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サイクリングの裾野を広げる地域振興の模索(2018年)

2018年の提案です。ホームページにスライドを書き出した動画を掲載しておりますが、もう5年前なんだなぁ、と、こちらで振り返ってみることにしました(*'ω'*)

愛媛県自転車新文化推進協会「愛媛県自転車新文化推進フォーラム」基調講演【プロジェクト提案】サイクリングの裾野を広げる地域振興の模索~レジャーとスポーツ。底辺を広げる新たな取り組み。~(2018年2月15日)

https://k-fitting.com/about.html

レジャーとスポーツ。底辺を広げる新たな取り組み

サイクリングの裾野を広げる地域振興の模索

菊池仁志と申します。今日は、「サイクリングの裾野を広げる地域振興の模索」というテーマでお話させていただきます。

菊池仁志のプロフィール(2018年版)

菊池仁志のプロフィール(2018)

元競輪選手です。GI,GIIは決勝戦進出、GIIIで優勝したこともあります。デビュー後1年9か月でS級に昇格し、それから28年7か月、S級在籍のまま、6年前に引退しました。
引退後は、愛媛県自転車連盟の理事や、実業団チームの監督をしながら、競輪中継のお仕事や、愛媛県内の自転車関連イベントなどでサポート役をしておりましたが、2015年にプロコーチとして独立しました。
K-FITTINGバイクスクールを開講し、一般サイクリストの方々の指導に当たるほか、自転車競技チームのコーチを務めるなどしております。

他県から見た愛媛県の自転車政策

愛媛県の自転車政策について

最初に、他県から見た愛媛県の自転車政策ということでお話させていただきます。現在、自転車競技チームのコーチを受け持っているということもあり、大会等で全国に出向く機会がよくあるのですが、愛媛県というと、「自転車先進県ですね~」、とよく言ってもらいます。「しまなみ」は有名ですし、「ブルーライン」や「四国一周ルート整備」、「思いやり1.5m」など、どれもうちではできない、と、感心されます。また、K-FITTINGの受講で愛媛に来られる他県の方からは、「車が自転車にやさしいですね」と、言ってもらいます。こういったことも、いろいろな県の政策が県民の意識に働きかけている表れではないでしょうか。とても嬉しい話です。

指導者として

指導者として(競輪選手のセカンドキャリア)

元競輪選手として30年、競技を始めてからは40数年間、自転車に乗り続けています(笑)。引退後、指導者となって、感じたことを少しお話させていただきます。

競輪選手から指導者へ

競輪選手の頃は、簡単に言いますと、自分の競技成績を上げていくことだけを考えていればよかったのですが、指導者になると、競技者の弱いところ、足りないところを、どのように補っていくか、という方策を考えることが必要になります。
こういうと当たり前のように聞こえますが、これがとても難しい。それは、自分が当たり前にできることが「できない」ということが、まず理解できないからです。ここをどのように掘り下げていくか、そこが一番大変でした。引退後の6年間で学んだ、指導者として大切なことは、「選手の能力を最大限に引き出すこと。」そして、「裏方に徹すること。」この、2つに集約されます。

自転車文化を継承する仕組みづくり

文化を継承する仕組みづくり

ここからは、ご提案という形でお話させていただきます。
ここでは、愛媛県の政策としても進められている自転車文化を、これからどのようにして発展させていき、継承していくか、ということを考えてみたいと思います。

自転車文化として地域に根差す

この文化が長く続いていくためには、まず、地域に根差す必要があると考えます。現在、自転車新文化推進協会では小学生までの子供を対象としたキッズサイクルスクールを開催しており、愛媛県自転車競技連盟では、小・中学生を対象としたジュニアクラブの活動をしています。こういった子供たちの活動を通して、家族や地域の人達を巻き込みながら、自転車競技やサイクリングといった活動に興味を持ってもらうことはとても大切なことだと思います。
高校のインターハイを経験してみて驚いたのは、観客の多さと応援がすごいことです。選手の親御さんや親戚、地域の方々で満杯の会場では、声援が飛び交っています。子供たちが頑張れば、周囲の大人たちもどんどん巻き込まれていくんですね。
そして大学ではインカレ、社会人になれば、プロやオリンピアンとして活躍してくれる選手が出て来れば、地元ではもっと注目度が上がり、より多くの人達を巻き込むことができるでしょう。
では、選手にならないと意味がないのかというとそうではありません。小さいころにスクールできちんと自転車を学んだことが、サイクリングなどを通して生涯スポーツとして楽しめるベースにもなるのです。自転車は、道具を扱うスポーツです。だれでも気軽に始められますが、長く続けるためには、スポーツとして正しく学ぶことも必要です。きちんと基本を学んだ人達が、指導者となり、サイクリングの活動を推進していく役割を担っていける流れができれば、と思います。

循環する仕組みづくり

循環する仕組みづくり

次は、「循環する仕組み作り」というタイトルを付けておりますが、実は、ここでお話するのは、競技者引退後のセカンドキャリアについてです。

競技者引退後のセカンドキャリア

自分も、6年前に引退してからのキャリアには大変苦労をしました。といいますのも、ずっとプロスポーツの世界で生きてきて、ポーンと一般社会に放り込まれると、何をしたらいいのかわからない…ということになるのです。つい先日、引退したプロロード選手とお話をする機会がありました。その彼は、まだ若く、20代ですが、以前よりお付き合いのあった企業の方に声をかけてもらい、そこに就職することができました。彼も、ずっと自転車競技人生を送ってきた人間です。「何をしていいのかわからないのだけど、会社の方がすごく親切で、分からないことをすべて教えてくれる。」と言っていました。こんな風になれる引退選手は、ごくごく稀です。次は何をすればいいか、困る選手も多いのが現実です。そこで、働く意欲のある引退選手を、愛媛県内の企業様に受け入れてもらい、会社で働いてもらいながら、愛媛県で、自転車関連の活動をしてもらう、という仕組みができれば、企業と選手の活動が地域貢献になりますし、引退選手を引き受けるということで、企業は社会貢献ができる、受け入れていただいた引退選手は、最初は研修などでお世話していたたくことにはなりますが、のちのち、ビジネススキルをアップさせることで、会社にも貢献することがで
きるようになる、といった循環が生まれるのではないかと考えています。

