ライティングのコツ|「長文」編|6
前回の記事「ライティングのコツ|「長文」編|5」では、
「豆知識:リズムのよい文章を心がけよう」をお届けしました。今回は文章に欠かせない(と、松本が思っている)「構成力」のお話です。
※「ライティングのコツ」は、以下メニューでお届け中です。
● 0)はじめに〜ライティングのコツをお伝えする前に
● 1) 伝わりにくい文章にしないコツ
● 2)人に優しい文章を書くコツ(前後半)
●【 豆知識 】1
●【 豆知識 】2
● 3)「構成力」を身につけよう →今回の記事はココ
● 4)「構成力」に欠かせない最後のコツ
● 5)言葉の引き出しを増やそう
● 6)信じてもらえる言葉を選ぼう
それでは始めてまいりましょうか。
● 3)「構成力」を身につけよう
今回もひとつ、あたりまえの答えを求めて、みなさんに質問です
Q:長文っていつ書くの?
みなさんどんな時、長文書いてます?
ブログ投稿?社内外へのメール作成?あとは…なんだろ?社内外の広報物とか?プレスリリース、社内報、とかですかね?では、そういう時ってどんな時かというと。
A:伝えたいことがたくさんあるとき
ですよね、と。「言いたいことがそんなになかったら、そもそも長文にならないわよ!」って話です。
でも言いたいことをたくさんたくさん、思いを込めて、やっと完成…!って時、こんな風に思ったことないですか?
「うーん、なにかが違う」
「正しく伝わるのかな?」
「つか、そもそもこれ、言いたかったことかな?」
と。
そうなんです、長文を書くときの問題って
伝えたいことがあればあるほど、「伝えたいこと」を見失いやすい
なのです。ちなみに私はこんな時、伝えるべきことを見失いがちだなあ、と経験上思います。
1)好きなものをオススメするとき
例えば、あなたの知らないパン屋さんを紹介してくる、パン好きの知人がいるとしますよね。彼女はもうそのパン屋さんの常連で、一斤500円もする超豊潤食パンをこよなく愛していたとして。
「これぇ〜、すっごい美味しくて〜、もうずっと前から買ってるんだけど全然飽きなくてぇ〜、もうね、とにかく絶品なの、でもなんか他のパンとは違ってて。とにかく一度たべたらやみつきになっちゃって。。そんで、お店もすっごい素敵でぇぇっ!!あ〜もう〜〜とにかく食べて!!」
好きな気持ちだけは、絶賛伝わりました系。
ただし、パンの情報はほぼ入ってきませんでした系。
好きなものを伝える時って、どうしても感情が高ぶりがちですよね。
周りが見えなくなって、伝えるべきことを見失います。
なんだか恋愛と一緒ですね…。(と、わかったようなこというてみたり)
2)「関係者」がたくさんいるとき
広告物のターゲットは20代女子、制作会社のクリエイター陣は20代女性、営業担当は40代男性、クライアントの担当者は30代男性で、その上司が50代女性で、社長は60代男性という具合に、関係者の年齢や立場がさまざまな場合。かつ、みんなそれぞれ好き勝手に意見を主張する場合。
かつ、BtoBのシンプルな関係でなく、ステークホルダーが結構な数いる場合。
コンセプトなり、メッセージを届けたい人物像(ペルソナ)なりを、最初にきちんと言語化してないと、スタート地点から着地点は、結構な確率でブレます。
初校時点では本来のターゲットに向けて書かれた文章でも、校了した原稿は「あれ?この文章、全然違うターゲットに向けて書いてない?」みたいなことになってたり。
ただこれ、広告の仕事してる人にとっては珍しいことではなく、むしろあたりまえの状況です。(ですよね?広告業界の皆さま)
とはいえ、文章を書くのが苦手だったり、そもそも書くことが仕事じゃない人にとって、「関係者が多い」という状況は、実に体力を消耗するもの…。伝えたいことを見失いやすい状況No.1だと言っても、過言ではないかもしれませんね。
というワケで、好きなことを伝えるときも、関係者が山のようにいても、伝えるべきことを見失わないための対策はこちら!
