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中山翼飛
2023年5月20日 17:28
箕篠麻衣が通う高校の学園祭は文化祭と体育祭を三日間にまとめたもので、八クラスで構成された各学年から一クラスずつ集まった合計八つのブロックが優勝を争う。体育の部のブロック演技は特に配点が高く、学園祭期間はほぼ毎日練習時間が設けられるのだ。そのため生徒達は午前の授業が終わると各ブロックの色をベースとしたデザインのブロックTシャツに着替え、一時間半ほどの午後の練習が終わると制服に戻って下校したり部活に
2023年5月17日 08:00
「鹿嶋くん!」 ホテルの屋上で戦況を見下ろしていたフレイヤは、黒髪の高校生が大型モニターの前を突っ切って落下していくのを目にして思わず叫んだ。鹿嶋は重たい音を立てて歩道橋の上に叩きつけられ、ピクリとも動かない。(またなの······?また私は、誰かを死なせたの?)「フレイヤさん」 膝から崩れ落ちそうになるフレイヤを、隣で位相間現象の映写機の調整作業に勤しむエディソンが呼び止める。
2023年5月14日 14:53
『今日は何かあったの?明日は三年生がブロックCMを撮りに来るから、衣装を持って来てね!』 下校中のバスの車内、磯棟実理はとうとう学校に戻ってこなかった鹿嶋陵平へのメッセージを打ち終わった。後は送信するだけなのだが、その指先にはまだ迷いがある。(そっけなさすぎかな?逆に踏み込みすぎ?何かあったことなんて明らかなんだけど、具体的に何があったかは知りたいような知りたくないような······という
2023年5月11日 22:49
「今からわたしに降りるのは、一体誰なんですか?」 そう尋ねる被験者の少女は、リクライニング式の柔らかな椅子に深く腰掛けていた。彼女の声色にも表情にも不安は一切無い。尋ねたのは純粋な好奇心からだろう。専門外の人間に純粋な好奇心を向けられると無条件に嬉しくなってしまうのだから、やはり自分は研究者気質だ。フレイヤはいまさら実感して少し気恥ずかしくなる。「さっきも言った通り、『誰』っていう特定はで
2023年5月4日 21:52
熱の塊を押しつけられているような炎天下、睡眠不足の鹿嶋陵平は重い教科書類が詰まったリュックを背負って階段を四階まで上りきり、教室へ入る。鹿嶋の通う高校は、自由な校風と文武両道を特色と言い張るいわゆる自称進学校だ。だから八月を十日ほど残したまま授業を始めるし、大学について生徒にやたら調べさせる。だが夏休み明けの約三週間は学園祭シーズン。この期間だけは皆課せられた勉強から逃れ、貴重な青春を満喫するこ