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大学教員・研究者になるには

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卒業研究・修論研究を経て研究者になろうと考えている方々向けの記事を集めていきます。大学教員・企業研究者など。
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#大学教員

大学教員になりたい人へ Vol.2 ー日本学術振興会特別研究員に採用されると有利になる?ー

今回は大学教員になりたい人への第2弾になります。第1弾についてはこちらから確認してください。 さて、今回は大学教員になりたい人は日本学術振興会特別研究員になることを目指すべきかどうかという話です。ご存じの方には日本学術振興会特別研究員という長い名称よりも学振という略称の方が馴染みが深いと思います。 よく院生に聞かれるのは「学振になった方が就職に有利なのでしょうか?」という問いです。過去に私も学振だったことがあるので色々と聞かれることも多いのでしょう。今回はこの問いに対する私

大学教員になりたい人へ Vol.1

みなさん、こんにちは。小辻寿規です。 大学で授業を担当するようになって約10年が経過しました。気づけば若手教員とはいえないような年齢になってきました。 この間、後輩や色々な場所で知り合った方から大学教員になりたいのですがどうすれば良いのか?とよく聞かれます。 正直言って個人的には関西弁でいう「知らんがな」の領域です。それぞれ分野も違うし「こうすればなれますよ。」なんて言ってもなれないこともある。責任なんて私は持てません。 とはいえ、どうしたらなれるのかという話はあまり有名なも

【経験談】 大学教員になるためのロードマップ

大学教員と聞いても,どうやればなれるのかと思う人が多いと思います.そこで,大学教員である私が実体験を交えつつ,どうすれば大学教員になれるのか,どうすれば大学教員になれる確率を上げることができるのか,を個人的な視点からご紹介したいと思います. 自分の専門分野が情報科学なので,情報科学分野での話になります. 博士の学位(Ph. D)が必要大前提として,博士の学位が必要となります(必要でないケースも稀にありますが,ほぼ必須だと考えた方が良いです).そのため大学には,学士(4年)

大学教員公募戦士タイプ診断

こんにちは。 僕も含め、多くの方が大学教員関係の就職情報を発信しておりますが、 ・理系文系 ・目標とする大学 ・本人のキャリア などによって就職での戦い方が違ってくるため、どの情報を参考にしたらいいか迷う人も多いと思います。 そこで今回は、僕の分野である「数物系科学(主に数学系、情報系、物理系)」における大学教員公募戦士たちのタイプとその戦い方を独断と偏見で分類してみようと思います。 天才&努力タイプ

大学教員公募へのチャレンジの記録⑤

あけましておめでとうございます。 前回の記事から半年近く経ってしまいました。 大学内定後に、現職の仕事や退職にかかるいざこざ、 退職に向けた準備や赴任前の諸々の準備、 非常勤講師の仕事などなどに日々忙殺されていました。 前回の記事は以下から 公募戦線に残っている大学;  ④ジャンル一致のC大学(助教)  ⑤ジャンル一致のD大学(助教・助手)  ⑥ジャンル一致のE大学(助教) それでは時系列で、まずは⑤D大学の面接から。 締切は8月でしたが、7月下旬に面接を実施。

(2)査読論文が複数必要で、査読付ではない論文もそれ以上に必要な理由。

なぜ、査読付きの論文が重視されるのかと言いますと、そういった論文を書いたという事実は、研究能力があることの客観的な証明になるからです。 査読論文というのは、レフリー制度の整った学会誌に掲載された論文のことを指します。査読(掲載に値するかどうかの審査のことです)プロセスを経て掲載に至るというのは、なかなか難しいことです。 査読を経て掲載されるためには、論理構成がしっかりしていて、自分の「主張」が根拠に基づいて記述されていることが必要です。 「根拠に基づく」というのは「先に同じ

大学教員になれない人々

こんにちは。 これまで「大学教員になるには」というコンセプトで公募を勝ち抜く戦略を記事にしてきました。 その中でダメな事例も紹介してきましたが、今回改めて「大学教員になれない人々」の特徴をまとめてみようと思います。 大学教員になれない人々1:論文数が少なすぎる

