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短 歌 随 想 ㈦『 寺 山 修 司 』


  マ ッ チ 擦 る
     つ か の ま 海 に 霧 ふ か し
        身 捨 つ る ほ ど の 祖 国 は あ り や   寺山 修司

 
 昭和29年の短歌研究新人賞『チェホフ祭』の一首。
 ここでの「祖国」は、国家、国民を挙げて戦争に盲進した挙句の無条件降伏から9年後の日本。
 日本人だけで戦没者は310万人を数え、うち240万人が海外での死没。私たちの生命や暮しを守ってくれるはずの国家が、逆に私たちに忍従を強い、生活を破壊し、人殺しを命令し、命の提供を強制するのが戦争だ。
 今まさに世界各地で混乱と対立と戦争が頻発し、先の大戦前夜を見るようだ。
 平和の時代は去り、戦争は私たちの直ぐ隣まで近づいている。10年後20年後に、同じ歌を読むことにならなければいいが。


一本のしだれ桜。こんな美しい光景がいつまでも見られますように。


   
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