!!対策:書く前には必ず「構成」をしよう
ところで、「構成とは?」をあらためて調べてみました。
こう-せい【構成】
[名](スル)
1 いくつかの要素を一つのまとまりのあるものに組み立てること。また、組み立てたもの。
「国会は衆議院と参議院とで―されている」
「家族―」
※goo辞書より:
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/73648/meaning/m0u/
だ、そうです。つまり、長文を書く上での「構成」とは
「要素」=「伝えたいこと」を整理して、読みやすい文章に組み立てる作業
ってことになりますね。
これは広告のようなクリエイティブでも、小説のようなアートでも一緒かなー、なんて個人的には思っています。
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※余談>松本個人の見解による勝手な両者比較です。
例えば、小説だと「トンネルを抜けると、そこは雪国だった…」みたいな、状況描写のチカラってすごく必要なのかな、と。
一方、広告がそのチカラが要らないってワケではないんですが、より「スピード感」が要求されるのかなと。だって、広告ってみんな本来読みたくないものでしょう?小説みたいに読む気マンマンでいてくれて、見るために時間割いてくれる人っていないし。
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はい、完全なる余談を挟みましたが、話を戻します。
構成が出来る(構成力がある)ということは、
「伝えたいこと」を整理して、読みやすい文章に組み立てる作業が出来る、ということ。つまり、構成力は「文章力」と比例するということなのです。
今回のテーマ「構成力を身につけよう」も、早い話が文章力をあげよう、って言いたかったのですね、はい。
さて。もうぼちぼち「構成が大事なのは、もう分かったよ!早く教えて!」という声が聞こえてきそうなので、本日のメイン、
Q:「構成」ってどうしたらいいの?
について。
そのプロセスには、大切な3つの段階があるかなーと私は考えています。
構成のStep1) 「誰」に伝えるか、を考える
この長文を読んで欲しいのは誰? 振り向いて欲しいのは、どんな人?を考えてみてください。その人は、私と同じような人?それとも全然違う人?何に困っている人?どんなところに住んで、どんなものを食べて、どんな服を来てる人…? いわゆる「ペルソナ」ですね。これを先に考えておくと、伝えたいことに迷った時、答えがすぐに見つかります
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構成のStep2)「伝えたいこと」を吐き出す
最初に決めた、伝えたい「誰か」に向けて、伝えたいことを箇条書きでいいので、つらつらと書き出してみてください。その時、持ってる情報は出来るだけたくさん書き出してみてください。これ、結構大事。「これは要らない情報かな…」など情報の吟味は、この段階においてまだ不要です。
そしてたくさん書き連ねたあと、出来るようならカテゴリー別にまとめてみましょう。例えば、あなたが作ったアクセサリーの商品紹介をブログで書いてみたい、と思ったとします。
色、カタチ、大きさ、(販売するなら)価格・在庫など
=これらの情報は<商品スペック>
どんな服にあわせると素敵か、どんなシーンにふさわしいか、
どんなアレンジができるかなど
=これらの情報<コーディネート提案>
作者、このアクセサリーを思いついた背景、この商品が完成するまでにかかった時間、完成するまでに起きたトラブルやエピソード
=これらの情報<誕生ストーリー>
といった具合。あまり厳密でなくてもいいですよ。カテゴリー名にも決まったルールがあるわけじゃないですし。カテゴリーごとに、ボリュームの差が出てもいったんは大丈夫です。
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構成のStep3)「一番伝えたいこと」を決める
Step2で書き出した中から、一番伝えたいことを決めます。もちろん、最初に考えた「誰か」に伝えたい情報のNo.1を選んでください。あなたの一番、じゃないですよ。目的がブレちゃいます。
この「一番伝えたいこと」を決める時、Step2の書き出しをしてなかったり、情報が少なかったりすると、以下のような現象が起こります。
・文章に中身がなくなる。(無駄に文字数だけ稼いだ文章になる)
・偏った情報になる。(例:あなたの手作りアクセサリーを、自分のECサイトで紹介する時。もしも、価格やサイズなどの商品スペックだけしか載ってなければ、仕事とプライベート両方で使えるアクセサリーを探している人には、自分の欲しい情報<コーディネート提案>がない記事になります)
・ターゲットが欲しい情報ではなくなる(ターゲットに刺さる情報がない)
ほら、「1万人の応募者から選ばれた、期待の新人アイドル」と「1クラス35人の教室で1番かわいい子」だと、前者の方が世の中に支持される確率も高い気がしませんか?(な、なんだかたとえがイマイチ…)
とにかく、あなたのたくさんたくさん、ズラーっと書き連ねた「伝えたいことたち」から、選りすぐりの一番を選ぶのがコツ。勝負事も長文作成も同じ。強い駒が手元にあるほうが、勝算もあがります。
ちなみに、一番伝えたいことは見出しにするといいですよ。
はい、では今回のまとめ。
①長文を書くときは構成をしよう
②「構成」は以下の3段階を踏みましょう
Step1) 「誰」に伝えるか、を考える
Step2)「伝えたいこと」を吐き出す
Step3)「一番伝えたいこと」を決める
さて、今日は「構成」について、一本めの記事をお届けしました。
次回もまだまだ、構成について掘り下げていきますよ!
「ライティングのコツ|「長文」編|7」では、例題を用いながらみなさんと一緒に、構成作業をしてみたいと思います。
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