大学教員公募の振り返り①

需要はないかもですが、私も以前諸先輩方が書かれた文章を参考にさせていただいていたので、誰かの参考になれば・・・と忘れないうちに書いておこうと思います。 私は教員ではないお仕事からの転職でした。 博士の学位を取って、実際に公募を出し始めたのが、転職活動1年目の10月頃・・・その当時、大学公募戦線は、夏がピークで10月も過ぎたあたりからは募集がフェードアウトしていくことすら知らなかった・・・ 1年目は2件出してみました。1件目は書類選考で落ちました。 しかし、ここで業績の書き方と

【大学教員公募】若手のチャンス時期

9月に入り、学生は夏休み真っ盛り、教員は研究・雑務真っ盛り、そして公募戦士は大方中休みの時期です。公募戦線の前半戦がほぼ終了したといってよいでしょう。 多くの若手研究者が一次選考のお祈りレターorメールをもらい、沈んでいることと思います。以前の記事でも書いたことがありますが、前半戦のほとんどが計画人事であり、経験豊富で(割と若めな)現職の教員がポストを奪っていきます。このため、若手や常勤経験のない公募戦士の多くが前半戦で散っていくのです。私が自分の公募戦線を振り返り、誰が着任

【若手の方へ】研究者の道と恋愛

研究者の道を目指す・博士課程に進む人向けの記事を見ると、大方、「研究以外のものを捨てる覚悟を持て」的な脅し文句を見つける。 ・同級生が人並みの給料をもらって出世していく中、むしろお金を払う側の学生を続けていかなければならない ・結婚はあきらめた方が良い ・ポストは保証されていない ・孤独 等々。 間違いではない。が、個人的には、捨てて捨てて研究者を目指すよりも、欲しいもの全て手に入れて研究者になっていく人の方が心惹かれる。金の問題も改めて書こうと思うが、本記事では博士課程

大学教員になってよかったこと。

 雪の降る季節になりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。私は雪を見て犬のように駆け回っています。  さて、今年一年私の拙い書き物にお付き合いいただきありがとうございました。はじめは大学教員になりたい人のために書き始めたnoteですが、いつまにか教員の日常生活を書き綴る記事ばかりなってしまいました。ただ、今まで自分のことを一切発信せずに生きてきた人間にとってみれば、何気ない日常をさらすだけでも結構勇気のいることです。さらには、何事も継続しない私にとってはこれだけ続いた

大学教員公募で工夫したこと:「公募餌に群がる魚群の1匹」から釣り手を唸らせる「金の魚」になるには

魚釣りをするとき、我々は餌を撒くか、餌付きの針を水面下に垂らします。仮に魚が多くいるところであれば、時には魚群が押し寄せてきます。ふつうは、そのうちの一匹が連れればいいやという感覚で釣りをします。ここで、餌に食らいつく魚群が目に見えるとしましょう。そして、魚群の中に、ひときわ大きく艶も申し分ない魅力的な個体がいたとします。釣り人は、是が非でもその魚を釣りたい!と強く願うでしょう。この瞬間、釣り人と魚の立場は逆転します。釣り人は、その魚の魅力に釣られているのです。 回りくどい

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大学教員という職の魅力

大学の先生方が、仕事量、学生の質、研究に関する愚痴を語っている記事をよく見かける。納得する部分も、しかねる部分もある。 私は、この職について、もちろん不満なところもないわけではないが概ね満足している。 本記事では、私が感じている大学教員という職の魅力について綴る。 第一に、自分のしたいこと、思い描いていることを、実際に形にできる点だ。研究・教育に関わる中で、既存の価値観や授業の仕方等に対して疑問や物足らなさを感じることが多々ある。それらは、深く突き詰めていくことで新しい研究

大学教員には簡単になれない。

 連日猛暑が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。私は洗濯物がすぐ乾くので家の中でウキウキしています。  さて、最近大学教員になるための方法について記載された記事を見ました。そこには博士号を取ってから大学教員になるのは難しいが、実務経験やコネ等を活用すればなれるといったようなことが書いてあったかと思います。(飛ばし読みなので、記憶が曖昧です。)恐らく、このような記事を何度か見かけましたが誤解を生むかもしれないので、改めて私の意見を述べておきます。  まず大学教員になる