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021. イノベーションとは、アンバンドリングである

イノベーションは「再結合」と略されますが、顧客の体験価値を圧倒的に高めるために「アンバンドリング(機能の分解)」もイノベーションの1つです。

例えば、リアル店舗でのショッピングは、「体験+購入+受領」という体験価値にアンバンドリング(機能の分解)されます。

それは単に「分解される」ということに留まりません。一見価値を減らしかねない分解が、UXを最大化しているのです。

「購入」のUXはデジタルによってすでに最大化されています。「安価」で「いつでも」でき「すぐに届く」。Amazonはここの一点突破で拡大したといっても過言ではありません。

「体験」はどうでしょう?リアル店舗の「体験」は「購入」があることでUXが引き下がっている、といえます。ウィンドーショッピングしたいのに、店員が寄ってきて「何かお探しですか?」と声を掛けられ、不快感を感じた経験は誰しもあるはずでし。

これにいち早く気付いた人たちは、ビジョンと戦略を書き換え「(モノを)売らない店舗」というコンセプトを掲げ、抜本的なUXの改革に取り組んでいます。

同様に、FinTechもまさにアンバンドリングによって、これまで提供できていなかった顧客層や顧客ニーズへ、スモールスタートで価値を提供することが主眼です。

逆にいえば、アンバンドリングのトレンドに逆らって、抵抗するような近視眼的な施策をすべきではありません。それは店頭に「ウィンドーショッピングはやめてください。お店で購入いただけないと潰れます」と張り紙をはることと等しい行為です。

このトレンドを理解した上で、自分たちの事業を「店舗」という機能で定義するのではなく、顧客への提供価値という「UX」で定義し直すべきです。それに基づいて自らの事業も組織も含めてデジタルトランスフォーメーションしなければならないのです。

アフターコロナを見据え、さらに顧客の求める価値やUXは大きく変化していくでしょう。それに抗うことは短期的には有効な施策になるでしょうが、長期的には約束された沈没となり、ディスラプトする運命を避けられなくなります。

今意識すべきなのは、自らを再定義しデジタルトランスフォーメーションすることと、変化に対応できる柔軟な組織と人材をいかに創るかということです。


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