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マインドフルネスのエビデンス:健常者のメタアナリシス

今回はエビデンス(evidence)という観点からマインドフルネスについてまとめてみる.

evidenceは,明証あるいは証拠といった日本語訳が該当し,哲学領域では,直感的に明らかで確実なこと,それは主観的な確かさだけでなく,論理的または客観的に確実なことを意味すると定義されている.


本邦において,医学領域でEBM(Evidence-based Medicine)という概念が導入されはじめたときは「根拠に基づいた医療」などと訳していたと思うが,現在は,evidenceはエビデンスという片仮名表記での使われ方が主流になっていると思う.

EBMとは,ある治療法がある疾患・症状に効果があることを示す科学的証拠・検証結果を医療行為における治療法選択の根拠とすることであり,医科学領域ではエビデンスとは科学的根拠の意味で使用されている.

EBM(Evidence-based Medicine)
・Guyatt(1991)が提唱した概念
・「治療法選択の根拠は,正当性が厳格にコントロールされた実験結果で示すべき」 


少し前置きが長くなったが,
では,
マインドフルネスのエビデンス(科学的根拠)は如何に??

ちなみに,Pubmedを使って,mindfulnessでキーワード検索すると約20000件ヒット!! ここ数年で研究が急増していることがわかる.(是非,皆さんも検索してみて)


その中から,
Khouryら(2015)による健常者を対象としたマインドフルネスのメタアナリシスの報告について超ざっくり要約を以下に示す.

目的健常者を対象としたマインドフルネスのメタアナリシス.
方法:29編のMBSR*研究論文,2668名を対象として分析.
結果:健常者のストレス抑うつ・不安苦痛を軽減し,QOLを改善する.
Hedge's g = .53 (between group analyses); Hedge's g = .55 (pre–post analyses) (☜この効果量の値からいくと効果量中ですね.結構,いいじゃんと独り言)

*MBSR(Mindfulness-Based Stress Reduction.マインドフルネス・ストレス低減法)
・開発者はジョン・カバット・ジン博士(分子生物学)
・身体のストレスである癌,慢性疼痛などを対象として開発
・1979年~マサチューセッツ大学にストレスクリニックとしてマインドフルネスセンター創設
・所長としてMBSR指導開始(= 医学領域への導入)
・MBSRの臨床実験などに関する論文・著書多数
・現代のマインドフルネス・ブームの火付け役と言われている

現代の医科学領域におけるエビデンスには階層性があり,Khouryら(2015)の研究報告のようなメタアナリシスによって実証されたものが最もエビデンスが強いと考えられている.

つまり,予想以上にマインドフルネスのエビデンスは科学的にも高かったというのが本音である.

瞑想=脳の筋トレとも言われているが,そのことを裏付けるような先行研究のレビューとなった.

【文献】
・Khoury B, et al(2015) Mindfulness-based stress reduction for healthy individuals: A meta-analysis. J Psychosom Res 78(6):519-28. DOI: 10.1016/j.jpsychores.2015.03.009.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25818837/


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