならないと思うんですよね。フォトグラファーとしての信頼度も下がる気がします。だから僕はその場その場でアドリブでやるタイプです。
前田
場数を踏んで、応用できるようになったんですね。
過去に戻れても、
今と変わらず同じスタイルで――
前田
過去に戻れるなら「これをやっておけばよかった!」みたいなことって何かありますか?
落合
何だろう……思いつかないですね(笑)。フォトグラファーを目指すなら専門学校に通うのが王道だと思うんですけど、行っておけばよかったとは思わないです。専門学校やスタジオを経て巨匠のような存在になる人もたくさんいますが、僕はそこを目指してないから。誰もが知っている芸能人やモデルさんを撮って有名になりたいとも思わない。身近な人に喜んでもらいたいというのが一番なので、そうなると今の技術を高めていくことや、自分らしさを活かす方が合ってると思うんですよね。
ホームページ撮影やインタビュー撮影、イベント系のお仕事を通して被写体やクライアントに喜んでもらえてるなっていうのをすごく実感してて……自分の強みを活かせるこの場所が好きなんです。自分が好きなことで人に喜んでもらえるなんて幸せですよね。単価の高い仕事をやることが幸せに直結するのかというと、そうでもないような気がしています。
前田
そうですよね。楽しくなかったり身体を壊してしまったら元も子もないですもんね。
落合
本当にその通りです。
今後の目標は
「歯科撮影の第一人者を目指したい」――
前田
最後に、今後の目標について教えていただけますでしょうか?
落合
引き続きホームページ撮影やインタビュー撮影、イベント系のお仕事は深めていきたいですね。具体的なところだと歯科医院のホームページ撮影が好きで、より力を入れていきたいです。歯科って結構嫌われがちなんですよ。痛い、ツライ、めんどくさいの三拍子で。そんな業界だからひっそりとしているイメージがあるけど、僕はあえてそういうところにスポットライトをあてたいんですよね。今日お話ししたように、モデルさんより一般人を魅力的に写したいタイプなので、「歯科ってかっこいいんだよ!」というのを多くの人に伝えていきたいです。
前田
いいですね。歯科撮影のプロフェッショナル!
落合
御社からの案件も含めると年間でかなりの件数の歯科撮影をしているので、歯科に対する知識も身についてきました。歯科の魅せ方がわかっているフォトグラファーってなかなかいないので、第一人者を目指そうと思っています。
前田
歯医者に通うハードルが下がるような素敵な写真を楽しみにしてます!本日はありがとうございました!
担当者からひとこと
落合さんは最高のフォトグラファーであり、戦友です!数々の現場を共に過ごしてきましたが、落合さんが現場にいることによる安心感たるや他に類を見ないと言えます。現場を取り仕切るディレクターにとって、取材メンバーのチーム力を2倍にも3倍にも昇華してくれる本当に頼もしい存在です。撮影技術、現場ディレクションともに一級品ですが、何よりすごいのが適切な瞬間を読み解く判断力。現場が少し静まったタイミングで率先して声かけをし、制作側がほしい瞬間を的確に画角に収めてくれます。これからもいろいろな案件でお世話になると思いますが、楽しい現場を一緒に作り上げていきましょう!(石川)
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