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アート思考:常識を疑い、未来を創り出す問いの力

✔︎ 単純な二項対立では本質を捉えきれない
✔︎ 未来志向の問いが、革新を生み出す原動力となる
✔︎ アート的発想で未来を定義し、問いのない場所に答えを見出そう

#イノベーション #未来志向 #ビジョン #アート思考


単純な二項対立には限界がある

物事は単純化すれば考えやすい。特にすでに既存事業が確立している成熟事業をもつ大手企業においては、単純化して物事を語りがちだ。そこでは、「白か黒か」「成功か失敗か」という単純な二項対立で物事を考えがちだ。しかし、この単純なフレームでは、本質的な問題を捉えきれないことが多い。

イノベーション創出の場面では、既存の枠組みにとらわれない柔軟な発想が必要であり、二項対立的な問いの立て方は、その自由な発想を阻害してしまう。例えば、「このプロダクトは成功するのか失敗するのか」という問いは、答えがすでに決まっているかのように見えてしまう。しかし答えが見えていることなどあり得ない。

実際の新規事業では、その問いに対する答えが出るまでには多くの試行錯誤が必要であり、成功か失敗かという極端な答えではなく、「どのように進めるべきか」「何がユーザーに価値を提供できるのか」という複雑な問いに向き合わなければならない。新しい価値を創造するためには、単純な二項対立ではなく、問いそのものを多層的に考え抜くことが求められる。

凡庸な問いからは凡庸な答えしか生まれない

社会を変革するほどのイノベーションを生み出すには、問いの質が極めて重要だ。凡庸な問いは、凡庸な答えを導き、結果的に凡庸な成果にしか結びつかない。問いの質を高めることが、イノベーションを起こす第一歩だ。

「今の市場で何が求められているか」という問いは、マーケティングの基本だが、それに囚われるだけでは大きな突破口は開けない。逆に、「顧客がまだ気づいていない未来のニーズは何か?」といったより挑戦的な問いを立てることで、今は見えていない新しい市場や価値が浮かび上がってくる。そうした未来志向の問いこそが、真にイノベーティブな事業を生み出すためのカギになるのだ。

例えば、スマートフォンが登場する前、多くの人はより良い携帯電話を求めていたが、誰も「常にインターネットに接続されたコンピュータがポケットに入る未来」を想像していなかった。これは、既存の問いを超えた「アート的発想」で生まれた未来像と言えるだろう。

問いのないところに問いを立て、答えのないところに答えを出す

「常識」という言葉がよく使われるが、その常識が必ずしも未来に適用されるとは限らない。過去の成功事例が未来の成功を保証するわけではなく、むしろ過去に囚われることで、変化のスピードに取り残されてしまうことが多い。

大切なのは、常識を疑い、あらゆる情報を自分自身で再解釈し、独自の視点で考え抜くことだ。組織や社会の枠組み、そして自身の固定観念さえも打ち破ることで、新しいビジョンが見えてくる。その過程は非常に困難だが、そこにこそ本当の価値がある。

常識に囚われないからこそ、問いのないところに問いを立て、答えのないところに答えを出すことが可能となる。まだ存在していない未来のビジョンを描くためにこそ、常識を打ち破らねばならない。

アート的発想で未来を定義する

イノベーションは、過去の実績や延長線上のロジックではなく、アート的な発想で未来を定義することだ。直感や創造力、そして未知の領域に対する好奇心が、真に新しい価値を生み出す力となる。

未来を新たに定義するためには、さらに、自らの力で新たな解釈を生み出す姿勢が必要だ。それこそが「アート思考」である。解決策がまだ見えていない段階で問いを立て、その問いに対する解答を探しながら未来を作っていくプロセスを重視する。

これはビジネスにおける「仮説検証」の概念にも似ているが、違うのはその根底に「明確なゴール」がないという点だ。すべての可能性を開いた状態で未来を創造していくことが求められる。

常識を疑い、未来を創り出す問いの力

新規事業における本質的な問いは、過去の延長線上ではなく、未知の未来に向けた挑戦から生まれる。単純な二項対立を超え、常識を疑い、アート的発想を駆使して、未来を自ら定義していくことが重要だ。ビジネスの成功は、問いの質にかかっていると言っても過言ではない。


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