見出し画像

【新規事業の要諦 №002】 #パーパス #オープンイノベーション #ビジネストランスフォーメーション #DX #リノベーション

スターバックスの「ブランドの在り方と寄り添い方」 #パーパス

スターバックスのマーケティングで最も大切にしていることは、「変えるべきものと変えずにブラさないものを見極め、育てていくこと」
「変えるべきもの」とは、サービスや体験の届け方。コロナ禍によって変化した生活様式に合わせて、顧客により良い体験をしてもらうために変える必要がある
サードプレイスが、「昔は単純に『場所』という意味だったが、今は『体験場所・空間』という意味合いが強くなっている。店舗だけでなくデジタル上にも接点ができ、かつシームレスになってきているため、そこに溶け込んでいく必要がある」
「変えずにブラさないもの」としているのが、人や地域とのつながりやそれによって生まれたコミュニティーだ。スターバックスは「人々の心を豊かで活力あるものにするために――」を企業ミッションとして掲げており、「ピープルビジネス」と表現するほど人とのつながりを大切にしている
パートナーが語りかける温かさの魅力を多くのお客様が感じており、これはスターバックスのユニークなところ。居心地が良い空間で心温まる時間を過ごせた経験が最も大事。企画部門が作る商品やサービスはあくまでも彩りで、そこを演出するという役割もある
森井氏がマーケティングのトップとして重要視しているのは「考えを明文化して確認し合うよう意識する」ことだ
森井氏がこれまでマーケターとしてのキャリアで最も意識してきたのが、「ブランドの存在意義を考える」こと
何のためにブランドがあるのか。理由付けをするだけでなく、信用を獲得するためにも、行動で示す必要がある

自分たちは何屋さんなのか。製品の仕様である機能的価値ではなく、顧客に本質的に提供している体験的価値や自己実現価値で、自分たちを語る。それこそがミッションやパーパスであり、全ての判断軸とした行動の積み重ねにブランドが成る。

外部企業との共創は、双方が本気で取り組まなければならない #丸井 #オープンイノベーション

店舗とフィンテックを通じて、『オンラインとオフラインを融合するプラットフォーマー』を目指す
ネットネーティブの企業は、店舗を販売の場としてではなく、新規顧客との接点、あるいは既存顧客を含めてエンゲージメント(関与)を高める場として捉えている。その結果生まれたのが、従来の小売りの“常識”を覆す「売らない店」
商品やブランドに対する理解を促進し、その後のオンラインでの購入、さらにはLTV(顧客生涯価値)の向上につなげる。実際、FABRIC TOKYOでは、実店舗とオンラインを併用する顧客の購入単価は、オンラインだけ利用する顧客と比べて2倍以上に達する。また、年間の平均リピート率は44.5%。一般的なファッションブランドは30%程度というから高い水準だ。
今は全力で走って、ようやく現状をキープできるという変化の激しい時代。イノベーションを連打しないと、すぐに取り残されてしまう。そのため、社外にいい共創パートナーがいれば積極的に協業してきた。また、社内で新規事業を手掛ける場合も、外部のアクセラレーターや大学生などの若い世代を巻き込んでオープンイノベーションを行ってきた。okosでは、こうした社内外と進めるイノベーションを加速させる
社内の新規事業開発では、丸井発のD2Cなどをビジネスユニットとしてやっていく。D2Cという用語にこだわりはないが、要するにECやSNSを駆使して顧客と直接つながり、共感で結ばれたコミュニティーを基にオフラインの店舗も活用しながら関係性を深めていくモデルだ。顧客の意見をもらいながらサービスを改善し、顧客と一体となってブランドの世界観を共創していく
共創パートナーのニーズに応じて、営業や生産などの知見を持つ丸井グループの人材を出向させてもらい、協業を深めている。さらに、グループの事業会社の社長や執行役員をリーダーとする「共創チーム」を編成しているのが大きな特徴だ。協業の窓口として日常的に事業をフォローする組織で、今では共創パートナー23社に対して172人態勢で取り組んでいる。
共創チームは意思決定のスピードが明らかに違う。共創先のスタートアップなどからは「ここまで丸井はやるのか」と驚かれたが、オープンイノベーションは片手間ではできない。双方が本腰を入れて取り組む必要がある。

単なるマッチングイベントや受け身のアクセラレータープログラムで、共創的イノベーションがうまれるわけがない。ビジョンやパーパスの共通点がある企業同士が、同じ目的を設定し、その上で両者のアセットを使って本気で取り組んでこそうまれるものだ。

顧客行動起点の業態トランスフォーメーションで自らををディスラプトとする #ビジネストランスフォーメーション #丸井

必要なのは、販売を主体とした場ではない。新しい顧客との出会いの場として、商品に触って体験してもらう。あるいは、もともとファンの人なら、店舗で体験することでよりブランドを好きになり、多くの関連商品を使ってもらうきっかけになる店
これまでは「売らない店」といっていたが、それに加えて今は「イベントフルな店」を目指している
商品の段階的発展を考えると、「コモディティー」「グッズ」「サービス」「エクスペリエンス」という順序がある。従来の百貨店はグッズとサービスを提供しており、専門店がコモディティーを扱う。つまり、サービスとエクスペリエンスの提供に特化するところはまだない。我々が10年ほど前から考えてきた「百貨店業態のトランスフォーメーション」の狙いは、ここに集中することにある
出合いとエンゲージメントに特化した店づくりを進める中では、大中小のさまざまな規模のプレーヤーが出店するショーケースが理想
顧客の来店動機をさらに高めるのがイベントフルな店だ。アニメ・ゲーム、食、コスメ、ソーシャル関連など、熱烈な支持層がいる分野のイベントをいくつも仕掛け、もっと出合いや関係が深まる場にする。一人ひとり異なる「好き」を応援する店づくりだ。365日いつ行ってもいろんなイベントが開催されており、モノを買いに行くだけが来店動機ではなくなる世界をつくる
ネットの世界はGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)が台頭し、富と情報の独占という残念な結果で“第1幕”が終わった。しかし、実はすでに第2幕が始まっている。強大なGAFAに対する“反乱軍”は、勢いのあるD2Cブランドであり、個人や小さなチームが手掛けるスモールビジネスだ

