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今日は、気の抜けたはなし(11-5)

昨日はうちが主催するギター教室の
発表会だった。
1部は、年長から中学生まで。
2部は、大人の部。
ほんとうにすばらしかった。
後半でビートルズの選曲が目立ち
やっぱり好きだよねーと話になったり。

そんな、ほっと気が抜けた今日は
毎日投稿チャレンジ5日目。
気が抜けなかったはなしと
気のぬけたコーラのはなしをしよう。

わたしもそれなりに様々なバイトをした。

ハンバーガー屋
ファミレス
個人店のちいさなイタリアンレストラン
喫茶店
マネキン
(なぜそう呼ぶのか、スーパーの試食販売や
 バレンタインの催事売り場とかに
 派遣されるバイト)
テープ起こしみたいなバイト
コピーライターのアシスタントバイト
図書館
映画監督の事務所
出版社……
すごい短期間のもあるけど。

図書館は、国立のこども図書館のほか
病院内の図書室もほーんのすこし
そしてたぶん一番長く勤めた
区立図書館は契約社員で、
責任者をつとめた時期もあった。

そしてやっぱり?このときがいちばん
人(利用者)に怒られる経験をした。

わたしがいたときのそこは、
図書館スタッフの派遣会社からの
メンバーの他に
区職員も数人いるかたちで
とてもたよりになる館長もいたので
最終的に助けてもらえることが多かった。

でも、館長が不在のこともあるし
当然なるべく職員さんの手を煩わせないよう
わたしが場をおさめなければという
日々プレッシャーの感じる立場だった。

まあ、だから責任者なのか。

また、わたしには恵まれた同僚たちがいて
なかでも、Yくんはどうしてか
クレーム対応がじょうずだった。

ぺこぺこしすぎるわけじゃないのに
Yくんが対応すると
「もういいや」みたいなことになって
怒っていた人も帰っていくことがあった。

でも、あの日は
館長も
Yくんもお休みの日だった。

図書館で働いて学んだのは
クレーマーと呼ばれる人はやっぱりいた。
こんなふうにいいたくないけど
要注意人物とかも、あの時期のわたしには
残念ながらいた。

それで、その日のおじさんは
機嫌が悪かった。
機嫌が悪かったところに
返却本を受け取ったスタッフの対応が
気にいらなかったと激怒りになった。

もう館内では対応しきれず
事務室に入っていただくも
どうにもこうにもおさまらない。

しまいには、自分の家まで
立場あるものが謝罪に来なければならない
という要求に出た。

ああいうとき、
どうするのが正解なのか
けっきょくよくわからないけど
本社に電話し
Yくんにも電話し
区の職員さんたちとも相談し
けっきょく、
区職員の男性ひとりと
場の責任者のわたしと
カウンターで対応したパートのoさん
この3人で謝罪に行くことになった。

自宅アパートで待っていたおじさんは
やや冷静さをとりもどし
「ただ誠実な対応をみせてほしかったのだ」
というようなかんじで
どういうわけか、
わたしたちを部屋に招いた。

あとからおもうと、
部屋にあがるのはまずかったんじゃないか、
とひやひやする。
(そのあともなんども検証するような
ミーティングをし、反省と学びとした)

とにもかくにも、おじさんは
1ルームの部屋にひとりぐらしのようすで
大人4人ではゆったりとはいかない
スペースで、我々は小さな円卓をかこんだ。

さらにおじさんは、ちいさな冷蔵庫から
ペットボトルのコーラをとりだし
グラスに注いで出してきた。

わたしは責任者だから
飲まなきゃいけないと思った。

oさんを守りたい一心だった。

コーラの気は抜けていて甘いだけだったが
わたしは、おじさんのことを
責める気持ちにはなかった。

そして、おじさんの話しを、
なるべくていねいにうけこたえし
あいづちをうっているうちに
おじさんはおもむろに
ギターをとりだしつま弾いた。

何の曲か覚えてないが
(おそらくわたしは忘れたのだろう)
確かにそれはビートルズだった。

「あ、○○ですね」と反応したわたしに
さらにコーラをすすめてきたおじさんは、
うれしそうだった。
困窮から悲しみを感じ始めていたわたしは
歌おうと思った、気がする。

そして歌った。

とはいえ、このままではいけないと
もちろんずっと考えていた私は
最終的にはトイレに行きたいと言い
(まあ、すんなりなかなか
帰してもらえなかった)
どうにかこうにか解放された。

ギター好きな人にわるいひとはいない。。。
そうは言い切れないかもしれないが
ビートルズをいっしょに歌えば
きっとその場は切り抜けられる。

そのことと、気の抜けたコーラは
どうしたって美味しくないということ。
このふたつは揺るぎない。

そして、責任とか立場とか
ほんとうによくわからないままだけど、
でも、あのときの
わたしの責任の取り方はひとつ
共に歌うことであった。

それはわたしの真実だ。








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