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「古典×現代2020 時を超える日本のアート」


新国立美術館で開催されていた展覧会の思い出です。

あれは2020年のこと。

古典芸術と同じモチーフの現代芸術を対比するという趣向で、それ自体興味を惹きますが、対比によって古典が現代に時を超越して生きている、ただ在る、ということが伝わってきます。

どれも印象的でしたが、1番良かったというか恐ろしいくらいの凄みがあったのは、田根剛さんの仏像と灯りの展示。

天台宗の西明寺に伝わる二体の黄金色の仏像が真っ暗な→ほぼ闇、中に置かれている。ロウソクくらいの小さな灯りが仏像を囲むように、ほんの数個天井から吊るされていて、闇の中、それがゆっくり上下する。
会場には、朝の仏教勤行の録音が流れている。入っただけで、かなり異質な空間で空気が違うように感じる。

灯りが下から上にゆっくり動く。仏像の上半身が姿をおぼろげに表すと、灯りのマジックか仏像が天に登るような効果を生む。そして、最終的には灯りは消え完全な闇となる。灯りがないという意味の静寂。お経、勤行の声は絶えず流れている。

あの空間は、お寺の歴史、過去と現代という境を取っ払って、時間を超越した空間だった。あれが美術館でなければ、百鬼夜行の世界になるかもしれない。素晴らしい体験でした。これは、その場にいないと分からない。芸術ですらないな。普遍的なもの、そのものだと思う。

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