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ネルチンスク条約ラテン語で読んでみた

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ネルチンスク条約は現在同人誌を書いているので更新停止中です……
続きは同人誌で!!!もうすぐ完成!!

ネルチンスク条約ラテン語版を和訳してみた(第5回)

ネルチンスク条約ラテン語版を和訳してみた(第5回)

これもまた、短い一文と長い一文の計2文です。分けて説明します。

分割してみます。
「De his autem」は「これについては」。「his(これ)」とは、先述に上がった、未確定として残ったウダ川と山脈の間にある川・土地のことです。
「post uniuscuiusque Imperii legatorum in proprium regnum reditum」は、「両帝国の各使節がそれぞれの国

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ネルチンスク条約ラテン語版を和訳してみた(第6回)

まず1文目から。

まとめて訳すると、「ヤグサと呼ばれる場所にあるロシアにより気づかれた城塞や要塞は完全に壊されるだろう」
「fortalitia」というラテン語の単語は、辞書を調べても出てきませんでした。ただ、ラテン語版Wikipediaには「城塞」という意味で記載がありました。よって、ここでは「fortalitia」は「城塞」という意味で読むことにします。
https://la.wikiped

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ネルチンスク条約ラテン語版を和訳してみた(第4回)

ネルチンスク条約ラテン語版を和訳してみた(第4回)

今回は本文の第1条の一部を読んでいきます。
短い文が1つと長い文が1つあります。長い文は、分割して説明します。
なお、途中で比較のためにロシア語版や中国語版ネルチンスク条約の和訳を入れています。当方ロシア語は疎いため、DeepLに任せています。

ネルチンスク条約の一番根幹となる部分です。地名がラテン語表記なので、特定するのが困難でした……。間違えていたらご指摘お願いします。

「Rivulus

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ネルチンスク条約ラテン語版を和訳してみた(第3回)

ネルチンスク条約ラテン語版を和訳してみた(第3回)

こちらの記事の第3回目です。
今回は、ネルチンスク条約が結ばれた日付と目的についての文章です。

これで一文です。これでは長くて読みにくいので、適宜分けて説明します。

この条約が結ばれた日を表しています。
「Anno」は「年」を表す「annus」の奪格です。奪格とは、「〜において」などの意味がある格です。

「Cam Hi 28°」は元号を表しています。西暦1689年は、中国の元号において「康煕

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ネルチンスク条約ラテン語版を和訳してみた(第2回)

ネルチンスク条約ラテン語版を和訳してみた(第2回)

こちらの記事の第2回目です。
今回は、ロシア側の使節を列挙している部分を読んでいきます。

参考ページ:

ツァーリ

早速長くて複雑ですが、一つ一つほぐしていきます。

どの言葉も「 Ioannis Alexiewicz, Petri Alexiewicz」の説明です。彼らはロシアの君主ですが、君主として多くの称号を持っているため、長々とした説明になっているのです。

「Dei gratia」は

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ネルチンスク条約ラテン語版を和訳してみた(第1回)

ネルチンスク条約ラテン語版を和訳してみた(第1回)

はじめに最近、ラテン語にハマっているとるてぃでございます。
そんな中で、世界史上で有名な文書のラテン語版を読みたいなあという気分になりました。そして見つけたのが、ネルチンスク条約でした。
そんなネルチンスク条約ラテン語版の条文を紹介していこうと思います。

なお翻訳は、
吉田金一 著『ロシアの東方進出とネルチンスク条約』,近代中国研究センター,1984.2. 国立国会図書館デジタルコレクション
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