地域振興につながる仕組みづくり

地域振興につながる仕組みづくり

では、この受け入れた引退選手が自転車関連のどういった活動をしていくのか、ということで、具体的な策を挙げてみたいと思います。
例えば、「地域貢献型サイクリングチーム」というのを発足し、このスライドに記載しているように、今までの自転車経験を活かして、自転車普及のための啓もう活動やスクールの開催をしてもらったり、レースやイベントではお手伝いをしていただいたり、ジュニアの育成にも力を貸してもらう、というような活動を行ってもらうことが考えられます。
こうして、地域のサイクリストも仲間に加わってもらいながら、チームとしての活動も行っていき、将来的には、プロロードレースチームとなり、愛媛県の自転車文化を牽引する象徴的な存在に成長していくことを目指していく。このプロロードチームができれば、高校や大学で自転車競技を続けてきた選手の受け皿にもなることができます。一つのご提案としてこういった策もお話させていただきました。

世界につながる仕組みづくり

世界に繋がる仕組みづくり

次に、世界につながる仕組み作りということで、今現在、愛媛にない物を一つご紹介とご提案をさせていただきたいと思います。
まず、自転車競技の視点からの、現在の愛媛県の強みとしましては、トラック、ロード、MTBの練習環境がある、ということ、合宿施設のある松山競輪場があるということが挙げられます。自転車競技の練習にはとても適した土地柄といえます。

将来への展望

そこで、将来への展望なのですが、現在の愛媛県にない施設として、室内バンク「ベロドローム」というものがあります。これは、世界基準の周長250m、板張りバンクです。実は競輪場はご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、33バンクと呼ばれる周長333mのものや、400m、500mといったものがあります。バンクといえども種類があり、競輪場は、トラックレースの世界基準とは異なっています。そこで、ベロドロームは、室内ですので、もちろん全天候型ということにもなります。この施設があると何ができるかというと、世界基準ですので、国際レベルの競技会の開催が可能になります。また、ここを練習拠点として国際レベルの選手の育成もできるようになります。また、研修合宿による県外や海外との交流も可能になります。これは実際、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのトラック競技会場となる、静岡県の伊豆ベロドロームでは行われていることです。伊豆ベロドロームでは、アジア地域のジュニア選手の育成・強化合宿を行っています。ここから育った世界トップクラスの選手もいます。現在は、ナショナルチームの練習も行われているため、予約は満杯に埋まっています。しかし残念ながら、伊豆のほうではロードの練習環境がうまく整えられない。愛媛県なら、ロードの練習候補地はたくさんあります。総合的な練習地としてとても良い環境が整うのです。愛媛県から世界へ、自転車文化を発信する拠点にもなりえる、ということですね。競技者を目指すものとしては、目標が高くなりますし、国際レベルの試合が開催できれば、選手も観客も目が肥えてきます。そうすると、必然的に、地域のサイクリストの意識やレベルも上がっていきます。夢が広がりますね。

底辺を広げる新たな取組み

底辺を広げる新たな取り組み

最後に、今までのまとめとして、これからの自転車政策において、サイクリング、レジャーという枠組みと並んで、スポーツを据え、より高い自転車文化の発展を目指そう、ということを提案したいと思います。
自転車競技というと、何を思い浮かべますか?ロードレース、マウンテンバイク、競輪…。そのようなところでしょうか。競輪は、自転車競技法という特別法に基づき、指定された自治体が運営する公益競技であるとともに、トラックレースの種目の一つでもあります。
ケイリンは、日本が生んだ世界の競技です。トラックレースの種目の場合は、漢字ではなく、カタカナの「ケイリン」になります。
このトラックレースには、その他に、ポイントレース、スクラッチ、パーシュート、スプリント、マディソン、エリミネイションなどの種目が、個人・団体とあります。トラックレースだけでもこのようにたくさんの種目があり、それぞれ競技規則が存在しています。
まずはそれぞれを知っていただきたいとまでは言いません。自転車は道具を使うスポーツである、という方向に、少しでも目を向けていただければ嬉しいです。

自転車先進県として、レジャーとスポーツを取りそろえる

そうすると、愛媛県のスポーツ振興計画、スポーツ立県構想に絡んだ様々な企画が展開していけると思っています。自転車先進県として、レジャーとスポーツを取りそろえるということは、他県にはない強みになるのではないでしょうか。自転車文化の発展に適したこの地に、自転車が文化として地域に根差すこと、日本国内だけでなく、国際的な交流を多く生むこと、全国、世界に向けて文化を発信していけること、このようなつながりと循環、発展していく未来像が生まれていけばいいなと思います。
今日は、元競技者として、現、指導者として、スポーツへの展開を軸にお話させていただきました。こういった広がり方もある、ということで何かしら心に残っていただければ嬉しいです。

わたくし(菊池仁志)の講演は以上となります。
ご清聴ありがとうございました。

2018年2月15日
©ヒトシプランニングオフィス