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リモートワークが引き上げた"人生の質”

年末からの世界的なコロナウィルスの蔓延。
東京オリンピックの延期。
自粛要請。
緊急事態宣言の発令。

コロナショックは世界を不可逆的に変化させた。

この変化のうねりに、ネガティブに捉え、リスクに対処することはもちろん必要。けれど、そればかりに囚われていては、うねりに飲み込まれる危険性もある。

世界は変わった。社会は変わった。人類は新しいステージに立った

その状況を見極め、ポジティブに捉え、新しい生き方、新しい働き方を模索することも必要となる。

本稿は、アフターコロナ、ウィズコロナによって、外出の自粛とリモートワークの普及によって、「Quality of Life(クオリティー・オブ・ライフ)」がどう引き上がったを考察する。

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家族と向き合う時間が増えた

出勤がなくなり、移動時間が可処分時間へと変わった。それによって最も捻出されるのが家族と向き合う時間になるだろう。

朝起きて、家を出るまでにバタバタと支度をして家を出ていたのに対して、始業までの間に1時間〜2時間程度の時間が捻出された。

夜に残業や会食、飲み会をしてからの帰宅だったのに対して、終業後そのまま家族との時間に移行することが出来るようになった。

家族と共に過ごす時間が増え、食事を共にする機会が増えた。心に余裕が出来、当たり前のようになってしまっていた家族との時間の価値を再認識することができた。

そして、家族の絆を強くすることが出来た。

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仕事の無駄が省かれ、本質的な仕事に向き合うこととなった


無駄な会議がなくなった。無駄なコミュニケーションがなくなった。ペーパーレスが加速した。・・・そして、無駄な仕事がなくなった。

CEOによってもCTOによっても実現ができなかったデジタルトランスフォーメーションが、コロナがバックドアとなって実現へと向かっている。それも急激に、急速に。

その結果もちろん可処分時間が増えたということも大いにあるが、それ以上に大きいのは「価値を提供する」という仕事における本質にフォーカスすることが出来るということにあるだろう。

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ビフォアーコロナの成熟事業においては、組織運営のために、効率的なオペレーションの実現のために、仕事のための仕事が増えていった。

それは組織運営におけるリスクヘッジやリスクマネジメントのためにはもちろん必要なことであったが、本質的に価値を提供するという観点からだけみると相当量無駄な仕事が増えたという状況になってしまった。

デジタルトランスメーションは、そこにデジタルを手段としてメスを入れて、効率化を促し、無駄な仕事や人員を省き、本質的な仕事にフォーカスすることが主眼なワケだったが、抵抗勢力も大きく中々進まないのが実態だった。

これがコロナによって一気に加速したのだ。

そして、本質的な仕事をしていた人たちは、より本質的な仕事にフォーカスした。本質的な仕事をしていなかった人たちは、仕事がなくなり暇になった。いらないリソースが明確になった。

この先デジタルトランスフォーメーションはより加速し、IT、AI、ロボットの導入が進み、人々はより人がやるべき仕事にフォーカスすることになっていくだろう。

その時を見据えて、自分の役割や立ち位置を今一度見直し、自分が組織においてプロジェクトにおいて、また顧客に対して、どんな価値を提供するのかを再考する良きタイミングになったとも言える。


自分のスタイルで仕事ができる

リモートワークは「画一的な価値観」から人々を解放した。

「出社」という行為は、綿々と受け継がれてきた「企業文化」に人を嵌め込む事でもあった。新卒入社し5年も働けば、その会社のカルチャーに完全に染まる。

人の個性は不要で、「型」通りに仕事をすることが求められる。それはオペレーティブな組織において、ミスを起こさず、リスクを最小化し、効率的・合理的に運営するためにはもちろん必要な事であった。

毎朝の満員電車に運ばれる「通勤」と画一的で殺風景なオフィスへの「出社」という儀式が、リモートワークによって撤廃されたことで、人々は自分なりのやり方を選択できる自由を得ることができた。

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仕事をする場所一つとっても、デスクが集中できる人もいれば、ソファが集中できる人もいる。人によってはベッドで横になっている時が一番集中できる人もいる。

例えば、ボクは単純作業に対して集中力を持続することができず、完遂することが難しい気質を持っている。リモートワークとなった今は映画やアニメを見ながら単純作業をこなす。

一旦集中力を映画やアニメにそらしながら、ベビーステップ(小さな始めの一歩)を踏み出し、手を動かし続けることで単純作業をこなしていくという方法が自分にとって最適な方法なのだ。

