013. イノベーションとは、インテグレーションである。
先進国において、人々が生きるために必要なイシューは大方解決されました。
テクノロジーの進歩が飛躍的に起こり、変化の激しい時代へ。
シンプルな課題から、多様化、複雑化する課題の時代へ。
「ディープイシュー」が一企業の努力によって解決される時代は終わりをつけ、本当の意味での「協創」であり「共創」が必要な時代となりました。
つまりそれはバズワードとしての「オープンイノベーション(笑)」という表層の取り組みを捨て、真剣にイノベーションに取り組まなければ、その課題は解決できません。
そのために必要なのは、各社のアセットをきちっと捉えた上で、ディープイシューとそこに潜む顧客のジョブのために、インテグレートして新たな価値をうむ取り組みです。
「イノベーションインテグレーター」が必要なのです。
顧客にとってのソリューションは1つのツールによってだけ満たされるとは限りません。そして、1つのツールによって満たされない時代になったのです。
例えば、オーウェン・デニス・ライリーという少年がいます。
いわゆるYouTuberで、彼がやっているのは「バーチャル・ボーイフレンド」です。約65万人のフォロワーに向けて、ボーイフレンドとしてのロールプレイ動画をアップしています。
YouTubeは動画配信プラットフォームを作りました。
高速インターネットは大容量のファイルの素早いやりとりを可能にしました。
バイノーラルマイクはステレオ録音を進歩させました。
4Kのビデオカメラは美しい映像を気軽に撮影できるようにしました。
しかし、それらは本質的には顧客の求めるものは何一つ提供していません。
それらを組み合わせた結果、オーウェン・デニス・ライリーは20歳前後の女性に「彼氏の理想像」を提供してメンタルヘルスケアをすることによりビジネスにしています。
顧客にとってのソリューション、そしてカスタマー・サティスファクション(顧客満足)、カスタマー・サクセス(顧客成功)は、複数のテクノロジーを組み合わせることによってこそ最大化します。
顧客の価値観が多様化し、顧客が自己実現・自己表現のための消費を追求するようになり、ニーズやペインそのものが多様化しているのが現代です。だから、1つのテクノロジーを徹底的に突き詰めても、カスタマー・サティスファクション、カスタマー・サクセスを最大化することは愚か、実現することすら難しい時代になっています。
世の中に存在するものをキュレートし、インテグレートすることこそがイノベーションなのです。
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