見出し画像

『ビジネスではあんまり使わないかもしれない熟語!: sick to one's stomach(吐き気がする・憤慨する)』

今日はいつもの『ビジネスで使ってみたい熟語!』とは違ったタイトルです。長い!わははー。でも、ビジネスをしていく上で文化を知っておくのは大切なので書きますね。

先月、大阪なおみ選手がウエスタン・アンド・サザン・オープン準決勝戦を棄権し、Twitterで意思表明をしていました。日英併記であったのですが、日本語は機械翻訳だったんですかね・・・ところどころ日本語が不自然でした。

さて、その中にでてきたmake me sick to my stomach. 「吐き気がする」「気分が悪くなる」「憤慨する」「胸クソが悪くなる」など、健康状態だけではなく、気分や精神状態をも表しますが、かなり感情がこもった表現です。

Sick to one's stomach: likely to vomit; feeling very upset, worried, or angry


I feel sick to my stomach
It makes me (feel) sick to my stomach
という言い方をしますね。

Before I am an athlete, I am a black woman... Watching the continued genocide of Black people at the hand of the police is honestly making me sick to my stomach
私はアスリートである前に、一人の黒人の女性です。(中略)相次いで起きている警官による黒人の虐殺を見ていて、正直、腹の底から怒りがわきます。

伝統的に白人のスポーツであるテニス界でプレーするのは、なおさら大変なんだろうと思います。

さて、彼女はI'm a black woman、「私は黒人女性」と書いていますが、「え、日本人と黒人のハーフでしょ?」「日本国籍を取得したから日本人でしょ?」と思う方がいるかも知れません。ここで彼女は、国籍ではなく、何人として生きているのか、人種の話をしているのでしょう。ちなみに日本人の場合、ほとんど国籍イコール人種なので意識する機会が少ないと思いますが、両者は別物ですね。

アメリカにはかつて、One-drop ruleという法律が一部の州にありました。黒人の血が一滴(One drop)でも混ざれば、外見上白人に見えたとしても黒人とみなされるというもので、それが文化として今でも残っています。

さらに厳密に言えば、このルールは黒人だけに該当せず、社会的なクラスが下とみなされる人種と白人の子は、その下のクラスに所属すると決められていました。なので、白人とアジア人との子供だったら、アジア人とみなされたわけです。

現在、この州法は無効となっており、また連邦の法律となったことはありません。

ですが、バラク・オバマは白人の母親とケニア人の父親がいるものの「アメリカ初の黒人大統領」と呼ばれました。また、つい最近副大統領候補に選ばれた民主党議員のカマラ・ハリスも、インド人の母親とジャマイカ人の父親がいますが、黒人女性と言われます。

とはいえ、アメリカでは白人以外の人種が徐々に増えつつあり、カマラは「アジア系」でもあると多少紹介に入るようになりました。時代の進化かもしれないし、あるいは現在アメリカで黒人の公民権運動が活発になっていますが、最も差別を受けているアフリカ系黒人とはちょっと違うというトーンを出したくて、そう説明されているのかも知れません。

私は、とーおーい昔、学生時代に「青いドレスの女(ブルー・ドレスの女)」というミステリー小説を読んでびっくりしたことがあります。映画化もされているので見たことがある方もいるかもしれません。オチをばらしてしまいますが、70年ほど前のアメリカが舞台の話にて、市長に立候補した富豪の婚約者である白人(にしか見えない)女性が「実はわたしは黒人なのよ!」と最後に告白するシーンがあります。そしてそこがミステリーの鍵となってました。(記憶に頼って書いているので、一語一句同じではないと思います。)

で、One-drop ruleの背景を知らなかった私は

はっ?どゆこと?

と、ぽかーんとしてしまったんですよね。複数の人種が混じってたとしても、見た目が白人ならば「自分白人です(自分が決める)」なんでは?と思っていたから、見た目と、所属すべきとされる人種グループ(社会的分類)が必ずしも一致しないことにめっちゃ面食らいました。

One-blood ruleの背景にあるのは、まあ、ぶっちゃけ人種差別なんですよね。白人の優位性を保つためのルールです。

そういやハリー・ポッターでも純血一族はpure bloodにこだわっていて、マグルや混血の魔法使いのことを穢れた血 mud-bloodと呼んでいたなぁ・・・。

ヴォルデモート卿は死に、マルフォイだって改心したわけだし、差別がなくなり多様性を受け入れる社会になって欲しいなぁと心から思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?