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『大統領選という名の祭-2: Drain The Swamp』

政治ってよくわかんない。

ましてや海外の政治ならばなおさらそう思っちゃう。でも、政治というよりも「社会の動き」「文化の違い」と言う視点で見てみれば、こんなに面白いものはなし!(保証します、マジ楽しいよ!)

大盛り上がりのアメリカ大統領選も「へー、アメリカ人ってこうなんだー!?」と異文化観察の視点でぜひ眺めてみてね!

というわけで、『大統領選と言う名の祭: It's the economy, stupid! 』に続く2回目。

Dain the swampは、2016年の前回の大統領選で、ヒラリーと戦っていたときにトランプが使っていた言葉です。swampは泥沼、drainは排水すること。これを聞くと「濃い茶緑になって異臭を漂わせる沼の底にある栓をすっぽーんと抜き、一気に腐った水を出してしまう」イメージが私の中では湧いちゃいます。(いやいやいや、お風呂じゃあるまいし、沼に栓なんかないだろ!って、脳内イメージだからなんでもありなの!)

この泥沼とは、「ワシントンDCに集まる政治家や官僚」を表してます。一般ピーポーにはわからん難しいことばかり口にして、自分が得することばかりやってるんじゃね?と思われがちな人達。政治家に対する不信というのはどこの国でも根深い。トランプは、ヒラリーはじめ既得権益を持つエリートを打ち破る(排出する)ことを訴えて、票を集めました。なので、トランプを支持したのは、世間的に言う勝ち組とは反対の「世の流れに取り残されつつある人」です。

<トランプが大好きな人たち>

トランプのコアのサポーターは、白人男性で高卒以下の学歴を持つブルカラー、例えば製造業のラインで働くようなにーちゃん、おっさんたちです。彼らの多くはグローバル化、IT化の流れにうまく乗れず、衰退化する伝統的製造業にいて不安を抱えています。残された勝ち札は「白人男性である(マジョリティである)」ことぐらい。なので、トランプの白人優位主義メッセージが好きで、Make America Great Again (MAGA)というフレーズに「(自分たちがアメリカの中心であった)かつての栄光よ、再び!」と胸を熱くするわけです。

彼らはトランプの下品でストレートな言い方に「正直なことを言ってくれた!」としびれます。そもそも「政治的に正しい(Politically correct)」ことがうっとうしい。政治家は「政治的に正しい」ことを言うものですが(職業病!?)、ヒラリーやバイデンが所属する民主党は、高学歴・非白人が多いため、人種差別反対という「正しさの中の正しさ」どストライク。その逆を行くのがトランプファンです。だからトランプのわかりやすく、理屈よりもも感情を煽る言葉に「自分に代わって言いずらいことをずばり言ってくれた」と感激します。彼らは新聞などは読まず、トランプからのツイッターをフォローする。ちなみにトランプは1日平均12回ほどツイッターするツイッター魔です。(しかも事実確認なし、人格否定アリアリ、誤字もしばしば・・・時々影武者がツイッターしてるみたいですけど、基本本人。)

とはいえ、前回の選挙から4年たち、トランプの政策は思ったほど効果はあげませんでした。世界の工場中国を相手に関税貿易を繰り広げましたが、伝統的製造業にもたいして仕事は戻らずじまい。

今回は彼自身が「ワシントンDCの政治家」です。なのでDrain the swampというフレーズをほとんど発していません。トランプの政策に深く失望した人たちは今回はバイデン支持に回るとみられます。なので、伝統的製造業の州であるRust Belt(錆びついた地帯)はまたもや激戦区で、ブルカラーの票を両者が競い合うガチンコ勝負!


もうひとつ、トランプのコアな支持層に「キリスト教福音派」があります。英語ではEvangelical、エヴァンジェリカルで、これを聞くたびに「(新世紀)エヴァンゲリオン」に一瞬脳内変換されてしまう自分ってどうよ・・・なんですが!

アメリカ人の25%は福音派で、南部に多く信者がいます。聖書に書かれていることを忠実に解釈する保守派で、中絶や同性婚に反対です。が、前オバマ政権は中絶を選択するのは女性の権利、同性婚は憲法上の権利とみなすリベラル派だったため、福音派はこれまで主流派だった自分たちの価値観が脅かされてると危機感を強めています。そのため、保守派のトランプを支援しています。(白人福音派の78%がトランプ支持です。貼り付け写真はピューリサーチセンターのデータより

トランプは敬虔なキリスト教徒ではありません。離婚や不倫を繰り返してきたし、そもそも品がない。とはいえ、彼らにとって、リベラル派の民主党を応援するのも難しい。なので、品のなさには目をつぶって自分たちのアジェンダを推進してくれるトランプ支持ということなのでしょう。

ちなみに、科学の教科書に載っている「進化論」。「あれ、信じてます?」と聞かれたら、ふつーの日本人は「へっ?」と思うんじゃないでしょうか。信じるも何も、事実だろ、みたいな。

ですが、アメリカ人の4割(!)は信じていません。「人は神が自分に似た姿に創造したもので、サルからの進化などではない!」と考える人が多いということです。高学歴であっても信心深い人はそう考えます。特に、共和党政治家ならびに支持者には進化論を否定する人多し。特に前出の福音派は進化論を否定する傾向がとりわけ強い。

まあ、さすがに若い人は進化論を事実と考えるようになってきているので、進化論を信じるアメリカ人がやっと6割とマジョリティになったんだな・・・というところでしょうか。科学技術では世界トップのアメリカなのに、このアンバランスはなんなんだ~と思っちゃいますがね。

大都会はともかくも、アメリカのほとんどの都市では、町のあちこちに教会があります。京都に行くと、あちこちお寺だらけですごいな・・・と思いますが、あれぐらいの頻度で教会あるなぁと思います!

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