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1、気は優しくて力持ち

香川県が「うどん県」として売り出しています↓。

香川県の観光協会公式サイトは、名前からしてうどん推しの「うどん県旅ネット」。県を挙げてうどんをPR。さすが讃岐うどんの本場!

香川県出身の松本明子さんもうどん推しです↓。子どもの離乳食もうどん。

同じく香川県出身の要潤さんは、何と副知事に就任し「うどん県」に改名させました(あくまで広告上のフィクションとして…)↓。

全国展開するうどんのチェーン店「丸亀製麺」の効果もあいまって、讃岐・丸亀・香川県・うどんのイメージは、だいぶ世の中に浸透していると思います。コシの座った讃岐うどん。食べ応え十分。安くて美味しい安定感。

私は、うどんというと、水島新司さんの『ドカベン』の主人公、山田太郎をイメージします。気は優しくて力持ち。力うどん。守備の要(要潤さんにもかけて…)。この人がいないと始まらない。

他の麺類のイメージを「明訓四天王」で例えると、パスタは海外向きのド派手なパフォーマンスもできる岩鬼、ラーメンは多彩な変化球で道を究める里中、そばはいぶし銀の職人のイメージで殿馬、ですかね…。ちなみに微笑三太郎は、キャッチャーの代役もこなすということで、うどんに似ているきしめんとかそうめんとか、そのあたりでしょうか↓。

しかし、うどんは、讃岐うどんだけではない。香川県だけではない。

秋田県の稲庭うどんも有名ですし、他にも全国各地でさまざまなうどんが愛されています。この記事では、「うどんのチェーン店3つ」を通して、多彩なうどん屋さんについて考えていきます。

2、牧のうどん ~中から牧!! 外から神!!~

まず、福岡県・佐賀県で展開する「牧のうどん」からご紹介します↓。

ここは「ザ・うどん屋」というお店です。提供が早くて安くて美味い。接客はおふくろさん的な女性がきびきびと大きな声で小気味よい。ネギもかけ放題。まさに庶民の胃袋を支える安定感です。

「牧のうどん」が好きすぎる声優、麻倉ももさんが推して、Twitterのトレンド入りしたことも…(seiyaさんのツイートより)↓。

牧のうどんは、讃岐うどんとは方向性が異なり、柔らかいうどんで、するすると食べられます。もともとうどんは福岡で生まれたという説もあり、福岡県には他にも、美味しいうどんのチェーン店が数多くあります。

牧のうどんを例えるならば、井上雄彦さんの名作バスケ漫画『スラムダンク』の牧でしょうか(笑)。そのブルトーザー並みの突破力は全国レベル。「中から牧!! 外から神(注:スリーポイントが得意な選手)!! どうすりゃいいんだ!? この最強コンビは!!」というセリフが頭に浮かびます(牧についてはこちらのいしかわごうさんのnote記事をどうぞ)↓。

ともかく、「牧のうどん」は、シンプルで破壊力抜群の、美味しいうどん屋さんなのです。

3、ばんどう太郎 ~女将のいるファミレス?~

次に、北関東中心に展開する「ばんどう太郎」をご紹介します。

ばんどう太郎とは、和食ファミレスのチェーン店です。その看板商品は「味噌煮込みうどん」です。

名古屋の味噌煮込みうどんは有名ですが、ばんどう太郎の味噌煮込みうどんもなかなか美味しい。そもそも、ご飯と味噌汁が相性抜群のように、また「味噌ラーメン」が人気のように、炭水化物×味噌というのは鉄板の美味しさです。うどんと合わせても抜群。固形燃料を使ってアツアツに仕立て、具沢山の野菜と玉子と一緒に食べる。残ったスープはご飯を投入しておじやにもできる。…どうです、食べたくなってきませんか(笑)↓。

しかしこの「ばんどう太郎」、先ほど紹介した「牧のうどん」とは好対照の経営方針です。提供はゆっくり、価格もお高め。だけど美味しい。メニューはうどんにこだわらず、和食全般を扱っています。