最大の成果を上げるために、自分なりのスタイルを追求できる自由。これが積み重なれば、組織的にも成果が最大化することは出来るはずだ。


仕事仲間とのコミュニケーションの質が高まった

チャットベースでのコミュニケーションは、これまで正しく言語化して伝えきれなかったことや認識の違いを浮き彫りにし、その違いを乗り越え、互いに近づくための努力を促すことになった。

ビデオ通話でのコミュニケーションは、ミーティングにただ参加しているだけのものを排除し、集中することを促すことになった。

効率的な会議の設定は、無駄なコミュニケーションを省き、目的やゴールをしっかり意識したミーティングを促すことになった。

また効率化と同時に、それによって捻出された時間において、仕事そのもののビジョンやミッション、また未曾有の危機においてその仕事の社会における役割について考える時間と、話し合う時間が増えた。

互いの仕事に対する向き合い方やスタイル、そして価値観を表出させることで、これまで以上に表層ではなく、より人の内面の部分での違いに触れ合う機会が増えた

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もちろん対面のコミュニケーションは無くなった。セレンディピティ的な会話や雑談も無くなった。それを寂しいと思う風潮も理解できる。

ならばそれは会社として、例えば「オンライン飲み会」を推し進める制度を導入するのも一つの手だ。グリーは従業員は毎月1回、1人3,000円を上限に飲み物やつまみの購入にかかった費用を補助するそうだ。

普通と違って自分の好きな料理や酒を勝手に頼め、しかも普段よりも良いものを揃えることができ、自分のリラックスできる環境で楽しめて、終わればそのままベッドに直行なんてことも。

オンライン飲み会は会社の飲み会という苦行を楽しいものに変質させる可能性がある。


アフターコロナ、ウィズコロナの世界においてリモートワークが当然のように行われることになった時、これまでの「当たり前」は崩壊する。

ならば前を向いて、リモートワーク・リテラシーをいち早く手に入れ、これまでの出来たこと、出来なかったことに対して、リモートワークなら出来たことをより出来るように、出来なかったことを出来るようにと、これまでのやり方をリノベーションする良い機会と捉えて、チームで向き合うことこそが重要だ。


友人とのコミュニケーションが増えた

東京で仕事をしていると、帰宅した頃にはもう夜。土日は家族と過ごす。友人と会って密に過ごす機会は、無理やり捻出しなければ作られなかった。しかし今は違う。

朝から晩までしっかり仕事をし、その前後で家族と向き合う時間を作り、その後会社のメンバーや取引先と「オンライン飲み会」「オンライン会食」をしたあとでもまだ時間がある。

地元のバーや立ち飲みにいく感覚でhousepartyで気軽に出入りしながら飲む「オンライン立ち飲み」、zoomで互いの顔を見ながらオンライン対戦麻雀をする「オンライン雀荘」、他にも「オンライン合コン」「オンラインガールズバー」など、友人と楽しんでいたナイトエンタメがすべてオンライン化している。

仕事とも家族とも真剣に向き合った後の、夜に友人ともまた楽しむ事が出来るのだ。

リモートワークになって1日が長く、そしてとても充実した。

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自分の価値観と向き合う時間が増えた

社会が複雑化する中で、生き急がなければ取り残されるというリスクが高まり、自分の人生と真剣に向き合う時間などなくなっていた。がむしゃらに走る以外に方法がなかった。

コロナは、がむしゃらに走り続けてきた「人間」に、ふと立ち止まる時間を与えてくれたのかもしれない。

生きるのに必死だったこれまでから、時間が出来たことで「哲学」する機会が増えることとなった。

せっかくならその贅沢に没頭してみるのもいいだろう。自分と向き合い、社会と向き合い、生命と向き合う。

そこで得られたものが新たな芸術や哲学を生むかもしれない。

そこで得られたものが自分を新たなステージへと引き上げるきっかけになるかもしれない。

そこで得られたものが既存事業をリノベーションしたり、新規事業でイノベーションを起こすためのきっかけになるかもしれない。

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もちろん病気で亡くなった方はいるし、苦しんでいる人も大勢いる。当人はもとより家族の悲しみや苦しみを慮るとはかりしれない。

また、稼ぎが減り、給与がなくなり、明日をどう生きるか悩み苦しんでいる人もいる。

それでも、人は生きていかなければならない。前を向いていかなければならない。

ネガティブに捉えなければならない環境にあるからこそ、ポジティブに前を向く気構えも重要だ。

ビフォアーコロナから不可逆的に変化するアフターコロナへ。そしてしばらく続くであろうウィズコロナへ。

その世界で自分がどう生きるのかを深く考える時間は、今有り余るほど目の前にある。

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