マインドフルネスとセルフ・コンパッション

免疫と関係がある疾患の1つとして，アトピー性皮膚炎があるが，
現在，マインドフルネスとセルフ・コンパッションのリモート治療に対する臨床試験が実施されているようである．

そこで，今回はセルフ・コンパッションについてメモ．

◆自己を肯定する感覚
心理学領域では，「自己を肯定する感覚」として様々な概念が示されている．例えば，セルフ・エフィカシー（self-efficacy）や自尊感情（self-esteem）など．その1つに，セルフ・コンパッション（Self-Compassion）がある．

◆セルフ・コンパッションとは
セルフ・コンパッションは，2000年代初頭に生まれた比較的新しい概念であるが，欧米でのマインドフルネス・ブームに伴い，一気に研究が進んだようである．

心理学者のNeff（2003）は，以下のように定義している．

セルフ・コンパッション（self-compassion）とは，苦悩や失敗場面あるいは自分が不十分であると感じる状況において自己に向けられるケアや思いやり．

◆セルフ・コンパッションの構成要素
セルフ・コンパッションは以下の３つの要素から構成されるとされる．

セルフ・コンパッションの構成要素
・自分への優しさ（Self-kindness）：自分の強み・長所を認め自分を慈しむこと．
・共通の人間性（Common humanity）：失敗や困難を経験するのは誰にでもあることという逆境への肯定的な認識の仕方．
・マインドフルネス（Mindfulness）：今この瞬間への気づきを高め，「慈悲と慈愛の心」を育む．（☜おっと，ここでマインドフルネス登場）

◆セルフ・コンパッションを高める
要約すると，セルフ・コンパッションとは，自分に対する「思いやり」「優しさ」「慈悲」「慈愛」であり，「あるがままの自分」を肯定的に受け入れる感覚（心理状態）とまとめられる．

そして，マインドフルネスはセルフ・コンパッションを構成する一要素である関係性が示されている．

セルフ・コンパッションと精神的健康の関連は研究されており，セルフ・コンパッションが高いと不安・抑うつは低く，幸福感が高いことが明らかにされている（早速，今日から高めましょ）．

では，どうやって?

セルフ・コンパッションを高める方法として，
マインドフルネス瞑想の1つである慈悲の瞑想が推奨されている．

気持ちを落ち着かせ，身体をゆったりさせて，
慈悲の瞑想のフレーズを心の中で唱えてみてはいかがでしょうか．

「私が幸せでありますように」
「私の悩みや苦しみがなくなりますように」
「私の親しい人々が幸せでありますように」
「私の親しい人々の悩みや苦しみが無くなりますように」

（今回は牧師さんのようなまとめ方になってしまったw）

【文献】
・Neff KD（2003）Self-Compassion： An alternative conceptualization of a healthy attitude toward oneself．Self and Identity 2:85-102．<https://self-compassion.org/wp-content/uploads/publications/SCtheoryarticle.pdf>

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