このばんどう太郎、特に昼食時は、待合席が混雑するほどお客さんが殺到しています。なぜかというと、「親孝行通り」「女将制度」に代表されるように接客を重視し、高齢者・子育て世代・小さい子どもすべてを守備範囲として、まさに「ファミリー層」にジャストフィットしているからです。一升もちやバースデーなどの家族イベントもフォロー。子どもがいくら騒いでも、お互い様で気兼ねなく食べられるので、子連れのお母さん方にも人気。お客さんの回転はゆっくりでも、単価が高いので大丈夫なんですね。

2014年には、テレビ番組の『カンブリア宮殿』でも取り上げられました。「超地域密着」「ライバル店とは競争しない」「人々を幸せにしたい」という、青谷洋治社長の考えは、外食産業に関心のある方ならぜひご覧いただきたいと思います↓。

このばんどう太郎が、「味噌煮込みうどん」を看板商品にしているという事実自体が、うどんの持つポテンシャルをはっきり示しているように思うのです。飲食店専門のブロガー塩﨑俊樹さん(しおさん)は、ブログの中で、「ばんどう太郎」を例に挙げて、名物メニューを作ることの大切さを説かれています。確かに、「ここは何が美味しいんだろう」と聞かれて、すぐに名物メニューが思い浮かぶお店というのは強いですね↓。

ともかく、「ばんどう太郎」は、カラフルで接客力抜群の、美味しい「うどん+和食屋」さんなのです。

4、山田うどん ~パスタも美味しい?~

最後に、埼玉県中心に展開している「山田うどん」をご紹介します↓。

コンセプトは「早い!安い!うまい!腹いっぱい」です。文字通り、山田うどんでは空腹をお手軽価格で満たすことができます。

ここで強調したいのは、「牧のうどん」「ばんどう太郎」との比較です。特に、そのメニューのラインナップです。牧のうどんは、うどんが主体です。ばんどう太郎は、味噌煮込みうどんを看板商品にしつつも、和食全般です。さて、山田うどんはどうか。

実は、うどん屋をうたっておきながら、うどんだけにはこだわりません。「早い!安い!うまい!腹いっぱい」メニューが、これでもかと並びます。2018年7月からは、新店舗や改装店舗から順次、屋号を「山田うどん」から「山田うどん食堂」に変更しているそうです。つまり、うどんだけでなく、食堂として何でも扱いますよ、という柔軟な姿勢があるということです。

私は「パンチ定食(セット)」という、もつ煮込みの定食を食べたことがありますが、濃いめの味はパンチが効いていて、白飯がワシワシと進みます。隊長さんのブログでもおすすめされています↓。

なんとパスタも美味しいとのこと(笑)。提供している店舗は限定のようのですが…。うどんの山田太郎と、パスタの岩鬼がかけあい漫才をしている図が思い浮かびます。こちらの越谷タツヤさんのブログもどうぞ↓。

ガッツリ安く食べられるということで、主要顧客は「男性」です。トラックの運転手や営業マンが入りやすいように、ロードサイドで広い駐車場を持つ店舗が多い。特に「平日昼は男たちのパラダイス」だそうです。単価が安くても、男性は食べるのが速く(特にガテン系の人は速いですよね)、お客さんの回転が速いために、お店をうまく回していけていると思います↓。

ともかく、「山田うどん」は、ボリューミーでコスパ抜群の、美味しい「食堂」なのです。

5、タチバナも脱帽

この記事では、讃岐うどん以外のうどん屋さんチェーン店3つを取り上げてきました。もちろん、これ以外にもたくさん美味しいうどん屋さんもありますが、それぞれの特色を際立たせるために、3つにしました。

◆「牧のうどん」は、シンプルで破壊力抜群の「うどん屋」

◆「ばんどう太郎」は、カラフルで接客力抜群の「うどん+和食屋」

◆「山田うどん」は、ボリューミーでコスパ抜群の「食堂」

どこも美味しい。しかしその特色には個性がある。逆に言うと、競争が激しい外食業界では、個性を前面に出していかないと苦しいのかもしれません。この3つでは、個性のあるコンセプトが見事に客層とマッチして、常連客の胃袋をガッチリつかんでいるように思いました。

最後に、漫画を1つご紹介します。佐藤二朗さん主演でドラマ化もされました、坂戸佐兵衛さん・旅井とりさんの『めしばな刑事タチバナ』です↓。

特に7巻は「うどん百景」と題されて、この記事では取り上げなかったうどんの色々な側面にも触れられているので、うどんに惹かれた方はぜひ。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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