「みんなにとって良いものは、みんなにとってどうでも良い」時代だ。モノが溢れ、生活必需品がコモディティ化した時代に、共同幻想は成り立たない。個々人のユニバース(価値観)にフィットする、ダイバシティあるスモールビジネスが求められる時代だ。

小売のデジタルトランスフォーメーション #DX

2020年8月にIDにひも付く購買データを活用したツルハADプラットフォームを開始。デジタル広告という新しい事業を開発し、“外貨”を稼ぎ始めている。開始間もないツルハの広告事業だが、順調に広告主を獲得できている。食品、日用雑貨、美容品などさまざまなメーカーの配信実績をつくってきた。ツルハの決算月である21年5月末までに広告事業の目標売り上げを達成。億単位の売り上げとなっているという。
日用品メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソンは洗口剤「リステリン」のマーケティングに活用している。ツルハADプラットフォームで競合商品の購買履歴を持つ層や自社製品の離反層を配信対象として抽出。プラットフォームと連係するYouTubeやFacebookなどに広告を配信した。その結果、ツルハグループにおけるリステリンの売り上げは配信前と比較して1.3倍になった。
ツルハのデジタル広告事業の源泉は、会員制のポイントカードにひも付く購買データにある。ツルハは中堅のドラッグストアを買収することで、事業規模を拡大してきた。ドラッグストア「ツルハドラッグ」を展開する中核企業のツルハ、くすりの福太郎、レデイ薬局、杏林堂薬局など7つの事業会社を傘下に持つ。各社はそれぞれポイントカードを発行しているが、データ基盤をホールディングス全体で統合している。
「ドラッグストアのコンビニ化」とも称されるように取り扱う商材も食品などへと拡大してきたことで、購買データ基盤の充実が進んだ。
ツルハはアドインテの協力を得ながら、アプリの利用ログ、ID-POS、会員情報を蓄積するDMPを構築した。このDMPでツルハにとっての広告主、すなわちメーカーの商品の購入が期待できる層をセグメントとして抽出。ツルハのアプリへのプッシュ通知や、DMPと接続する外部広告枠への広告配信を実現した。
ツルハのアプリの広告接触データと、ツルハグループの店舗での該当商品の購買データをIDでひも付けることで、オンラインとオフラインをまたいだ広告効果測定ができる。
「ツルハが展開する店舗のうち1200店舗に各5~6カ所のデジタルサイネージを導入する計画を進めている」と小橋氏は明かす。とはいえ、アプリへのプッシュ通知とは異なり、不特定多数が行き来する店舗のデジタルサイネージに特定の層向けの広告を出し分けることは難しい。そこで、カメラやセンサー、ビーコンなどを駆使する。例えば、手に取った商品をカメラやセンサーで判別して、店員に代わりデジタルサイネージを通じて商品説明動画を流すことで“接客”する

アフターデジタルに顧客行動は完全に変わった。デジタルが常にそこに存在する。いまやアナログだけにとどまる企業は、サービサー、プラットフォーマーの下請けに成り下がる。リアルに強みを持つと自負するなら、なおのことDXは必然の流れだ。

ハンコの体験価値 #リノベーション

ペーパーレス化やデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、2019年からの1年間でハンコの出荷数が1割減った
企業ごとにカスタマイズするなど、シヤチハタにしかできないことを進化させたい
シヤチハタの商品コンセプトの1つが「ロングユース」だ。シヤチハタ印はすべて20~30年使うことができるという。デジタル事業もユーザーと垣根なくものが言える関係性を構築しつつサービスを向上させ、いかに長い付き合いができるか。「シヤチハタのサービスこそ必要」という存在を目指す
コロナ禍以降は、ハンコ以外に「子育て・キッズ」「アート&クラフト」のジャンルで大いに「差別化」したヒット商品が誕生した。
1925年の創業当時から、スタンプ台や印鑑など95%がBtoB向け商品だったというシヤチハタが、BtoC分野に目を向けたきっかけは、リーマン・ショックだ。企業の事務用品を購買する仕組みが大きく変わり、ペンや電卓なども個人で好きなものを買うという流れが生まれた。BtoCという新たなユーザー開拓が、シヤチハタの可能性を一層広げている。
ハンコメーカーの老舗だが、商品開発にタブーはない。95年培ってきた「ロングユース」をかなえる技術力の上に、柔軟な発想でどこまでユーザーに近づけるか。1日24時間の中でどこまで生活に入り込み、「印」の価値を高められるか。

ハンコ企業がハンコを捨てずにハンコを捨てる。顧客に提供する価値にフォーカスし、リフレーミングすることで、顧客が想定するよりも高い体験価値を創出し、顧客が必要とするハンコを作り続ける。あるべきリノベーション(持続的イノベーション)の姿だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?